2003年10月1日発行/専慶流いけばな真樹会主宰・西阪慶眞      


花材/フォックスフェイス、ダリア

ポイント ダリアの流れを強調すべく、つる首花器を使って造形風にいけたもの。葉付フォックスフェイス以外は花器に差さず、上部の枝と針金で固定。ダリアは茎の曲を生かせて下垂気味にのばし軽快感を引き出している。

栽培 狐の顔と云う意味の名前が付けられたフォックスフェイスは茄子科植物で、春の早い目に種を蒔き、夏の高温期に結実させるように成長を促す。実にならない時はトマトトーンを施す。




花材/ダリア、夏はぜ

ポイント ダリアが店頭に並ぶのは、空洞で水揚げが悪い上に、日持ちしない理由から「ポンポンダリア」など特定品種だけ。でも栽培したものを採取すれば結構日持ちする。大きな葉は取り、借り葉手法が一般的で、豪華な花塊の美しさを引き出すよう花向きには気をくばる。ここでは直上構成として、花の形に焦点をあわせて花向きに微妙な違いの表情を捉える。

いけ順 一番長い左右のダリアからいける。花や茎の曲がりを少し外向けとして軽快さを。大きな一輪は下部にあしらい、安定感を。最後に夏はぜを裾に配し単調さを払拭させます。


 万博公園にて

好き嫌いがあってもいいじゃないか

 食物の好き嫌いの原因を考えると、実際に食してその感触が好きになれなかった、食あたりを経験したから、見た目の形や色が気にくわない、余りにも食べ過ぎて飽きたなど、これ以外にも厄介な理由がある。食べず嫌いである。見た目の様子や人伝えに耳にした知識など、実際に食してみる以前に拒否してしまう現象である。
 なんでも食べられるにこした事はない。特にスポーツ選手にとって栄養バランスを摂ることは不可欠であり、好き嫌いは禁物とされてきた。しかし野球のイチロー選手の食事は極端に片寄っている事実は有名な話し。食の好き嫌いにどれ程の損得があるのかは愚問。ある食材をどんなに嫌ったとしても、好きな物は食べていて、生きるに支障はないのだろうから。
 今私達の身の回りにある人間関係は、親子の関係も含め人と人との交わりに好き嫌いの激しい時代とされている。ある意味食物の好き嫌いと似ている部分もあるが、協調性がなければ集団社会下では生きにくいだろう。孤立化する事も考えられる。それでも、他人を引き込まなければ個人の「自由」と片付けられもするが、最近は他人に強要したり、他を抹殺する行動に出る変質者に変貌する傾向には、困ったものである。
 同じ兄弟でも食に好き嫌いがあったり、好みが違うのと同じように、人との付き合いでスッとうち解ける相手とそうでない相手に分かれるのもまた事実。ただ、不確かな情報、見かけの判断、思い込みではなく、どんな相手に対しても、素直に向かい合う心が人間生活の基本であろう。聞く耳を持てば、良さも見つけられるというもので、受け入れる謙虚な姿勢が、意外な一面を捉えるきっかけにもつなげるからだ。
 いけばなの世界もまた同じ。手元にある一つ一つの花材に対して大きいから、太いから、形が好みでないから…様々な理由付けで、苦手意識を持ってしまう場合があるが、それではその花材の魅力を引き出す事は出来ない。花材のありのままの姿を受け止め、その姿を認め、好きになること。気持ちよく受け止めれば、どのように扱い、いければ花材が生かされるのかが見えてくるもの。教室でその人の目を見れば素材を受け入れているのか否かは一目瞭然。素材に惚れ込んでいる人の目には輝きがあり、枝の剪定にしても安心して見ていられる。ところが、その日の気分が良くないとか、素材を拒否している人の眼は虚ろで、まるで死んだ魚のそれに似ている。
 誤解を招くかも知れないが、それもまた可と評したい。作品制作には「のり」が必要だからであり、その気になるまでしばらく心を落ち着かせる。しかし嫌いな素材を前にはどうしても冷静になれない場合もある。そんな時は無難にこなせばいい。好きな素材に出会った時、自分でも信じられない感性を発揮するものだからである。裏をかえせば十人十色、万能ではなく個性、固有の輝きを伸ばしてこそ持ち味、楽しさ、豊かさ、ストレス解消、そして研ぎすまされた美へと繋げるからである。世の中ではこのような考えの生き方を不器用と呼ぶのかもしれないが、それでも結構じゃないか。許容範囲を少しづつ広げるとか、特化した部分に掘り下げる信念があれば万々歳。但しパニックボーイではなく、社会の秩序をふまえ、害を与えない「自分だけのわがまま」であることは言うまでもない。特化した分野に活躍している若者にエールを贈りたい。

                          専慶流いけばな真樹会主宰 西阪慶眞


慶眞のいけばな教室案内

専慶流真樹会本部/近鉄三山木駅西5分 TEL 0774-63-1785
墨染ガスの店/京阪墨染駅前西 TEL 075-641-7338
大阪西区民センター/西長堀駅前図書館北 TEL 090-2101-6144

専慶会館/京阪、近鉄桃山駅東1分 TEL 075-612-2076

通信特別レッスン開設

 花模様表紙に戻る