花模様12月 ●2009年12月1日発行/専慶流いけばな眞樹会主宰・西阪慶眞
キンカン・専慶流

ポイント 
キンカンの生花。黄色い実と細い茎の動きに絞り、リズミカルな表情をねらいます。撓めは若干効きますが、実の重量を計算しながら慎重に矯めないと曲げ過ぎになることも。茎の空間美と共に、実の疎密、つまり、量の強弱をはかる事で強さと変化を求めます。カニシダは水揚げしませんが、風に当てなければ数日は日持ちします。アクセント的に優しい色のガーベラを。


キンカンは天に使う90センチ以上の素材を見つける事が難しいかも。人、地は横枝を配すと足下も綺麗におさまるでしょう。カニシダに代えてポリポジュームは色彩的にもよく調和します。



●花材/ キンカン、カニシダ、ガーベラ
●花器/ 金彩コンポート/大津寄花堂作
●花材/ 柿加工素材、ノイバラ、ストック、セッカンスギ、ガーベラ、アイリス。
●花器/ 縦長創作花器

ポイント 
 
背丈ある花器の上に、横に流した大胆な構成が、軽快なリズムを表出させています。ストックを短く、ガーベラを高く配しているのも軽快感に結びついています。

●水揚げ ガーベラは水切りをします。また、剣山には刺さないほうが水揚げはよろしい。

クリスマスの花・専慶流


 白鬚神社 白鬚神社(滋賀県)

「トキを縦横無尽に切る」

 大都会のアフターファイブ、肩がぶつかり合う程人が溢れる繁華街の一角に違和感のある大きなコンテナトラックが一台駐車、おまけにそこへ向かう人の列が…。いったいこのトラックの中で何が…。
 多くの陶器の皿がその車内で販売されている。しかし、いわゆる陶器屋と言われる店とは一種異なっており価格は全て均一、購入者はその色、柄、質…を問わず自分が必要とする枚数を購入する。そしてその陶器を手に、心の中のもやもやを大きな声で吐き出し、的となるトラック内の壁に思いっきり投げつけて割ると言うのだ。言いたい事を言い、物を破壊する事で一瞬でもストレスを解消すると言うもの。形ある物を破壊すると言う行為が、優越感や征服欲を満たし、その割れる音が気分を高揚させてくれるからなのだろうか。トラックの中から出て来た人達は一様に「すっきりした」と笑顔で応えている。また明日の夕刻には同じストレスを抱えて家路へと向うのだろう事は誰もが承知。だが、この一瞬でも心が軽くなるならそれも良しなのだ。人様に迷惑を掛けず、些細ではあっても満足感を得られる場所、それがコンテナトラックの正体だった。

 企業で働いて来た経験と,煩雑な日々の生活と、過去に学んだ心理学等からの発想から生み出された、ユニークな起業だと思わずニンマリ。現代社会はストレス社会、年齢に関係無く誰もがストレスを抱え込む。良くも悪くもある意味「何でもあり」の世の中となってしまい、それが目を耳を覆いたくなる様な事件、はたまた、政局不安に。決してストレスは現代人だけの物では無く、昔から存在したはず。言葉を変えれば、肉体的に精神的にどれほどの「我慢」を許容出来るかと言う事なのだろうか。はたまた、どれほど強い平常心を培って来たかに繋がるのでは。
 見方を変えればこの様な起業が成り立つこと事態が、悲しいかな現代社会が病んでいる証でもあるからなのでは。
 発想の転換から生まれたこの起業の肩押しのもう一つ。ストレス解消に使われた皿だが,商品価値の無い不用になった物を利用し、割られた後の皿は回収され砕かれ、再び価値ある物へと再生されて行くということだ。お金を出せば何でも手に入り、飽きれば処分、それが環境汚染、破壊へと繋がっている現在、「不用な物を有効活用し、お金だけでは無く様々な財産を産み、そして価値ある物へと…」この法則に合致している点が憎いではないか。「二位ではいけませんか?」の回路よりかなりハードルは高い。よい年をお迎え下さい。

           華道専慶流いけばな 西阪慶眞


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