専慶流 ●2009年2月1日発行/専慶流いけばな眞樹会主宰・西阪慶眞
いけばな専慶流/レンギョウ

ポイント 
 
蝶が舞ってるような可憐で澄みきった花色のレンギョウは一気に春を呼び込む。路地では3月末〜4月初旬の開花で、公園や生け垣などでよく見かけるが、下垂した姿も印象的。
 花色を生かして色彩本位の盛花にする他、作例のような創作花器に春の陽光を彷彿させるイメージで生けます。
 自然の姿を尊重しながら、椿との連携をはかる一方、広い目の空間を意識することで、春の日射しを表出したい。


作例のような創作器では、素材をいかに留めるかが重要となる。張り木留めや足元の撓めを駆使し、自由な形に固定させます。


●花材/ れんぎょう、椿       
●花材/ 角柱創作花器        
●花材/ 花桃、椿、アイリス  
●花材/ 黄釉創作花器     

ポイント 
 
花桃は温室で加温、速成開花させ、2月には出荷する。材は前年に伸びた若木で、真っ直ぐに伸びている。その特徴を引き出すよう、伸びやかに生け、交差は避ける。撓めは可能だが、蕾が落ちやすいので慎重に。アイリスに代え、黄色のラッパ水仙もよろしい。作例は「叉木留め」で生けている。
花型・生花逆勝手「行」

関連作例参照
http://k-ikebana.com/3gatu/kaboku.html

●水揚げ 速成桃は蕾が開く前に黒く萎れる事が多々あります。寒さに弱いので温かい部屋での管理がいいでしょう。勿論水切りも欠かせません。

いけばな専慶流/ネコヤナギ

 いけばな専慶流・踊り葉ボタン 雪にもめげず咲くパンジー


「習慣」に歪みは?

 時間と経験を積み重ねる事によって、人は意識的に、また無意識に『慣れ』と言う形で様々な要素を吸収している。例えば、朝起きたら顔を洗い…と言う誰もが行う単純な動作も教えられ繰り返してきたことで、いつの間にか当然の事となり、特別な行動では無くなっている。それが常識と言う認識に置き換えられてきた。しかし、今は常識と言う言葉を用いる事さえ躊躇われる程、様々な物から法則性が失われつつある。それが良いのか悪いのかの判断は、誰がくだすのか。時代が変われば物の見方も、考え方も、生活も変わる。昔に固執していては進歩は無く…と言われるが、間違った?「慣れ」「負」がそこには生じていないだろうか。便利だから、楽だから…と安易な思いの上に築き上げられる「慣れ」が、時には大切に伝え続けなければ成らない物の「形」や「心」を変えてしまわないかと危惧する。
 今、漢字ブームが起きている。思い違い、勘違いの記憶が多く、日頃当たり前の様に使っていた言葉が、本当はまるで違う意味であったとしたら恥ずかしいかぎりである。おまけにこのブームのきっかけが、一国のトップ、総理大臣の間違った使い方、読み方からだと言うから、苦笑するしか無い。しかし、他人事ではない。老若男女を問わず受験出来る漢字検定も未だに人気がある。どんな形であれ、学ぶ姿勢は喜ぶべき事。漢字は日本の文化であり芸術でもある、正しい知識で後世にも大切に伝え残して行きたいもの…と学者は言う。
 

 私の携帯メールの漢字変換には、正しく表示されない事が多々ある。早くメールが打てれば良いからの判断でそのまま表示させているが、「いつも」は「慣れ」と同じ、積み重ねでの思い込みが、間違いを「正」と記憶させる恐れも無きにしもあらず。
 漢字に限らず多くの疑問がある現代。その一つに、私には未だに納得の行かないハッピーマンデーがある。法律の施行から10年余り、その日がくる度に頑固な私は今も、どうして本来あった日ではいけないのか、その日に意味があって過去に定められた休日であるにも関わらず、何故今の生活に合わせ変えなくてはならなかったのか…と思わずに はいられない。ハッピーマンデーにしたが為に不都合が起きている事は、周知の事実である。時代のニーズに応えての言い訳が、本来あるべき姿を失って行く原因になっている様に思えて成らない。過去の偉大な歴史は、先人達により、また書物の中に書き記され、現代に大切に伝えられて来た。それぞれの出来事には、そこに確かな原因と結果がある。それは今を生きる私達も同じ。過去の財産が伝えられ受け止めて来た私達が今在る様に、私達には次の世代へと積み重ねられた歴史を確かに伝えて行かなければならない義務がある。自分一人ぐらい…勝手ではいけない。人類の歴史の通過点に私達の誰もが間違いなく存在しているのである。さて、今、漆喰(しっくい)を知る人はどれぐらいいるだろう?。湿度の高い日本だからこそ考案されたものなのだが。

             華道専慶流 西阪慶眞


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