この季節、ひと昔前までは蝉の声とともに子供の賑やかな声が何処からともなく聞こえて来て、夏休み特有の活気ある雰囲気を感じたものだ。少子化、学歴社会、PCを始めとする様々な機器の普及…と言った現代の世相を繁栄しての事だろうが、道に子供の姿が見えない。
先日新聞広告を見て驚いた事がある。夏休みの研究課題のお手伝いと言った内容のチラシ。そこには手芸から粘土細工、工作、研究材料一式…ありとあらゆるキットがカラフルな写真と共に掲載されていた。いよいよ、子供の宿題までもが大人の商売に利用される時代に。しかし「サザエさんのカツオ」では無いが,昔は遊び過ぎて新学期開始間際、親に助けてもらい土壇場の作業…と云う事が当たり前の様にあった。無計画を肯定する訳ではないが、日々の遊び経験の中から子供は様々な事を学び、また親の手助けはある意味経験者の指導を受ける絶好の機会でもあった。日々忙しい親と一緒に取り組む事が、親子の会話の時間を作り、スキンシップに繋がっていた一面もあったと、今、懐かしく思い出す。
先月22日、46年ぶりの皆既日食に湧いた日本列島。皆既時間が今世紀最長時間と云われた数分間の神秘的な現象は、多くの人々の心に忘れる事の無い感動を与えた。残念ながらこの日の天候は、曇天で、観測には恵まれなかったが、それでも様々な地域で様々な形で多くの人が貴重な一瞬を間違いなく体験した。煤を着けただけのガラスでは眼に支障を来すと云う事も今回知ったが、曇天であった事が幸い?して、裸眼でも太陽の欠けがはっきり見る事ができた。また、昼間なのに、夜が来た様にあたりが薄暗く成ると言う現象に遭遇。私達の命の営みに無くてはならない太陽、あって当たり前の太陽のその存在の大きさを改めて実感した瞬間となったようだ。 |
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46年前、日食を見上げながら、一人の少年が「これを宇宙から見てみたい」と思った。小さい頃から宇宙に憧れていた宇宙飛行士毛利衛さんの思いだ。この思い、NASAの衛星によって、私達は何も苦労する事なく、居ながらにして、地球に映る月の影を見る事が出来た。一人の少年の抱いた夢、夢への軌跡は、誰にも描ける可能性がある。
日食騒動の陰になってしまったが、同じ頃(19日)国際宇宙ステーションにいる、宇宙飛行士若田さんの手で日本初の有人宇宙施設、実験棟「きぼう」が完成したと云うニュースが入ってきた。ここでは、地球の大気や天体観測、特殊な環境下での様々な実験、開発が計画されていると云う。
アポロ11号が月面着陸に成功した40年前のあの暑い夏の一日は、今でも記憶に残っている。夢はいつか現実化するのか もの可能性を強く印象付けた。始めから不可能と諦めるのでは無く、夢見る事、興味を持つ事が、自分を成長させてくれるのでは…。
華道専慶流 西阪慶眞
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