2006年12月1日発行/専慶流いけばな真樹会主宰・西阪慶眞

●花材/石化エニシダ、クリスマスブッシュ、タニワタリ、菊

●花器/朱色創作花器(西阪尚子作陶)
叉木留めが可能なように円筒形に作ってある。強烈な印象の朱色だが、現代的素材によく調和する。また、下部で膨らませてあるため、優れた安定性があり、実ものなど重い素材による投入などにも使用出来る。不規則な波模様が個性的で、口元を薄く仕上げ軽快さに繋げている。

ポイント 
 叉木で生ける場合、作例のような葉ものの混在生けはとても難しい。一種生けでは、控や地は後からでも生けられるが、大きな葉を使用する場合は始めに挿しておかなければならず、この時点で全体のバランス配分が要求される。
 作品では前に配置させるタニワタリ、菊、クリスマスブッシュを挿してから石化エニシダを生けている。

水揚げ 少し高値ではあるが、優しい色の小花が可愛いクリスマスブッシュ。水切りだけで、日持ち良好

クリスマスブッシュ

●花材/蛇の目松、踊りハボタン、千両、オンシジューム、銀着色柳
●花器/金赤釉創作花器(大津寄花堂作)

ポイント 
 園芸品種の一つ、蛇の目松は緑葉に黄色い斑が入る。明るく軽い感じが特徴。定番の組み合わせだが、新鮮さは増し、黄色のオンシジュームを配し、躍動の門出を祝っている。また、ハボタンは踊り系の小枝を使用。


さざんか 垣根を彩る山茶花(さざんか)

血行は心磨きから

 私達は日々、望むと望まないに限らず、絶え間なく多くの人々と出会っています。その出会いが運命なのか偶然なのか、また、どのように自分の人生に関わってくるのかは、誰にも予測出来ません。当然、大半は通りすがりの人となるのですが、時には、一瞬交わした言葉がその人のターニンングポイントとなり人生に無くてはならなかった出会いとなる事があったり、その反対に切っても切れない望まない腐れ縁となる出会いもあります。人生に様々な影響を与える出会いは、決して付き合いの長さに比例するモノではありません。
 気がつけばもう一年を振り返る月を迎えています。この一年、私自身を含め、世の中に起きた様々な出来事を思う時、改めて人と人との出会い、繋がりの不思議、大きさを思います。
 日々繰り返し報道される、親子の間での虐待、地域社会や学校等で起こるいじめ、自殺、欲望を満たす為の凶悪犯罪…。モラルが欠如した、いがめられた現代社会の浮き彫りにうんざり。私達は、人としての心を持って産まれ、相容れるルールのもとに生活しているはずなのです。
 赤ん坊は全ての感性を平等にもって誕生してるのだと聞きました。そして、日々の生活環境、成長して行く過程の中で、一つひとつを良きにつけ悪しきにつけ落としてゆきながら、一人の個性ある人間へと変わってゆくのだそうです。産まれた環境、産まれた時代等々が一人ひとりの個性を育み、その結果が今の自分自身だと思えば、納得出来るのか出来ないのか…、現実を受け止めるしかないのです。しかし、悲観することはない。体の成長とは違い、心の成長は、命つきる最後の瞬間まで磨き続けるモノだと私は思っているからです。
こんな自分だから、とか、今更…と、そこで留まるのでは無く、億劫がらずに常に社会の一員として人と交わる機会を持ち続ける事が、何よりも大切な事であり、それは自分の為だけではなく、どこかで出会い、繋がりを持つ人々への大切な行動でもあるのです。自身の生きて来た歴史が語る言葉の一つひとつが、人の心にも何かを考える切っ掛けを与え、時には人の命を繋ぎ止める事にもなるのです。そう、ほんの一瞬の出会いの中から生まれた小さな繋がりがもたらす力は時には想像すら出来ない程大きなエネルギーを持っているのです。人は、決して一人で生きているのではありません。苦しみを抱きながら、それでも日々を真剣に生きて行こうと努力している人が大半。人は、苦しみや悲しみを抱えながら、そこから逃げないで自分の人生と真剣に向き合わなければいけないのです。
 この秋も、出瓶を含め多くの花展会場に足を運びました。そして、毎年花展を通して感じる事の一つに、高齢者の年齢を感じさせない生き生きとした姿があります。体力的には、衰えを感じながらも、花を生ける空間に居られる事、生けた花を多くの人に見てもらえる事、何よりも会場で多くの人と交われる事が楽しみで、また頑張ろうと元気になれるのだと言います。私達いけばな人には、年齢に関係なく同じ空間を共有出来る仲間がいると言う幸せな環境があり、ありがたい事です。自分磨きは他人のためでなく、自分の血流を良くする最良の策でもあるのでしょう、生き生きした目の輝きはまさに人生の謳歌を清しく感じさせます。

            華道専慶流 西阪慶眞

                                       


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