花模様06.4.1 2006年5月1日発行/専慶流いけばな真樹会主宰・西阪慶眞

専慶流・夏ハゼ

若葉の綺麗な夏はぜは葉の美しさだけでなく、茎の動き、表情にとても味があり、優雅な姿を捉える事ができます。材には粘りがあり、撓めも効きますが、持ち味を損なわない程度の矯正にとどめ、深い自然の表情を引き出します。配材にはクレマチスやシャクヤクなど和洋混在も可能です。

花型・行の生花(逆勝手)

花材/夏はぜ、透かしユリ、ナデシコ、鳴子ユリ
花器/紺釉コンポート

紫陽花やコデマリに似た大型のボール状花を付けるオオデマリは スイカズラ科のガマズミ属。背丈は3メートルほどに成長し、4〜5月に最初は黄緑色から白緑色、白色と変わります。

昨年伸びた枝の節々に花を付けますが、枝は単調で面白さに欠けるのが難点。したがって動きある花塊の構成が重要となります。

水揚げは良好だが、水切りは欠かせません。

花言葉:約束を守って

栽 培:落葉樹。新芽、緑葉が綺麗。日当たりさえ良ければ強健で虫も付きにくい。剪定は花後早めに。肥料は油粕程度で十分。5月に挿し木すれば簡単に根付く。

花材/オオデマリ、クンシランの花と葉

専慶流・オオデマリ

専慶流・キンカン 空気を包む風呂敷

 昨年の3月にも取り上げた「もったいない」の心。先日の小泉内閣メールマガジン 第231号にも『ものを大切にする「もったいない」という心をもって、ゴミを減らす「リデュース」、使えるものを繰り返し使う「リユース」、資源を再利用する「リサイクル」の「3つのR(アール)」の運動を進めていきたいと思います。』の記述があった。その中に風呂敷の復活が挙げられていた。
 風呂敷の活用は、大陸から伝えられた文化を長い年月をかけて自然や我が国の風土に合わせて、継承されてきたもの。注目したいのは日本人が持つ独特の「美意識」がここにも生かされ、優雅さをプラスして粋な包装布として愛用された事です。現在の様に使い捨てではなく何度も使える、センスが良い、かさばらない、軽い、用途が広い等々、シンプル且つ機能性の高さはこのうえないもの。小風呂敷なら「弁当包み」「ふくさ」はもちろん、「ひざ掛け」「花瓶敷」「ランチョンマット」「タペストリー」に。大きめの風呂敷は「テーブルクロス」「のれん」「マルチカバー」等々に利用したり、また和風のテキスタイルに見立てて、様々な手芸にも使える。例えば「巾着袋」、テディーベアのような「ぬいぐるみ」、2枚あわせて「座布団カバー」「クッションカバー」など用途は工夫次第。西欧化を非難するつもりはないが、日本の風土、ハイレベルな美的文化、気質を易々と脱ぎ去る現代の風潮は如何なものだろうか。すでに足下にある世界に誇る宝をさらに磨く心、それこそがこれまで進化し続けて来た民族エネルギーなのだが。
 もう一つ、継承してきた心の一つに「空気を読む」がある。農耕民族である祖先は自然の変化、さしづめ、雲の色や形に敏感で、雲を見るだけで間もなく風が吹くとか雨が降りだすなどを察知していた。その高い能力が動物や人間関係にも応用されるようになり、言葉なくしてその場の雰囲気を悟る共通の術を覚えたのだろう。仲間同士であってもリラックスした遊びの空間ばかりではない。緊張した真剣な討論を交わす事もあれば、儀式的な場もある。それはまた会合に出る際の服装にもあてはまり、ラフな格好の場もあれば正装しないといけない場もある。例えば何十万もすると言うビンテージものであってもジーパンはジーパン、正式な結婚式に着衣して出席する者はいないだろう。しかし、個人の自由、個性?を優先した考えを持つ人が出て来た。思考基盤をなくしてしまったのである。これまでのいわゆる「暗黙の了解」的常識が崩れさろうとしているのである。
 今、日本の教育は膨大なお金をかけているにもかかわらず、ピントはずれを起こしていると言わざるをえないだろう。民族的優雅さや余韻、日本独自の言葉(表現)の味を教えないで、外国語教育さえしっかりしておけば万全と語学に力を入れる。日本語の意味や文化もわからないものが、片言の英語が話せるからと言って世界に通用するわけがない。
 私と同年令である藤原正彦氏の「国家の品格」がベストセラーになっているが、数学者からの目でさえも日本文化が有す厚さ、深さの超貴重性を解いている。片言の英語が話せても日本語の意味や文化がわからないようでは尊敬はおろか、相手にもされないと。


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