2001年1月1日発行/専慶流いけばな真樹会主宰・西阪慶眞



 花材/行李柳、ツゲ、チューリップ

ポイント 行李柳は茎が細いので多くの枝を使い、線条美を捉えます。従ってエニシダ同様、一本一本の線が交差しないよう、綺麗な曲線を描きます。ツゲはあしらいから地にかけて平野的な広がりと締まりでバランスを整えます。




 花材/ベアーグラス、ゴッドセフィアーナ、レースフラワー、
デンファーレ

ポイント 白いラッパ状の花はカラーとも云いますが、いけばなでは畑で出来たものを指し、池端で栽培したものは「カイウ」と、区分しています。茎が柔らかいため、添え木をしておくといいでしょう。輪状にしたベアーグラスは線が固まらないよう広げ、根元で輪ゴムで止めておきます。左右均等ではなく、ややどちらかに傾斜させ、動きをつけるのがポイントでしょう。


自分を信じる道

 20世紀に誕生し、ミレニアムを経て、21世紀に生きる。この二つの世紀を生きる私達には、どんな意味が付加されるのだろう。確かに、現実として捕らえるならば、偶然の存在と捕らえるのが一番自然なのでしょう。しかし物は考えよう、二つの世紀を生きると言う事実は自然界からの贈り物、見方を変えれば選ばれた者と捕らえられはしないか。同じ「時間」を生きるのなら、21世紀、自分の存在を偶然から必然に変える。そんな生き方を夢見るのも良いのではないだろうか。 忙しさの中で、失われて来た心のゆとり、温かさ、思いやり、優しさ…。その結果もたらされたのは悲惨な出来事の数々。誰もがそれを感じ、嘆いてきた20世紀後半であったはず。ここで、一人一人が個々の生活の中で、自らが過して来た時の重さをふり返り、遠い日に夢見た自分の未来が何処かで忘れられて来てはいないか、自分らしさ、一人の人間として生きていくプライド、価値観…様々な思いを、もう一度自身の心に問いかけて見てはどうだろう。過ぎゆく時の流れの早さの中で、何処かに置き忘れて来てしまった自分の夢を、心を。また、思い描いた自分の生き方を現実にしてきた人は、もう一歩前進するために。
 過ぎてしまった時は、もう取り戻せない。過去に出会った多くの人達から得た様々な思いや知識、そのひとつ一つが今の自分を作り上げてきた。決して自分だけの力でこのときを迎えたのではないのです。そして、今を生きる私達自身も、知らぬ間に多くの人達に、善し悪しはともかく何らかの影響を与えながら、そしてこの先も生きて行くのです。時は止まる事なく、流れているのです。だからこそ今、この21世紀を迎えたこの時に、人生の気分転換、前向きに生きる新たなスタートラインにしてはどうだろう。意外に心の持ち方一つで、同じ時間を過してもそこには意味のある時が存在するはず、いや、存在すると信じて、不確かに過ぎる時ではなく、意志をもって自ら求める物に対し惜しみない努力を積み重ねて行けば、一歩一歩、思い描く未来の自分に近付いて行くに違いない。過去に積み重ねて来た様々な事実を糧に、新しい時を生きる、そんな前向きな姿勢で夢を見続ける21世紀でありたいと思う。
 花に向かい合う空間は、そのまま自然に向かい合う空間。自分に与えられた一輪の花を磨かれた感性でいけるのと同じように、21世紀は、自らの夢を、人生をより幅広く、高感度に生きたいもの。信じる道に没頭しているその真剣な表情は人間の最も美しい瞬間、最も幸せなときでもあるのだから。 
                                 華道専慶流 西阪慶眞


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