2004年12月1日発行/専慶流いけばな真樹会主宰・西阪慶眞

専慶流・赤芽柳

花材/赤芽柳、青ドラセナ、デンファーレ
花器/木製寸筒



晩秋から冬の代表的素材のネコヤナギ。園芸品種である作例の赤芽柳は艶やかで、茎は比較的素直でいけ映えする。とは云っても一本一本に癖があり、彎曲したりしているので素直に直す事。

いけ方は筋生けと云って一本一本の茎を交差させないように筋をとおします。ドラセナの葉で引き締め、デンファーレで色を添えます。品位ある現代風生花です。

剣山いけと異なり、足元の処理が少し難しいのですが、全ての茎を綺麗に添わせ、スッキリ見せます。

花材/ホーリー、三つ又、ヘリコニア、ガーベラ、バンダ
花器/壷型現代花器

濃い緑葉につぶらな赤い実が映えるホーリー。数年前まではこの素材の代替えとして柊が使われてきたが、近年は入手しやすくなった。赤い実だけでなく鋭い形の緑葉にも焦点を合わせ、効果的に。漂白三つ又は造形的に構成し、色花で引き締める。気ぜわしい時期、心弾む色彩を楽しみたい。

専慶流・ホーリー


 ソシンロウバイ

慣れに落とし穴

 日々の生活の中、私の移動手段は車が中心となっている。車に乗っている間は狭いながらもリラックスした個室空間。マライアキャリーのクリスマスソングを聞きながら暫らくの自由時間を楽しむ。雑踏からの逃避ともとれなくもないが、自分空間はストレス解消にも。しかし公共機関である電車やバスには「今」と言う時代が漂う。
 これまで花模様の中にも、何度か車内で出会った人間模様に触れた。先日も昼下がり、乗車した瞬間、異様な雰囲気を察知した。立っている人はいないがほとんど満席のその車両、ダークグレーからブラックの色で埋め尽くされていた。晩秋と言う季節柄、就職活動の時期、現代の世相等など、理由はともかく様々な色溢れる現代にあって色を失った空間。そう思わせたのは服装の色のみではなく、疲れているのか全ての人の顔に、全く覇気が、個性が感じられなかったのである。サラリーマンのように毎日乗車しないので、久しぶりに乗ったからこそ、その様変わりに驚かされたのかも知れない。大方の人はこの無色な現実をどのように受け止めているのだろう、色は景気に左右されると云う伝説はどうやら今も生き続けているように思えてならない。
 先日京都の有名な紅葉景勝地を訪ねた。それまでにもテレビで京都特集などで報じられていたので期待する心を抑えての紅葉狩りだった。満員のバスは京都の北山奥深くを軽快に走る。小川のせせらぎに向かって所々で色付いた木々を確認しながらカメラのチェックに余念がない。いつも以上に期待した根拠は、多くの人が風邪をひくほど、今秋の京都地方は寒暖差が激しく、紅葉には最高の気候条件だと思っていたから。ようやく到着、カメラスポットへと急ぐ。ところが足を進める毎に嫌な予感が漂う。辺りの木々に元気がない。元気なのは両脇に構える土産物店からの呼び声だけ。数分前の嫌な予感はすぐに的中。あのテレビ特集は何だったのか、目を疑いたくなる光景。葉は縮れ、色艶なく、紅葉時期独特の凛とした空気はまったく感じられない。反面、一斉に花を咲かせた寒桜に出会う。昼間の高温続きで一気に開花したのだ。そう云えば寒いと感じたこの晩秋も、平均気温は高いと云う。温暖に慣らされたため、少し気温が下がった事で一気に冷え込んだと錯角していたのである。植物達は人間のように単純には錯角しないようで、かつての艶やかな錦織の輝きは戻ってくるのだろうか、遠方から来る人を京都の「いろはもみじ」は裏切り続けている。
 発展し続ける近代社会は快適空間提供の影で、人の心の中にも様々な錯覚を生じさせているのかも知れない。GPS機能(発信位置表示)付き携帯電話がある事を知ったのは先日奈良県で起きた女児誘拐殺人事件。まさかに備え持たせた物が功を奏さずあまりにも悲しい結果に。子を持つ親はどんな防御が出来るのか。また銀行や大企業の経営失態に国は肩代わりをし天災に苦しむ人々への援助は薄く、福祉への大幅削減等…生き残る為には増税しか道がないと言う政府。
 何かが狂っている日本。こんな暗い世相は早く去って(猿)、夜明けの活気ある声(鶏)が聞ける事を切に願い、せめて一輪の花に心浄めたいものである。

                            専慶流いけばな真樹会主宰 西阪慶眞


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