2002年12月1日発行/専慶流いけばな真樹会主宰・西阪慶眞


花材/着色ツツジ、アレカ椰子、カーネーション、スイトピー、スターチス

ポイント クリスマスカラーは赤、緑、白の三色。サンタクロース、ポインセチアなどからくる「赤」、もみの木やホーリーなど葉の「緑」、雪やサンタのひげの「白」がそれである。素材としては「雪冠杉」の他「漂白三椏」のような漂白もの。緑は西洋杉、ヒイラギの他、スプリングゲリーや観葉植物など沢山ある。赤色も今日では沢山の花材が考えられる。最近まではクリスマスの花と云えば決まって造花のポインセチアを使っていたが、最近はヘリコニアやアンスリュームの他、ヒペリカムオータムなどの紅い実を添える事が多い。
作例は写真で見ると地味に見えますが、白く見えるツツジの幹には銀色のラメが散りばめられていて、とても開放感、喜びを呼ぶのです。ここでは三椏と同じような扱いで、部分的には枝にひっかけて横向きに配し、快活な動きを求めています。


花材/三光松、デンファーレ、菊、ドラセナ、水引

ポイント 正月花の定番ともなっている松だが、作例素材は盆栽用に作る手法で育てた男松(三光松)。茎の動きを力強く捉え、シンビジュームの華やかさで引き締めている。朱と金の古風な市松模様を現代的に息づかせた花器と、紅白の水引がいかにも新玉の寿ぎに重厚さを与えている。

花器、素材の「出会い」を求めるのもいけばなの重要な要素なのです。


(ミレナリオ) 

最前線の心意気

 色鮮やかな紅葉の時が去り師走を迎えると年頭に描いた思い・誓い・祈りを振り返る時期ともなる。社会に目を向けると昨年にも増して暗いニュースに明け暮れた。経済は混迷し、回復の兆しどころか、大手企業の相次ぐ倒産、金融機関の経営不振、さらには公団の膨大なる累積赤字など、株式会社日本の信頼にもつながる大きな局面に立たされている。

 人を守り指導する立場の警察官、分別あるはずの大人の信じがたい極悪事件の数々。日々起こる幼児待、DV、自殺、殺傷、若者の暴挙、様々な分野における悲惨な人為的事故、そして今大きな問題となっている拉致疑惑。世界を見ても心身崩壊を意味するテロ、飢餓、戦争、環境汚染…、暗くなる要素ばかりが目につく。

 これらは、文明発達の裏に置き忘れた心の問題が指摘されるように、進歩?は正常な人の心までをも狂わせてしまう副産物を形成してしまったと言わざるをえない。

 こうした様々な事件は、どこか他人事の様に捉えていたが、今は我が身に降り掛る状況の中にいる事を誰もが気付き始めている。同時に、人は日々の煩雑な生活に追われ、良い意味での自己主張、個性の表現手段を探し出せないまま、やがて周囲の動き、判断、感覚に自分の意志とは裏腹に同調する事で身を守っている…。そんな歪んだ自己主張?にそろそろ終止符を打ち、ゆとりある時間のなかで、真の自分を見つめていきたいもの。

 「大海も水の一滴」。長い時間をかけて四季に学び、豊かに生きる知恵、文化を育み、国土に適した合理性と美学を勝ち取った日本。この素晴らしい祖先の努力を受け継ぐ事こそ、次世代への使命。いけばなはその最たるもので、美意識を高め、私達の暮らしを豊かにし、心の浄化にどれほど貢献して来たことだろう。生産性のない内面要素の強い分野ゆえに軽く捕えられがちだが、実は見えない部分での研鑽の積み上げがあってこそ尊い文化が永続し、隣人との豊かな暮らしにつなげていることを再確認したいもの。

 さて、いけばなを誤解している人が今も多い。ある一定の規範にもとづいて花を構成、いわゆる決まった形に挿せばいい…と。認識の浅さもはなはだしいが、いけばなに関与している人でさえ少数ながら存在するのだから悲しい限りである。確かに我々指導者に責任がないわけではない。構成勉強の一つとして掲げた「花型」に終始している教室が今でも存在するからである(少数ではあるが、地方ではその割合は多い)。いけばなはデコレーションでもなければデザインでもない。植物を素材にしたアートであり、その中には作者の思いや創造、ねらいが強くかかわる。器や素材選び、その扱い方、見せ方、幅広い技術など、それらがうまくかみ合ってこそ作品となる。深く入れば入るほどいたらなさを感じるようになるが、その時がいけばなの真の入門となる。他の芸術と同じようにそれほど奥深く、また、時代によって推移する、まさに文化の最前線にあると云える。
                                  華道専慶流 西阪慶眞


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