2001年7月1日発行/専慶流いけばな真樹会主宰・西阪慶眞


花材/ウイキョウ、クルクマ、セローム、アンスリューム

ポイント 漢方薬の原料にもなっているウイキョウ。人参の花やレースフラワーに似た散状花穂は涼やかで面白い素材。特に茎に変化があり、左右の剣山を使う複合花型にいけると扱いやすい。アクセントの花は広げないで、前後に配し、伸びやかな表情を捉えます。





花材/るり玉アザミ、カサブランカ、ミリオンアスパラ、トルコキキョウ

ポイント るり玉アザミは、葉はすべて取って、丸い玉の花部分に焦点をあわせて扱います。作例では大輪のカサブランカ2本をメインに扱い、アクセントに玉を飛ばせ、意外性の面白さをねらっています。緑のミリオンアスパラは低く配し、全体を引き締めます。


自分を知り、花に教わる

 いけばな教室を通じて随分多くの方々と接してきた。社中同士で話している会話や行動などを見ていると、なんとなくその人の内なるものが見えてくるものだ。永い時間経過で一変する人もたまにはいるものの、大半の場合、長所や欠点、個性などは変わらないものである。それはいけられた作品を見ても伺い知ることが出来る。だからこそ自分自身をよく知る事が大切で、長所を伸ばし、欠点を補い、嫌な癖は正すのです。
 辛辣な言い方で申し訳ないが、何度指摘しても満足な花が入らない人がいる。どこから見ても倒れているとしか思えなかったり、あるいはことごとく煩雑な作品にしてしまう。言うまでもなく本人は真剣に向かっているのだが、残念ながら花が生きてこない。
 社中の性格やその日のコンディションを察知しながら、その時々に応じた最適な指導をさせてもらっているのだが、なかなかこちらの思いは伝わらないものである。
 「いけばな教室」とは、自身を悟り、自身を磨いていただく道場と捉えている。自分との闘いの場であり、いかに冷静な自分を築きあげてもらえるかである。従っていけられた花がうまくいかなくてもまったく問題ない。少しぐらい花が倒れていても愛嬌と思えばいい。それよりも教室に来たら、何処まで自分を裸に出来るか、或いはさらけだせるかである。人の眼など気にしていては自分を磨くことなど出来ない。むしろ最大の敵は自己愛ではないだろうか。或いは楽観主義的思考回路であろう。
 誰しも誉められると悪い気はしないが、少し誉めると舞い上がったり天狗になる人。また、私の酷評に傷つくことを怖れてこわごわ花をさわる人などは自己愛の強い人である。周囲の人にはおべんちゃらを使い、作品を誉めあげたりする。これもまた自己愛の現れである。
 もう一つのパターンは楽観主義思考回路。どんなことに対しても自分にとって都合のいい場面、状況を頭に描く。悲観視しない意味では長所と言えるが過度は落とし穴にもなる。万事自分の都合のいいことばかりを考えてしまうため、他人に騙されたり、花に裏切られる事があるのだ。花に酔いしれて、真の美や魅力を見失いかねないのである。
 人間には動揺はつきもの。個性や欠点は治らないと居直ってはいけない。一喜一憂するから人生楽しいのだ。でも自身に潜む「自己愛」「楽観主義的思考回路」の落とし穴にはまっては元も子もない。平常心のポジションにどんな時にでも戻れる自分でいなければいけない。いけばな教室はそんな心の鍛錬場でもあるのです。

                              華道専慶流 西阪慶眞


慶眞のいけばな教室案内

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墨染ガスの店/京阪墨染駅西 TEL 075-641-7338
大阪西区民センター/西長堀駅前 TEL090-2101-6144
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