2003年9月1日発行/専慶流いけばな真樹会主宰・西阪慶眞      


花材/漂白三つ又、彼岸花、ネリネ

ポイント お彼岸近くになると真っ赤な色で咲きほこる彼岸花。家の中に持ち込むと火事になるとか災いが起きると云うのは迷信。強烈な色の特徴をいかせてマッス扱いにする事が多い。ここではその鮮烈さを一層強調するよう、透明ガラス器と脱色した三つ又の白を組み合わせ、造形的な作品としている。
漂白三つ又は乾燥素材のため、そのまま曲げると折れる。霧吹きで少し湿らせると曲げやすい。




花材/栗、ワレモコウ、リンドウ、二輪菊

ポイント いけばなで使う栗は、野生種の山採りもので、シバグリと呼ばれるもの。葉付きで使う場合は大半を取り払い、数枚に集約させた扱いとし、あくまでも実そのものを表出させるようにこころがける。また、茎の表情も大切で、真直ぐな幹は少し曲げるといいでしょう。ただし折れやすいので十分注意が必要。

いけ順 栗の表情を捉えて左前方に傾斜させる。前後の空間に配慮し、茎の美しさを捉えます。次にリンドウ、菊を配し、最後にワレモコウを全体に解け合わせるように上下に添えていきます。


 奈良県/明日香の彼岸花

育児と養育

  子供をもうけ育てる、それは生活も不安定な現代社会では安易な事ではない。少子化が進むかたわら「ひきこもり」に陥る件数は増加し、今では一説に10万人とも百万人とも云うデーターがある。こうなると一家庭、一学校の問題ではなく社会全体の責任でもあり、早急な対策が望まれよう。
 ひきこもり現象は世界に類を見ない日本固有のもので、以前には存在しなかったと云われる。若い子供が他人との交流を一切もたず、外出もしないで何年も屋内だけの生活を過ごしている。そのきっかけの大半は校内暴力、いじめ、人間不信だと云う。しかし、暴力は今に始まった事ではなく私が学校に行っていた約50年前にも存在していて、校内に警察が入るほどの大事件も珍しくなかった。
 では何がどう変わったのだろう。
 京都では古くからお地蔵さん信仰が深い。自分の後ろでいつも見守って下さる眼に見えないありがたい仏さんの存在で、その具象像が街のあちらこちらに祀られる石仏さんである。8月20日過ぎの土曜、日曜には各町内で「お地蔵さん(祭り)」が催され、各家から農作物やお菓子などをお供えし、大きな数珠を参加者全員で回しながら無病息災を願う。祭事の後、スイカ割りや福引きなどをして楽しむのであるが、これがいわば子供達の夏の社交場であり、大人達は全員が裏仕事にまわり接待をする。会場の周囲には町内の子供達の名前が記された提灯が飾られ、この日ばかりは町内あげて子供達を敬う。だから何処の家にどんな子供がいるかは皆が熟知していて、子供同士も年齢に関係なく輪になって楽しく過ごすのである。また、地蔵盆に前後して盆踊り大会も開催され、浴衣姿に着替えた老若男女が入り乱れ、親好を深めるのである。
 信仰の是非はともかくも、地域が一つになった催しも徐々に薄れ、核家族、個人主義が急速に広まった点が以前とは社会的に大きく変わった点であろう。そして経済が豊かになった反面、醜い大人社会の現実への落胆が、精神的未成熟者、人間不信、社会拒否を生じさせ、ひいては「ひきこもり」につなげているとすれば由々しき問題である。
 「風がふく 木がそよぐ あるがままに」
 これは不登校の若者の居場所「スペーストトロ」を主宰している佐田正信氏の言葉である。私たちはいつの間にか、あるがままの生活ではなく何処か違った方向に抑制され進んでいるのかもしれない。年長者であっても「木がそよぐ」と云う感性さえも何処かえ置き忘れている人も少なくないのでは。
 「僕は僕であるために、そして生きていく為に不登校を選んだんだ」
 あるひきこもりの人の文である。涙が出て止まらないのは私だけではないはず。
 子供を産み食事を与え育てる(育児)事は大変だが、それ以上に養育(精神的教育)がなされてこそ人間とての人格が備わる。特に幼児期、両親と子供の関係がうまくいっている事は最低条件で、三つ子の魂百までの諺はいつの時代も不変である事には変わりはない。愛の履き違い(甘やかし)ではない真の愛で養育したいもの。

                                専慶流いけばな真樹会主宰 西阪慶眞


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