いけばなに携わり、すでに半世紀を超える。当初の使用花材は、
ほとんどが野山や民家の前栽などに出向き、自らが切り出して来たも
のでした。いけばなに熟知した者が採取するのだから、いけ上がりの
形を想像しながら枝を選び、切る。そして、瓶数に応じた必要量だけ
を切るから無駄がない。最も気を遣うことは、数年後どのような形で
枝を伸ばし、成長させるか、の読み。つまり数年サイクル(3→4年)
でいい格好で切れるように残す事が問われるのです。種を蒔いて数ヶ
月で咲くような一年草に比べ格段の配慮が必要で、切り出しの技量を
高めるのにも長い時間がかかります。何故なら答えが返って来るのは
3→4年も先なのですから。ヘタな切り方をすれば本体の樹木そのモ
ノを枯らす事にもなりかねません。それが前栽の木ならまさに真剣勝
負?、持ち主の人に透かせてもらって感謝されるような枝の切り方が
要求されるのです。だから私達の心には自然にこうした合理的サイク
ルの考え方が広範囲に共通基盤となっていったのです。里山で暮らす
人々のモノを大切にする心とも共通した思考回路だったのです。
原子力発電は表面的にはクリーンで膨大なエネルギーを産み、私達
の豊かな暮らしや、経済発展を支えて来たように見えます。しかし、
本当にそうなのでしょうか。「安全」神話がもろくも崩れ去った今で
は、深刻の極みです。大気汚染、土地や植物などに与えた被害は広範
囲、とくに人への影響はこれまでに経験した事のない甚大なものに。
それが、何十年、何世代か先にまで影響を与え続けるという、まさに
怪物。半径20キロ圏内及び風向きに応じた地域への立ち入り禁止、一
部長期避難区域としたが、その広大さに唖然とする。住人は何時帰れ
るのか解答はない。
|
|
一つ間違えればこれほどの代償を費やす事になる原発。今後も何万人にも及ぶ命を蝕み続ける現状を知りながら、今なお原発賛成と声高らかに叫ぶ人々のなんと身勝手で非人道的なことか。
相手は停める事も、廃棄する事も出来ない核と言う怪物なだけに、一日も早く手を切り、クリーンな次世代エネルギーの開発に全力をそそいでもらいたいと願う。と、同時に無駄のないエネルギーの使用法を真剣に考えたいものです。
○雨水を貯めておき、水洗トイレや庭木の水やりに使用 ○山水の利用を再検討 ○太陽光エネルギーの高効率化の開発 ○地熱利用 ○電力貯蔵(蓄電池)の開発 ○風力発電、バイオマス発電などなど。
オール電化の住宅だけでなく、今や電気に支えられている分野は広範囲に及ぶ。停電になって初めて電力依存の大きさに気づく。高層ビルに住む人はエレベータだけでなく、水も止まる。医療器機の大半も電気で作動している。家庭では電話、テレビ、照明、パソコンだけでなく、石油ファンヒータも使用出来ない。ここに来て薪を燃料にするダルマストーブが見直されていると言う。
華道専慶流 西阪慶眞
|