●2011年2月1日発行/専慶流いけばな真樹会主宰・西阪慶眞

●力強く

 社中の一人が庭の桃を切って届けてくれました。思い切った剪定がされているので力強い枝振りです。通常いけばなでは花を観賞する「花桃」を素材にしていますので細い素直な枝が一般的で、作例のような太い素材は例外です。しかし、庭木ではスモモや蝋梅、梅、サンシュユなどと同様、深い剪定をして、枝を引き締め、幹の表情を愛でるのです。庭木ならではの桃の作例です。

ポイント 
 作例のような太い幹では剣山に挿して留める事は困難です。深めの花器を選び、投入手法を使うと簡単に生けられます。

水揚げ チューリップは水切り。




●花材/ 桃、チューリップ、タマシダ
●花器/ 現代花器

●花材/ 黒芽柳、カイウ、菜の花
●花器/ 横長花器

ポイント 
●黒芽柳の茎は細く、矯めやすい。線的流れを意識して伸びのある素材を左方向に流し、横枝の短い素材を右に配し、左右のバランスをはかります。
菜の花、カイウともに春らしく、やや長めに配し、おおらかな空間を。

水揚げ 水切り。


  雨にうたれた椿

降って湧いた話?

  降って湧いた恐い話…天災三大禍
 鹿児島県と宮崎県をまたぐなだらかな円錐状の新燃岳
(しんもえだけ)で
1月27日、爆発があり、両県にわたる広範
囲に火山灰が降り、火口付近では火砕流も起きていると云う。放
映される
激しい噴煙の映像に、平成3年の雲仙普賢岳のあの悲劇
が思い出され、脅威を覚えずにはいられない。市内の道路や屋根
には砂埃が堆積し、灰の街に…。
 寒波襲来で新潟の魚沼市や小千谷市などでは3メートルを超
える記録的な積雪に。除雪作業も追いつかず、さらに、高齢者
世帯では買い物に出る事も出来ない有様で、生活を脅かしている。
山形県尾花沢市の銀山温泉では露天風呂の屋根が崩落、観光客数
名が怪我をするなど、各地で豪雪被害が拡大している。関西での
降雪は年末にあったが、日本海側を除けばおおむね平年並みの気
候で、随分助かっている。しかし、灯油の高騰は何とかならない
ものかと嘆く。
 一方で、鳥インフルエンザ感染による被害が、日本各地に拡
大。各地方自治体でも防疫対策本部を立ち上げ、感染防止策に躍
起となっているが、食肉、卵への影響を考えるとこれ以上の被害
は大問題であり、拡大阻止が最大課題。細部にわたり検査を急い
でいるが、野鳥からの感染が有力視されることから、鶏舎運営の
農家の方には負担が重くのしかかるとは云え、防網の徹底管理、
衛生管理についてはこれまで以上の姿勢で臨んでもらいたいも
の。身近な所では、大阪にある海遊館でも警戒を強め、ペンギン
のパレードを中止にするなど、万が一の回避に備えていると云う。

 元日早朝、深夜の近鉄特急に飛び乗り、お伊勢さん詣りを。
橋のたもとに立つと、五十鈴川の清流に抱かれた静謐なる佇
まいに自然と身が引き締まり、自ずと合掌を。天照大御神の
もとに足を進める玉砂利の音は深い杜にとけ込む格別なる演
出?に、圧倒的な懐の大きさ、原始林の深さを感じます。杉、
檜、楠、欅など天を仰ぐ巨木の数々は今なお健在で、深遠な
る佇まいの一部に神宮の建築物が点在する。
式年遷宮の行事は690年から20年に一度行われているとい
い、平成25年には第62回を数えるそうです。正殿(しょうで
ん)をはじめとする御垣内(みかきうち)の建物をすべて建て替
えるのです。伊勢神宮はピラミッドやモスクなどとならび世
界の古代建築に入るが、神宮の素晴らしさは建物はいつも綺
麗で、新しく、一方、建築様式や精神は古く、遺産が生きて
いると云う二面性が存在する点です。また、御造営だけでな
く、数多い調度品など伝統工芸の優れた技術を守り伝えると
いう重要な意味もあり、作りかえることで、技術、技法を脈々
と受け継ぎ、伝統を守り続ける…この永遠性を実現する精神
こそ、日本の魂として伝承しています。いけばな人はとくに
重く認識しておきたい一つなのです。  

               華道専慶流 西阪慶眞


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花模様  専慶流