花模様/専慶流 ●2012年4月1日発行/専慶流いけばな眞樹会主宰・西阪慶眞

専慶流/紫木蓮の盛花

●「自然への愛」を花言葉に持つ木蓮。関西の里山に色を添えるのは4月中旬頃であろうか。近年は街路樹に使われる事も多く、花芽が少しずつ大きくなる様や、開花後の若葉が成長する微妙な表情を身近に観察出来、とても感動的。また、力強い幹の形を見ているだけでもあきる事がなく、花は一斉に咲き、一斉に花弁を落とす事でも知られている。庭のシャガをさりげなく取り合わせてみました。

ポイント 
 若い木蓮の幹は真っすぐで、単純だが、少し年数が経つと作例素材のような細かい枝が出て、節々で屈折する。その絞まった表情を捉えることを第一にねらいを。花向きは必ずしも上に向かなくてもいいでしょう。

●花材/ 紫木蓮、斑入りシャガ
●花器/ 大津寄花堂作黄釉水盤花器
●花材/ ボケ、グズマニア、ゴッドセフィアーナ
●花器/ 黄釉花器

ポイント 
 毎年庭の一角で咲くボケです。色の混じった「咲き分け種」は放置しておくと単色に戻る事があります。それを避ける意味で、植え替えや、挿し木での更新がお勧めです。

 伸びた枝先は切り、枝を引き締め、左右対称にいけています。

水揚げ ボケは根を割る。他は水切り。

いけばな専慶流/ボケとグズマニア

 いけばな専慶流/山吹 挿し木1年目の山吹

実体験と映像の埋められない相違

 人は精神に支障をきたす様な出来事に出会った時、無意識の内にそれを人事として認識する能力を持っているのだ、と耳にした事がある。それはある意味身勝手のように思えるが、全ての悲しみ、苦しみをを受け止めてしまえば、生きる事さえ出来なくなることからの心の回避、安全弁のようなものなのであろうか。
 石巻、あれから1年、現地に立った人が直後に友人に宛てた便りを原文で紹介したい。
『言葉にならない、言葉が無い、何も考えられない。無心に全ての景色を眺めてた。此処が…。自分の情けなさ?冷たさ?無力?を思い知らされた。何も無い、流れた1年と言う時間の結果だけがそこにある。ただ涙が…どうしてこうなった、これからどうなって行く、此処にかつて生活をしていた人達は今どうして…と言う思いになるまで一瞬時間が止まった…ほんの一瞬なのかもしれないけれど…何をどう思っての涙なのかも解らない涙…そして、情けない思いに駆られた。全ての思い、全ての感情が、何処かで人事なんだよ。情けない程、自分が嫌になる程傍観者なんだよ。リアルタイムの映像は映像に過ぎない、現実に経験していない報道。平地になってしまった土地を見ても、そこに苦しみとともに流れた時間を想像は出来ても、個々を感じ取る事は出来ないんだよ。そう、「身をつまされる思い?」になっていても、想像の域を出ない。例えもし何かが出来たとしても、やっぱり傍観者なんだよ。
 経験が人を作る。経験に勝る物は無し…様々な場面でこれまでも認識して来た。でもね、事の大きさに関係なくやっぱり経験していない事を本当の意味で受け止める事なんて出来ないのだと改めて思い知らされた。

想像?はする、出来る。だから、その苦しみや悲しみは理解出来る?出来るかな?出来ないよ。リアルタイムのあの映像と現実の両方を見て、重ならない。どう受け止めて良いのか…本当にただこみ上げて来る涙と、頑張って!と心で叫ぶことしかできなかった。自然の前に無力だとか、どうしてこうなる前に対策を…そんな様々な思いなんて、起ってこなかった。その時から、ただ「頑張って!」と言う思いだけで頭も心もいっぱいになってる。何も無い地面に、目に見えるもの全てに私が出来る事?ただ、頑張って!と祈る事だけ。案内してくれた彼女は、被災し多くの人の亡がらを否応無く目にして来た。今彼女は親子で花屋を再会し、穏やかな顔で笑顔で応対している。その彼女が心のうちに抱えてしまった多くの悲しみや苦しみは計り知れない。でも、生きてるだけで…と言う彼女。頑張って生きている彼女に 頑張って!って言うのは…それでも、やっぱり「頑張って!」と言う言葉以外見つからなかった。案内してくれると言った彼女の気持ちを思うと…。言葉以上の会話が双方に出来ていた。』
 悲しみ苦しみの受け止め方は人それぞれ。そこに人の数だけ向き合う人生がある。だが、人は人との繋がりの中で生き、生かされいている。思いやり、優しさで繋がるのが人間。傍観者?、ある意味それでも良いのかもしれない。ともに心萎えていてはいけない。全ての時間が幸せに向って行く事を願い、祈らずにはいられない。

          

                華道専慶流 西阪慶眞


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