奇跡の帰還を果たした小惑星探査機「はやぶさ」のニュースが世界中を駆け巡ったのは6月、その後各地で開催されたこの小さな探査機の展示会場には、ひと目見たいと多くの人が殺到した。人は奇跡を耳にするに留まらず、更に自分の目で確かめる事でその奇跡を、感動を確かな物にしたいと思うのだろう。しかし、この本物を見たいと言う心の高揚こそがその先に更なる夢の広がりを作って行くのかもしれない。映像を通してだが、会場で目を輝かせる子供達、夢を語る子供達の顔に沢山出会った。時代が移り文明・文化が変わって行く流れの中で、一つの現実が人の夢を新たな夢へと繋いで行く。
「はやぶさ」の奇跡が無ければ多くの人が小惑星「イトカワ」の存在すら、未だ知らずにいた様に思う。「イトカワ」に対する科学者の情熱が生み出した「はやぶさ」の奇跡は、今、第2章を迎えた。持ち帰ったカプセルの中にイトカワの物質が入っていたのだ。世界初の成果は、この後世界中の科学者の手によって、新たな太陽系の歴史解明へと繋がって行く。また多くの人の夢となって広がって行くのである。広大な宇宙の中の小さな小さな惑星に住む人間の夢と希望が、長い年月を経て一つの成果を得る。それは、一個人の夢から世界規模の夢へと繋がって行くと言う現実を教えてくれた。夢を持つ事の大切さ、夢に向う情熱の大切さ、思いを一つにする人との繋がりの大切さを改めて思った。夢は身の丈で無くて良い、大きくて良い。夢実現へ向う努力と試行錯誤が、人を育てて行く。結果よりもプロセスが大事ノこつこつと思いを形にして行く過程の中に多くの得る物があり、更なる夢へと導いてくれる。当然そこには多くの負荷も掛かってくるだろう。それも良し、それが新たな自分を導き出してくれる。
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現状に不満無く穏やかにノでは無く、些細な一歩で良い、新たな自分を求めての挑戦に、年齢は関係ない。何かに向って、何かを吸収して、自分の可能性に向って過すのは、ある意味日々を元気に過ごす秘訣かも。
ところで、「トイレの神様」と言う最近の曲を聴いた事があるだろうか。若い女性ボーカリストの歌う、子供の頃に祖母から教わった、「トイレには女神様が居て、トイレ掃除をちゃんとする子はべっぴんさん(美人)に成れる」と言う言葉を元に、祖母との繋がりから死別、自分の半生等を綴った、今年一番泣ける歌と言われている曲らしいのだが、この言葉を自分も子供の頃に言われたと言う年長者から、親から言われたと言う小学生まで、何らかの形で耳にしている人が大半な事に驚いた。ある意味生活の中から生まれた人生教育的な物が、古い時代から現代に至るまで語り継がれている現実に、なんだか、ホッと心緩む思いがした。人の嫌がる事を率先してしなさいと言う教訓…名前を忘れたが、プロ野球の有名選手も学生時代、寮のトイレ掃除を毎日欠かさずにしていた話を聞いた事がある。人の為にでは無く自分を戒める為…と。
志を貫こうと努力する者は、始めから姿勢が違うと言う事かもしれない。
華道専慶流 西阪慶眞
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