花模様06.1.1号 2006年2月1日発行/専慶流いけばな真樹会主宰・西阪慶眞

専慶流・きぶし

木藤(キフジ)は密集する花穂の姿を捉えます。自然の姿は下垂していますが、必ずしも花穂を下に向ける必要はなく、茎と実の動き、表情に目を向け、力強い構成をねらいます。花が多く付き過ぎの際は少し省略し、強さの中にも軽快感を見い出します。色花は中央部にまとめ、木藤の流れを尊重します。

参考
「木藤」「黄藤」キフジは俗名。正しくはキブシ科キブシ属で「キブシ」と呼びます。

花材/木藤、チューリップ、エピデンドラム、シャガ

寒い最中ではありますが、いけばなは一足早く春の先取りで、陽春気分を室内に取り込みます。明るいクリーンな色、質感を楽しみたいものです。

純白のコーワニーはとても軽やかな質感で、可愛いものです。アネモネも彩度が高く、とても印象深い花です。この二つの花を引き立てるようにここでは茶色のガンソク、柔らかい流のスチールグラスを配しています。

扱いのポイントはガンソク、スチールグラスに美しい流れ、動きを見いだす事。アネモネは中心に配し、アクセント役に。

花材/ガンソク、コーワニー、アネモネ、スチールグラス

専慶流・ガンソク
専慶流・キンカン 嘘を恥じる国民美学

 嘘つきは泥棒の始まり、嘘をつけば閻魔様に舌を抜かれる…。嘘をつくことを戒めた言葉だが、誰からと云う訳でもなく、子供の頃何度となく耳にしてきた。立派な大人に成るためには、決して嘘をついてはいけないとの教えだった。
 今大人と言う立場に立ち子供を導く時「嘘はいけない」と胸を張って言えるだろうか。人生の道案内となるべき大人の社会にはびこった嘘を、子供にどのように釈明すればいいのだろう。無差別に多くの人々を不幸に巻き込んでしまう嘘が多すぎ、嘘の上に築き上げた社会と言っても過言では無い様な気がする。昨年末に発覚した、その想像を超える何とも理解しがたい「耐震データ偽造事件」の中で迎えた新年は、巻き込まれた多くの人を思うと心重く…そんな矢先に起こった「ライブドアショック」。昨日までの時代の顔のベールが剥がされる格好となった。
 どちらの事件も虚飾の社会、華々しい姿の裏にある嘘やごまかしで構築した虚城…。しかし、それが社会に及ぼす影響の余りの大きさに、どうしてここまで来てしまったのか、何処かで止めることは出来なかったのかと、私だけでなく誰もが思ったに違いない。上司があり部下があり、何よりも友人・仲間と長年信頼しあった関係のみならず、社会構成の一員からも抹殺されてしまう事を予測出来なかったのだろうか。もっと早ければ、世の中に与える被害は少なくて済んだはず、いや、起こることさえ回避出来たのではと思うのだが。
 何か事件が起こるたびにいつも思う。何故誰か気づいた者が、気づいた時点で正すことが出来なかったのかと。富、名声、地位を得るための小さな一つの嘘が、多くの人を巻き込み、さらに嘘の上塗りを繰り返し、気づいた時にはもう後には引けぬほど大きな問題に発展している。過去に起こった多くの事件から、私達は何を学んで来たのだろう。
 悪いことが見え隠れした際には「注意」「指導」する機関があってもいいのではないだろうか。戒め的な大捜査、逮捕になる前に「教育」的役割機関が目を配れば、被害も最小限に抑えられるだけでなく、安全で平和な社会に貢献するのではないだろうか。
 話は変わり、恥ずかしい話を一つ。いつものように自宅を車で出た矢先、一分も走っていない場所で「シートベルト」未装着違反の反則切符を切られた。飲んだら乗るな、スピードは控えめ、迷惑駐車の遠慮など日頃から安全運転にはかなり神経質で、勿論シートベルト装着も習慣化していた。なのにいきなり反則切符、これにはいささか反抗気分が沸き起こった。ズボンのポケットからハンケチを取り出そうとベルトを外したその瞬間を目撃されたのだが、走行中の脱着は明らかに違反。規則は規則なので反論の余地はない。しかし、こんなときこそ大岡裁きが必要なのでは。取り締まり、即、刑罰ではなく「指導」「注意」を喚起する事の方が、規則が有効に働き、交通安全に繋がると思うのだが。
 どんな事件もいつ我が身に降りかかってもおかしくない。そして、知らぬ間に自身が人を被害に巻き込んでしまうかも解らない。愛をふまえた客観的視野こそ最大の予防なのでは。人は一人では生きてはいけないのだから。

専慶流いけばな真樹会主宰 西阪慶眞


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