2004年9月1日発行/専慶流いけばな真樹会主宰・西阪慶眞

スズバラ 専慶流

花材/スズバラ、ドラセナ、孔雀草、ひまわり、デンファーレ


9〜10月に出回るスズバラは北アメリカ原産で、垂れ下がる1.5センチ大の縦長球形の赤い実が可愛い。茎は野いばらに似ていて多少の撓めが効くが棘があるのであらかじめ取っておきたい。ここでは二個の剣山を使い、交差させたスズバラにドラセナで引き締め、洋花を配して明るくまとめている。



花材/彼岸花と茎

9月の楽しみはなんと云っても真っ赤に燃える彼岸花の群生である。奈良県飛鳥村に出かけるのが年中行事でもあるが、ここの段々畑の畦を染める光景は何度訪れても新鮮な感動をおぼえる。その日の天気次第で周囲の光景とのマッチングが微妙に異なるからである。ここ飛鳥村に限っては好天の青空は秋そのものを堪能出来、曇り空ではしっとりした歴史の重みが伝わって来ていいものである。

この作品は採りたての彼岸花を一輪挿しの花器にいけたもの。
彼岸花はこのようにマッス的に扱うのが効果的だが、塊だけでは変化がないので動きを持たせる工夫もほしい。
ここでは1本だけを少し長く配している。
白くカールしている部分は彼岸花の根元である。細工飴のようでとても面白く、作品にアクセントをつけている。


彼岸花


 白花彼岸花/奈良県飛鳥村にて

DNAの初代に

  熱戦を繰り広げているアテネオリンピックは、今回も数多くのドラマと感動を世界中に駆け巡らせた。エイリアンとまで呼ばれた15歳少女の奮闘、最多出場5回目20年を超えてのメダル獲得、柔道の大躍進、水泳王国復活など、悲願達成の大奮闘…。
 選手の「参加すること」の意義は、今では国民あげてメダル数記録への夢に酔いしれる日本だが、その檜舞台に立つまでの各選手の熾烈な練習と深い思いなど、過酷な人間模様を聞かされる度に選手との距離は一気に縮まり、おのずと茶の間にも緊張が走り、夜更かしが続く。
 今大会で、いつも以上に感じたことがある。「蛙の子は蛙」、生まれながらにして選手として育つ要素、環境が与えられていたのではと云う一面である。今回は多くの選手の傍らに 世代を越え夢同じくして挑んだ親、兄弟等の存在が目立ち、そこに受け継がれてきたDNAが関与しているのではと云う思いが脳裏をかすめたのである。
 親が子に似る…容姿だけではなくあらゆる部分にこの「似る」が生じる。親子であれば当たり前と云う以前に、そこに生命の神秘を感ぜづにはいられない。人が個人として持つ遺伝子はDNAの中に存在するのだが、このDNAの構成は99.9%が皆同じだと聞いた。つまり全くの他人が皆それだけ同じものを持って生まれていると言うのだから驚きである、そして残りの僅か0.1%だけが、個々に違っており、この僅かな違いが個人の特性、遺伝だと云う。この微々たる相違こそが、個人を決定する一番確かなものであることから、現在では親子の鑑定や犯罪捜査に用いられているのである。たとえ拉致され、隔てられた環境の中にあっても、継承されたDNAは確かな情報を次の世代へと伝え続けているのです。
 そう考えるとオリンピック選手の様に、DNAによって受け継がれた特性は、親と同じものを目指す可能性を常に秘めており、また根本的な要素を生まれながらにして与えられているのだからその星の下に生まれ育った彼らはそれこそ選ばれた人なのだろう。
 しかし早合点してはいけない。適合要素を備えていてもそれは要素でしかなく、特性を現実にするには本人の試練と弛み無い努力の積み重ね、自分を磨き続ける強い意志が根底になければ絵に描いた餅。また一方、DNA継承の有無に関わらず、私達にはあらゆる可能性が与えられている事も忘れてはいけない。遺伝が全てと言うなら人類に様々な発展は望めない。何かに興味を持ち、真剣にそれに向かう努力の積み重ねが思わぬ個性を作りあげて行く…、そう、突然変異の存在である。求める心、真摯に向かう心あれば、結果はどうであれ人としての成長は間違いなく期待できる。始める前から諦めて退くのではDNAは磨かれない。私達は誰もが平等に生きるチャンスを与えられてこの時間の中を生きている。オリンピック選手の血の滲むような努力、試練、決して諦めない時間の積み重ねは、私達にだって与えられている。流行語にもなっているDNAなんかに惑わされないで、多いなる成長と、突然変異を目指すべきだろう。この先に繋がれてゆくDNAなら、今ある自分を原点に子孫への道作りなんて云う発想も考えられないだろうか。同じ一度の人生、何かに燃えてDNAを磨いてゆくことも決して無駄ではない…、アテネオリンピックで強く感じたことである。

                            専慶流いけばな真樹会主宰 西阪慶眞


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