2007年3月1日発行/専慶流いけばな真樹会主宰・西阪慶眞
いけばな専慶流・ブルビネラ

●花材/ブルビネラ、デンファーレ、タマシダ、ナルコユリ

●花器/赤釉創作花器(大津寄花堂作)

●ブルビネラ 南アフリカ原産のユリ科植物。背丈60センチから1メートにも達し、茎上に付ける円錐状花穂が印象的。一般には黄色だが、オレンジ系もある。

ポイント 
 わずかに曲がった茎、花向きの表情をうまく捉えて小品生花に生けます。立ち上る姿のそれぞれの長短の付け方、茎の動きをリズミカルに捉えます。葉はタマシダと鳴子ユリの二種を組み合わせ、淡い色のデンファーレで引き締めています。

水揚げ 水切り。

●花材/コデマリ、アネモネ

●花器/アルミ造形

ポイント 
 とあるアルミ企業からの依頼で制作した幅約1メートルの作品。
 アルミ部材を横のラインで構成し、そこへコデマリを下垂するよう調和させ、異空間での自然を表現。
 なお、水補給は後方に親指大の乳白色フォルダーを上段、中段、下段の三カ所設けている。

いけばな専慶流・コデマリ

いけばな専慶流、秩父芝桜 芝桜・秩父市羊山にて

雨水タンクの有用性

 今から三十年以上も前の事になるが、電卓がそろばんに代わるものとして店先に並び始めた頃は、高価なモノとして大型文具店のガラスケースの中に並べられていた。「読み 書き そろばん」と言う言葉に象徴され、生活に欠かせない道具の一つとして「そろばん」が入っていた事を考えると、高度な知識や修練を問わず誰もが指一本で計算が出来るのだから、この電卓は画期的な機械の発明だったに違いない。その後は、承知の通り、機能や形状の向上、低価格化の進化は想像外の足跡。
 今、その電卓機能も組み込まれている「携帯電話」。コンパクトな機械に組み込まれた数多くの機能、言葉は悪いが、本当に我が儘な私達人間の欲望の凝縮と云っても過言ではないだろう。こんな物があれば助かる、あんな物があれば便利…限りない望みを一つ一つ満たす為に、それを可能にすべく積み重ねられて来た技術開発。改良され、進化するに要する時間はどんどんと短縮され、目まぐるしい早さで今なお新機種が登場する。携帯に限らずテレビ、ビデオ、パソコン等々、あらゆる分野で速度は日ごと増し、高性能、高品質と前進しながらも低価格化と言う面も備え、多くの人に受け入れられて来た。しかしながら、ここに来てその急速な変化に多機能を願ったはずの使用者側がついて行けなくなってきている。本来、文明の発達は私達人間の欲望を満たそうと進化を遂げて来たはずなのに、いつの間にか追いつき、追い越され、使用者がついて行くのに必死になっている…そんな気がするのは、私だけではないだろう。確かに快適な暮らしを与え、欲を満たしてくれるのだが、モノには表裏一体、良い面も多ければ、必ずそれに見合う負の要素が潜んでいるもの。
その負の部分をどのように補っていけばよいのか…、それが、本当の意味での文明の発達、進化なのではないだろうか。
 豊かな生活の反面、代償として失って行く物の多さを本当に自身の問題として捉えている人は、どのくらい居るだろう。地球の温暖化、異常気象…殺伐とした世の中、人間関係…全てが、どこかでこの文明の発達に伴った副産物である事は間違いない。人は我が身に降り掛かっている目先の事にしか目が行かず、遠くの現実、この先に予測される現実を知りつつも、真剣に回避への姿勢努力は貧弱。私一人くらいが違反しても…、どうせ私一人が頑張っても…、個人の力ではどうにもならないのだからと。温暖化によって海面が上昇し、国土が海に埋没する現実を前に、国外へ移住を始めた国があると言う事実は、全ての人に同じ重さで伝わらなくては滅亡へのスピードを落とす事は出来ない。
 先日、ある大学の学者が「今更緑地化に努力しても、意味がない…温暖化対策には無意味。努力するだけ無駄…」と耳を疑う発言が公共の電波に乗った。全ての人が同じ思いで、と望むのは不可能だが、せめて「大海も水の一滴」小さな力の積み重ねが未来を少しでも明るくするのだと言う希望を持ち、今自分に出来る努力を積み重ね続けたいと思うのだが。
 折しも京都NPO法人の手により、遠方のダムだけに頼るのではなく雨水タンクの設置を押し進めることで、雨水の浸透による都市などのヒートアイランドや都市型洪水の解決、水道水節水による省エネルギーでの気候変動・地球温暖化の防止、そして雨水を通じて自然・環境との共生などを訴えている。

            華道専慶流 西阪慶眞


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