花模様/専慶流 ●2011年11月1日発行/専慶流いけばな真樹会主宰・西阪慶眞

●京都南部は日本を代表するお茶の産地で、丘陵地の北斜面では良質の茶葉が栽培れている。機械で刈り取られた畑は幾筋もの蒲鉾状となり、緑の濃淡が鮮明な帯状のコントラストをつくる。いけばな素材には、庭木や放置された自然もので、年数の経った素材。親指程度の太さ、苔むし絞まっている、面白く茎が曲がっている、葉が綺麗なもの。茶の白い花はアクセントに付いていれば良。

ポイント 
 苔むした古木は折れ易いので、撓める際は切り込みを入れる切り撓めで、慎重に。
 若い木では葉を多く使いますが、作例のような古木では、幹を見せる事に視点をおき、葉は少なめに。
 配材は黄色キブネギクも良く似合います。



●花材/ 茶、スカシユリ
●花器/ 大津寄花堂作白金コンポート
●花材/ ノブドウ、ヒマワリ、ユーカリ樹
●花器/ 大津寄花堂作二口花器

ポイント 
 雑木林や荒れ地に自生するこの蔓性植物の実は青、紫、濃ピンク、パールなど七色に色を付ける。
実は小さく、軽量のため、細い茎でも枝先を宙に浮かせて扱う事が出来ます。ここではユーカリのマッスにノブドウの網ををかけたような格好で覆いかぶせています。ヒマワリは後ろの隙間から少しのぞかせる程度に扱い、器の赤と黒の色を作品に溶け合わせています。

水揚げ 水切り。

いけばな専慶流/ヒマワリ

 いけばな専慶流/フロックス ナンキンハゼ

自然と共に・明日への学び

 芸術の秋…花展シーズン到来。記録的猛暑や震災、世界的な気候
異変が、時には一瓶の花をいけるにも、いけ手を悩ませる。しかし、
開場と同時にそんな苦の部分は一変、並んだ作品の華やかさの裏に
隠されてしまう。手を掛けた自己表現の結果が来場者の心を癒し感
動を与えられれば、そのどんな苦労も報われる。そんな花展会場は
例年、様々なこぼれ話の宝庫となる。
 例えばこんな気になる話が耳に…。いけばな人口の減少は、大切
な日本文化の衰微に繋がって行く。海外で賞賛されるいけばなの心。
何故、発祥の国でその伝承に黄色信号を点すのか。どうすれば継承
出来るのかと真剣に議論。偶然始まった巨頭会談のメンバーは、流
派の違った数人の先生。誰もが口を揃えて言うこと、それは自分達
が花を学んでいた頃とは、取り組む姿勢がまるで違う。モノ豊かな
現代社会、学びたいものは、意思さえあればどんな内容のものでも、
いつでも始められる…そして、止めることも。自分達の時代は、学
べるものも少なく、学ぶ事も容易ではなかった。学ぶ空間を得られ
ただけでも幸せ、だから真剣に向かい合い、その空間を大切にして
いた。当然時代が異なってもスランプはある。だからと言って止め
るのでは無く、どうすれば…と歯痒い思いをしながら、情けなさや
悔しさに涙しながら向き合ってきた。止めれば良いと言う意識には
繋がらなかった。何故なら、自分磨きの側面を大きく担っていたか
ら。

 時代背景の違う現代、さてどうすれば…。少しでも多くの作品を見てもらう事、興味を持ってもらう事、その為には流派を超えて協力し合う事が必要の意見で一致。昔の様に流派の壁で仕切っていてはいけない。人の好みはそれぞれ、見る人は流派を見るのではなくそこに生けられた花、生命、美を見る。心引かれれば、花は良いな、自分も生けてみたい、と思うかも…今は些細でもそんな花との出会いの場、感動の作品を提示し続ける事が、いけばな発展へと繋がって行くのかもしれない。嘆くのでなく、もっともっと前向きな姿勢とエネルギーの放出を目指さなくては…。今までの指導法やあり方では拒否反応を。私達自身の身構えも、昔のままではなく、本当に大切な芯の部分は譲らずとも、現代に即した柔軟な思考回路で向かうしかないのだろう。早速スケジュールを調整して…と、聴いていればやはり熟年者、決断は早い。やらずして嘆いていても前進は無い。とにかく始める事が大事と。小さな一歩が、日本古来の生け花文化を繋ぐ一つの道となる事を願いたい。 
 そういえば、各流派とも次世代の育成にと、子供いけばな教室や学校華道にも力を入れている。しかしながら、笛吹けど踊らずではないが、その効果は必ずしも期待通りにはなっていない。それもそのはず、一ヶ月一回、しかも一時間の授業では、講義どころか、実習時間もない状態で、効果をあげようと期待する方がおかしいだろう。 
 花を大切にするこゝろが大人のヒトから薄れている素因も深刻である。

          

                華道専慶流 西阪慶眞


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