花模様ロゴ ●2013年8月1日発行/専慶流いけばな真樹会主宰・西阪慶眞
いけばな専慶流/朝鮮槙

●花材/朝鮮槙
●花器/大津寄花堂作緑釉花器

●定番の生花。

 お盆の度に生ける「朝鮮槙」生花。寸胴や薄端に入れる事も多々あるが、又木を使う事に不安があり、せいぜい剣山にと云う傾向が強い。しかし材が太く剣山に挿す事も容易ではない。ここでは剣山を底に置き、さらに上に又木を設置。留め具の二重構造で安定させている。材は矯め易い類に入りますが戻りやすいため圧縮をかけてしっかり撓めること。

ポイント 
 人より下部は細かい横枝を多い目に。これらは後方から入れて前に出すように使うと足元が綺麗に仕上がります。

又木の仕込み 専慶流では又木を図のように斜めに張ります。何故だかおわかりでしょうか?


根元配置図

ポイント 
 ボール型の面白い形の器。奇抜で、お茶目な表情が気に入ってるのですが、朱色である事も作品を際立たせてくれます。
 南天の緑の葉がとてもすゞやかで、ヒマワリの重さを和らげています。

水揚げ 水切り。

●花材/ヒマワリ、南天、ゴッドセフィアーナ
●花器/大津喜花堂作ボール花器

 

専慶流/ヒマワリ、南天

 専慶流/タカサゴユリ タカサゴユリ

穏やかさを欠く思いやり

 今夏、猛暑日の連続が新たな気象記録となった。近年の異常気象の表記も、夏日、真夏日、猛暑、酷暑…と次々更新される。気温に限らず様々な気象記録の更新は、水害、干ばつ等様々な災害となって私達の生活を脅かす。自然故に仕方が無い…ではなく、快適な暮らし、近代的な社会の代償…と言える部分は否めない。
 自然界、そして私達が暮らすこの社会、はたして何処を目指して進んでいるのか、不安要素拡大は日々の暮らしにまで及んでいる。
 善悪…物事全てが二面性を持っている。見方を変えれば善になり、また悪になる。若い頃は、自分を基準に一方的に悪は理由無く悪なんだと決めつける方向に無意識に行っていたように思う。しかし、最近は、どちらの言い分にも、耳を貸し、その先に自分で自己判断…。しかし双方の言い分を聞けば聞く程判断はきわどく…結論を出すのは難しい。誰の目にも駄目な物は駄目!と明らかに言い切れる事象は良いのだが、考えれば考える程、人は身勝手、自己中…それが性なのか。
 6月に世界遺産に登録された富士山の北麓、山中湖を含む3つの湖で、特定外来生物の指定を受け、駆除の対象となっているブラックバスを養殖、放流、それをメインに掲げ太公望を招く…これを生業にしている地元漁師がいる。自然保護を考えれば、今時ブラックバスなんてあり得ない。承知の上で漁協はそれを認めている…何故なら漁師の生活が掛っているから。これまで特例で認められて来た放流の期限切れに伴い、県に継続を申請…そう、ここが始まりではなく、ここまで続けられて来たという事実上の問題。

「背に腹は代えられない」、継続拒否を訴えていた日本魚類学会の要望より一部県民の生活を優先、県は特例として、今後10年間の継続を認めた。一つ例外を作れば、規律は崩れて行く…人情的に見放せない…この結末は、次回更新まで現状維持に。また10年先送りの判断…その先にどんな変化を望めるのか。安全の確証ない原子力発電の政府継続方針も末代にまで及ぼす大きな影響を遺産としかねない不安要素満タンのままゴーサインを出すとは。それも世界唯一の被爆国でありながら賛成の立場。命を金で?、そんな疑念はぬぐい去れない。
 間違いを正すのは誰?責任を持つのは誰?今の世の中、正しいのか、間違っているのか…誰の判断が一番正しい?こんなに不確かな世の中を私達は生きて行かなくてはならない。自分の思いが正しいと言ってくれる人は、周りにどのくらい居るのだろうか?片方を優先すれば他方に害が…米軍の辺野古移設問題、国を左右する国政の場でさえ、何も変わらなく思える。しかし、私達はいつか、どこかで判断をしなければならない。より正しい判断をする為に、私達が出来る事、それは、より多くの情報を得、学ぶ事を忘れない事かもしれない。
 法治国家、国が守ってくれる…そんな意識は現代人にあるだろうか…日々変わりゆく現代社会の中で人は今、頼れる物の不確かさの中で自分の身を守るのは個人という傾向にあり、そうして自分を正当化して行く。人ごと意識のままでの一方的判断は、時には残酷なものになる場合もあるだろう、しかし、パスを出さないと得点にならない事もある。生活環境も酷暑、酷生になるのかも。


             華道専慶流 西阪慶眞


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