紙に印刷すると言う方法で、多くの人に知識を伝達、保存して
きました。古い物には木版画、凸版、謄写版などがありますが、
最近は平版技法の印刷物(オフセット)が大半をしめ、デジタル
化の進歩でその制作行程はかなり簡略化されてきました。一方、
今まで考えられなかった家庭での印刷が可能となり、パソコンに
接続したプリンターで複数枚の綺麗な印刷物が簡単に作り出す事
が出来るようになりました。その上、カラー表示も可能で、今年
送られて来た年賀状を見ても、八割強の人が、自宅プリンターを
使って印刷していることがわかります(数年前に大ヒットした
「プリントごっこ」はシルクスクリーン技法の現代版。この国民
的アイテムもパソコンの一般化で、あっという間に姿を消したの
は記憶に新しい)。
とくに、日本古来の文化は、技法、技術面の伝達に極秘事項が多
く、文書ではなく口伝、体得を主体とし、限られた人にだけ秘伝
を受け渡してきました。しかし、ITの浸透で、情報開示が進み、
ホームページを開けば知りたい情報を知る事が出来るようになり
ました。言い替えればデジタル化した情報が世界中を飛び交う時
代となったのです。
昨年、「アイパッド」がメディアに登場、耳にした人は多いで
しょう。どのような器機かと言えば、簡単にはパソコンの仲間と
考えれば良く、画像、音楽等、インターネットを通じ各種情報が
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瞬時に取り込め、共有出来ると言うもの。中でも、売りは
「読書」。新聞や、雑誌、本がこの器機で気軽に読める。遠
くの本屋に行く必要もなければ、本棚から探しだす労力も軽
減される。ページものでは、次に開いたとき続きが表示され
るという、優れもの。本体の表示サイズはA5版、厚さ約1
センチなので持ち運びのストレスがなく、電車内でも気軽に
読める。レコード盤がカセットテープに、そして、CDカセッ
ト、MD、HDに移行したように、今年からは、本もいよいよ
新しい媒体に変わろうとしています。いわゆる電子書籍と称
されるもので、紙に印刷されたものを読むのではなく、モニ
ター画面で読む。日本では著作権、出版元の版権などの問題
でまだ実用化には時間がかかりそうだが、すでに、雑誌関係
では公開化、オープン化が進み、グローバル化に拍車がかか
っています。
本のIT化には正否の議論が交わされていますが、本を読
む事の活字認識は持続されつつ、多くの本を一度に持ち運べ
る利便性があり、各方面で期待されている事は確かである。
テレビも今年7月24日には地デジに。録画保存はテープの時
代からHDのデジタルに。いよいよ、ITに、少しは耳を傾け
ないと時代を共有出来なくなりそうです。
華道専慶流 西阪慶眞
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