予定より3年遅れ、宇宙を彷徨いながら7年間、60億キロの旅を終えて私達に感動を与えてくれた「はやぶさ」の帰還から早2年半以上。つい先日、火星の岩石採取成功のニュースが届いた。思えば見上げる遥か彼方にまで地球の文明は進出?しているのだと今さらながらの確認、驚きだった。宇宙は夢物語、想像を駆り立てる…そんなファンタジーの宝庫であったのはいつの頃までだっただろう。昭和中期世代の私は子供心に「宇宙人、イコール火星人」と言うのが宇宙との関わりの始めだった。想像上の火星人として描かれた姿に興味津々…まさにその火星に人間の手が入った。火星だけでは無い、宇宙空間が今、夢の空間から現実の空間へと移行しつつある。半面、夢のまま、見上げた空の向こうに都合の良いロマンを描いていたい様な…そんなロマン意識も働いていた矢先、2月16日ロシアのチェリャビンスクに隕石が落下。青空を走る隕石の爆発による雲状の筋、辺を照らす一瞬の閃光、爆音、衝撃波による被害。テレビ放映された画像はSF映画?そのものだった。
「戦争?ミサイル?…」突然の出来事を体験する事になった人々の恐怖はどれほどのものだっただろう。NASAが100年に一度の出来事と言う大型隕石衝突で、負傷者1200人、被害を受けた建物4480棟…。火星に行けるほどのスゴイ技術を手にしても、宇宙から飛んで来るこの隕石落下の予測が出来なかったと言う事実が新たな疑問に。記録は、直径17メートル、重さ1万トン(東京タワー27個分)、秒速18キロメール(ジェット機の30倍)、被害圏5000平方キロメートル、爆発によるエネルギーの放射はなんと広島原爆の30倍とか…。
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発表される度に驚愕の数字が。24時間監視体制で惑星、隕石の動向を見守っている組織 “日本スペースガード協会”の存在も初めて知った。その代表の言葉によると、1メートル以下の隕石は毎日の様に落下していて、年間4万トン以上になっている。(つい先ほど、豪サウスオーストラリア州の内陸部にあるイースト・ワーバートン盆地で、3億年以上前に起きた小惑星の衝突によってできたと考えられる直径約200キロメートルの巨大なクレーターが発見されたニュースが。)
今回の隕石落下の一部始終がスマートホン、ドライブレコーダー等、一般の人の手で多くの映像記録を残せた事が、今後の隕石落下、その回避に大きな指針を与える事になったと言う。
一方、私達の身近な所に生息するマダニの媒介で、まだ有効な治療薬も、ワクチンも無い新種の感染症発症例が報告されている。私達の住む空間は、大宇宙から、数ミリのダニにいたるまで、大小にかかわらず、押し寄せる恐怖にも怯えなくてはならない。新聞紙上にある戦争、ミサイル等国際問題、いじめ、体罰…今を共に生きる為に人としてどう生きるべきなのだろう。きっと、解っていても出来ない…様々な流れに逆らえない、それが現代社会の大きな問題の様に思えるのだが。
華道専慶流 西阪慶眞
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