2005年9月1日発行/専慶流いけばな真樹会主宰・西阪慶眞
ツルウメモドキ・いけばな専慶流
花材/蔓梅擬、ドラセナサンデリアーナ、ゴッドセフィアーナ、デンファーレ

 蔓性植物の蔓梅もどきは灰緑の堅い皮がはぜて中から橙、紅橙の実が現れ色彩効果の楽しめる素材です。弱い枝はそのままでは立たないため、添え木に絡ませて使いますが、流れを優先した扱いで、大らかな空間美を描きます。

作例は二種類の葉を使っていますが、ドラセナの面を前に深く傾斜させ、引き締め役とします。デンファーレは伸びやかにゆったりした感覚で色を添えます。

花材/ハブ茶、ゴッドセフィアーナ、デンファーレ、ヒマワリ

 ハブチャは、北米原産の豆科の1年草マメ科植物で、種子を乾燥させ、炒ってお茶にすることで知られています。
 中国では種子を決明子と呼び「目を明らかにする」という意味で疲れ目に効く薬とされています。ハブの毒にも効くと信じられたことから「ハブ茶」の名が付けられたそうだが、効能は無いらしい。

 葉はすべて取って実だけにしたものが花材として店頭に並びます。四方八方に広がった実房の形を捉えていけますので、一般には直立させ、実を絡ませた扱いをします。緑色の花房に調和を考え、明るい配材を組み合わせた現代花としていけた作例です。

ハブ茶・いけばな専慶流

視点を変える新たな発見

 郵政民営化問題の不透明感から解散総選挙に追い込まれた小泉内閣、一挙に政局は新党結成など与野党入り乱れての選挙戦に熱い戦いを繰り広げている。大量女性刺客候補者やホリエモンの名乗りもあり、一般有権者側からも高い関心が寄せられ、近年にない盛り上がりを見せている。しかし、肝心の各党の政策や郵政民営化法案には今ひとつその違いや将来像の不透明感は否めず、争点もぼやけているのが実状。とは云え、年金、道路公団、消費税、医療、介護保険問題など市民生活に直接関係する重大な選択肢にもつながるため、否応なく興味は深まる。過疎地に立派な道路や橋、会館、保養娯楽施設などを次々に誕生させたものの十分な活用がされないまま開店休業状態や閉館している膨大なムダなど、疑問点も多数浮上しているだけに、我々としても単に傍観者ではいられない。
 この夏、ある民間のリゾート地を訪ねた。ゴルフ場と併設したコテージを含むホテル形式だが、天然温泉の大浴場、プール、テニスコート、体育館など運動施設も備える大規模施設。山間部を開発したもので、地域の農業を随所に残し、山林とうまく融合させる工夫など、癒しをテーマに展開。長短期保養にも格好の舞台を提供しているが、何よりも嬉しいのが、納得格安であること。日々の緊張から解放され、リフレッシュするにはこの広大な丘陵、緑は否応なしに自然と人を同化させてくれる。今回の選挙でも話題にのぼる民営化問題だが、国営をはるかにしのぐ民間人のきめ細やかなサービス精神の旺盛さに、透明な元気印をおぼえた。
 話は一変するが「視点を変える能力」は新しい発見に結びつける。同じ植物であっても上から見る場合と下から見上げる場合では形が変わって見えるだけでなく、まったく違った印象で捉える事ができる。幼児を保育する場合、見下ろした視線では決して良好な養育は出来ない。しゃがむことで子供と同じ目線、視角で社会を共有出来るわけで、上から見下ろす姿勢に反省心もわく。
 ある日突然ぎっくり腰に見まわれた。一分前には平気で動いていた身体の自由が突如として奪われ、椅子から立ち上がる事さえも容易でなくなった。やっとの思いで立ち上がるものの今度は一歩の足が前に出ない。腰が抜けたような状態で、腰骨に力が入らない。意識して背筋を伸ばそうとすると感電したような激痛が走る。勿論二足歩行が出来ない。何かにつかまってやっとの思いで移動する。普段何の抵抗もおぼえない風呂場のわずかな段差のなんと煩わしいことか、跨ごうと脳の命令は働くものの足があがらない。最大のネックは階段で、手すりは付いているが役に立たない。肝心の足が上がらないからだ。松葉杖も勿論使えず、這い上がるしか手だてがない。この時ばかりは住居が二階と三階と云う階層住宅の不便さを嫌と云うほど思い知らされた。
 思えば、高齢者が風呂場で滑ったり、廊下で倒れて骨折したと云う話を耳にするが、同じ立場に立って始めて身体の不自由な人の大儀さが頭ではなく実感として感じ、わずか3〜5センチの敷居にもけつまづくのがうなずける。普段わかったつもりでいてもやはり同じ目線に立てていなかったのだと改めて感じるが、心身ともに視点を変えて捉える事は人生にとっても重要なことで、この思考回路の自在な変換能力が美意識以外にも求められているのだろう。上質な日々を積み重ねたいもの。

                          専慶流いけばな真樹会主宰 西阪慶眞


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