1999年11月1日発行/専慶流いけばな真樹会主宰・西阪慶眞



花材/蔓梅もどき、松、レザーファン、クレマチス

ポイント 他の木々に絡みついて育つ蔓梅もどき。下垂する素材だが立ち上げた意外性に軽妙さを見い出した現代生花。存在感ある大きな空間処理を。




花材/ゲットウの実、紅クジャクソウ、小菊

ポイント 赤く色付いたゲットウの実、紅クジャクソウ、そして朱色の小菊。同系色のボリュームある集合美をねらっている。異質な材質が単調になりやすい同色に新たな息吹をなげかけます。

 
 大切に育てたい私色

 午前8時20分ラッシュ時間。混み合う電車と反対方向に向う列車に乗った。車両内は、数える必要もないぐらいまばらな乗客。               
 そんな中に、きっとこの時間では遅刻組かと思われる制服姿の女子学生が目にとまった。髪はブロンズ、顔が変わるほど?しっかり化粧された顔…今から学校?。一昔、いやそれ以上の古さの私には、言葉もない。教師はどんな顔をして授業を、親はどんな人なのだろう、家族は…様々な思いが一気に私の頭を駆け巡る。
 美しさってなんだろう。「らしさ」と言う言葉によって表現される中に、それぞれの本来の美しさがあるのではないだろうか。子供には子供らしさ、女性には女性らしさ、男性には男性らしさ…らしさの意味は無限に広がっていくように思う。              
 「らしさ」は、言い方を変えれば素材そのものの良さとは言えないだろうか。「制服や自然の黒髪は個性を隠してしまう…」本当にそうだろうか。たとえ同じデザインの制服を着ても、それぞれ顔も姿形も個々に違っており、制服で個人が均一に見える事は決して無い。「制服では個性が出せない」という見方はあまりにも乱暴で、表面的であろう。内面から輝く教養や、やさしさ、温かさなどは表情やしぐさで十分伝わってくるはずなのである。
 おかしいのは制服を脱いだ時、同じ色の髪、同じ髪形、同じような服を身に着け、小物を持って、ともすれば話し方まで…。個性を主張したいと叫びながらあまりにも均一的であるのが実状。個性を主張するにはまず、自らの良さ、個性を知るべきでは無いのだろうか。 
 自分を知り、自分に合った、自分を生かせる方法が見付けられて初めて個性の主張、美の表現と言えるはず。
 いけばなも一輪の花、一枚の葉、一本の枝…それぞれの素材の特徴、素材の良さを知ることが大切なのです。それも奥深く、内面から放つ輝きを受け止める心のゆとりがカギをにぎるのです。
 素材の個性、主張を知らずして美しい姿は見いだせないのはいうまでもありません。
 一輪の花を手にする時、そのあるがままの美しさを壊すことなく、より美しく、また違った主張をそこに見い出していかなければなりません。本来持っている素材の性質、性格を無視した美しさに日本文化は成り立たないのです。そして当然、基本を無視したいけばなに新たないけばなの発見は望めません。
 電車の床やコンビニの前で座り話し込む学生に日本人らしさを誰が伝えるのか。いけばなを彼等の傍に近付けるのは無理な話なのだろうか。

                             華道専慶流 西阪慶眞


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