●2008年8月1日発行/専慶流いけばな眞樹会主宰・西阪慶眞
いけばな専慶流/花ナス
●花材/ 花ナス、木イチゴ、ストレチア、オーニソガラム
●花器/ 黒釉変形花器 大津寄花堂作

ポイント 
 熱帯性のナスだが、観賞用の種類も数種あります。作例の種は切り花としては一般的なもので、8月に入ると店頭に並びます。赤い実が重く、倒れやすいので、確実に固定する工夫をしていけ進めます。茎が直線的な素材が多いため、傾斜度合いに動きを見いだします。


●花材/ プチトマト、クレマチス
●花器/ 焼き締め変形花器

ポイント 
 
作例のポイント 庭で採取したものを即興的にいけたモノ。以外性ある目線で素材を見いだせば、新たな発見があるものです。

水揚げ 水切りだけで十分。曲げる際に茎を折らなければ日持ちします。

いけばな専慶流/プチトマト

 いけばな専慶流・サルスベリ 養源院のサルスベリ

通じる本質的会話

 今年も猛暑は体温を越える日々が続き記録更新中だが、その起因に私達一人一人の生活が関わっている事は、周知の通り。気温上昇に限らず自然界で起こる様々な災害、現実に起こる社会問題など「私一人が頑張ったところで…」と言う安易な気持ちが集まった結果の現状である事を、自己責任として強く捉える時期に来ている。「また…」と言う人の心に慣れが生じ、回避努力を怠ってはいないだろうか。これほど様々なニュースを身近に聞きながら、今「自分はどうあるべきか」と、果たしてどれだけの人が自身の問題として考えているだろう。当事者にならないと考えが及ばない…が、現実かもしれない。ただ、どんな事件の根底にも、全てが驚く様な特別な原因があった訳では無く、本当に些細な事の積み重なりが修正効かぬまま、発作的行動に結びついてしまった…と言った内容もあったと言う認識も間違ってはいないだろう。それは、安易に「本人だけの問題」と言い切って良いのだろうか。確かに犯罪を犯してしまった現実を許す事は出来ない。しかし、単なるニュースの一つとして、結果だけを見て終わらず、明日は我が身、そうならない為に今の自分で良いのか…と、尊い命と引き換えに問題提起してくれた事実に、真剣に何かを学び、何かを考えるべきでは無いだろうか。

 「話を聞いてくれなかったから…」これが人の命を奪った理由。そして「誰でも良かった」に巻き込まれ、失われた命。余りに安易に思える動機と行動。世の中に何らかの理由を付けて、それを言い訳に、努力では無く、責任転嫁が当たり前の世の中になっている。様々な場面で「そんな考え方は甘い」と言う言葉をよく聴くが、では、その甘さにどう対処するのかを誰が教えているのだろう。「甘える」側にも「甘えさせる」側にも問題がある。両者の間にはそれぞれが大きな責任と、広い視野に立った確かな判断力を伴っていなくてはならない。自己中心的な甘えに対して、自己中心的な甘やかしが、今、厳しい現実を前にした時、問題解決に向かうのでは無く、単純な問題回避、現実回避へと向かわせている様に思う。
 一つの生死を彷徨った命が、多くの人の思いやりと優しさの中で繋ぎとめられた事例を耳にした。突然の不幸に、何を支えに現実と向き合ったのか。特別な事では無い、ただ「生きて欲しい」と願う思いと、「生かしてあげたい」と思う人の心が重なるとき、思わぬ連鎖力がそこに存在し、明日へと向かうための大きな光を見いだしたと云う。患者と家族、そして、医師、関係機関、周囲の協力…どの部分が欠けても実現しなかった彼の命。それはまさに看病側の「思い」の深さだったに違いないが、強い思いに真心で反応してくれる世の中が存在する事を実感したと云う。
 日本人の心は腐敗している…、そうではない。急速な時代変化に「ゆとり」が無くなっているだけなのでは。


             華道専慶流 西阪慶眞


慶眞のいけばな教室案内

専慶流眞樹会本部/近鉄三山木駅西 TEL 0774-63-1785

専慶会館/京阪桃山駅東 TEL 075-612-2076


通信特別レッスン制度もあります。お問い合わせ下さい。

花模様  専慶流