錦木(にしきぎ)は、枝にコルク質の翼があり、肌の荒さが面白い。秋には綺麗に紅葉することから錦の字をあてたと云われる。いけばなでも11月頃、この紅葉を眺めたいけ方もするが、他にも美しい紅葉ものがあるため自然調の盛花にはあまりしない。錦木は木肌そのものの荒さが面白いので落葉後の冬季に使う事が多い。
枝の出方がかなり直線的であるが、材にねばりがあるため、幹を撓めたり折ったりした技巧的扱いに向いている。また、横に張り出す小枝も多いことから交差をつくるが、これを避けようと枝を伸ばしたりしないで、むしろこの交差を上手く見せる工夫がポイントとなる。
◆錦木のいけ方
作例は荒々しい素材性を表出させる意図から少し派手にいけたもの。撓めるときに幹の翼を落とさないよう注意して曲げるが、足元部分はこれを綺麗にとっておかないと枝が添わない。