テニスの錦織圭が96年ぶりの4強入り、そして4大大会日本人初の決勝進出を。惜しくも準優勝に終わったが、至る所で時間を問わず見入った多くの人々は惜しみない賞賛の拍手を贈った。彼に限らずあらゆるアスリート達に向けられる応援と賛辞は、そこへ到るまでの抱き続けた夢への惜しみない努力と揺るがぬ意志の強さに贈られたもの。また、山中教授の作製したIPS細胞、この細胞を使った初めての手術が実施。日本の最先端、再生医療の現場が一歩前進のニュース。反面STAP細胞問題は未だに解決されず…どちらも患者を思っての研究なのだが、置かれた現状は大きく異なる。更に、朝日新聞の「慰安婦」「吉田調書」記事の誤報謝罪、単純に誤報と片付けられる問題ではない。このように私達は日々様々なニュースに一喜一憂、時には人生に大きく影響する事もある。
感性、感覚、価値観…同じニュースを目に、耳にしても、受け留め方は千差万別。そこから導き出される答え、単純に良し悪しの判断をすれば本来一つであるべき回答も、現代社会では複雑極まり無いものに。同じ問題も見方、捉え方…更に一番厄介なのは物事の本質ではなく、立場や地位と言った後天的付加要素次第で、まるで異なった判断となり、言論の自由の下、それが公然と述べられる社会だからだ。情報の悪循環?例えば普通に考えれば当然「否!」と断定が下される事であっても、誰かの一言、それに右へ倣えがまかり通る世の中…誰が考えても決して良い結末とは成らないだろう事が。
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例え今この瞬間を巧く通り過ごせたとしても、いつか必ずその報いを被る事があるはず…近年の自然災害、原発問題、様々な理由を元に後を絶たない紛争…現代社会が抱える多くの問題は、我が国だけでなく世界中の問題であり、その元が何処にあるか、私達人間の我が儘な欲望から生じた文明社会がもたらしたものであると言う事だけは確かなようだ。だからこそ人任せにせずひとりひとりが最大限の考察をし、ぶれない自分の意志の確立…それしかなく、その上で自分の下した決断に責任を持つ事が大切であるという結論となるのだが、はたして長い時間の積み重ねの上にある現代社会、どのように改善して行けるのか、ましてや個人による真実の追求は容易ではない。
西アフリカ諸国のエボラ出血熱の流行、代々木公園に始まったデング熱の感染拡大。新たに発見された伝染病ではない。デング熱に至っては、日本の様々な地域で普通に発生している…と。では何故今パニックに。大きな要因は医療技術の発展に伴う検査機能の向上により断定が容易になった事、そして何よりもネット社会だと云う事。過度の情報が入り乱れ、情報発信の高速化、広域化が人々を瞬時に不安へ、パニックへと導いてしまう。発信された情報が正しければ良いが、確かな情報を得る判断能力、そして、どんなに些細な事でも自らの発信にも責任を持たなくてはならない。
華道専慶流 西阪慶眞
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