花模様/専慶流 ●2014年12月1日発行/専慶流いけばな眞樹会主宰・西阪慶眞

枝付き若松

●ユーフォルビア・フルゲンスは細い茎が弓な
りに曲がるのが特徴で、赤、橙、クリーム、白
の花(包)を咲かせ、11月頃から2月頃に流
通。葉を取った所から樹液が出るので他を汚さないよう注意します。

ポイント 
作例は直径13センチ、高さ11センチの器に”小さな生花”にいけたものす。
これなら、ちょっとした棚や下駄箱の上にも調
和し、格調ある趣がただよいます。
素材の枝若松を上下に分解、横枝の短い枝は
控に。上部の枝は緩やかに撓めて天と天添にします。アンスリュームの葉を面扱いであしら
いとし、白のフリージヤをアクセントとします。
枝先で曲がったユーホルビアを人、もう一本を
つなぎの人添とします。天の後にゴッドセフィアーナを配し、フリージヤの葉で地に。そして
天の後と後控にガーベラを添えていますが、何
れも陰扱いで、優しく色を取り込んでいます。
シンプルな組み合わせながら雅味のある一作と
なります。


●花材/ 枝付き若松、ユーフォルビア、アンスリュームの葉、
ゴッドセフィアーナ、フリージヤ、ガーベラ
●花器/ チェック模様カップ

●花材/ 三光松、アネモネ、水引
●花器/ 紺釉地金線創作花器

ポイント 
 盆栽用の男松をいけばな用に栽培した
三光松。春の花と水引を配して、いかにも
新春を祝うにふさわしい寿ぎをただよわせ
ています。変形花器の形に合わせて横に長
く松を配し、水引の扱いも横方向に統一を
はかり、アネモネで引締めています。
水引は水に浸けないよう、松の茎や葉に引っ掛けて留めます。

新たな年を前にした年の瀬、思いの丈を吹き込んだいけばな飾りで心引締めたいと思います。

水揚げ アネモネは水切り

いけばな専慶流/三光松

 さざんか 山茶花


希望を語る創作のとき

 師走…一年の締めくくりと位置づけられたこの月を迎え、私の「もう!…」は最大級になる。何にが?なぜ?の理屈ではなく、過ぎた時間を思う時、その体感が余りに短く、早く思われるからだ。時の長さは不変、誰もに分け隔てなく与えられ、決して例外は無い…にしても、過ぎた時間の捉え方は人それぞれに、また、その時々の心境でも違ってくる様に思う。毎月の始まりにもう○○月!や、季節の移ろいにもう春!等々時間の経過に伴ってこの「もう」が頻繁に登場する今の私にも、同じ時を反対に「まだ…」「まだまだ…」という感覚で捉え過ごして来た時も間違いなくある。その両者の差が何処で生じるのか。一概には云えないが、振り返って考えると結構年齢的な要素も大きく影響している様に思う。思えばいつの頃からだろう?私の場合は少なくとも30代の頃にはまだ「もう…」の感覚は無かった様に思う。若気の至り?そう、特に若い頃は「もう!」では無く「まだ…」「まだまだ…」オーバーに言えば、時は未来への可能性に向けて無限大に存在する物のような錯覚の中に居たとも今だから言える。あれもしたいこれもしたい、将来は…など、様々な夢や目標を抱き、胸躍らせ、その実現への時間は無制限にある様な気がしていた。
ではどこから「もう!」に?。
端的に言えば、未来ある若者、夢や希望、目標を持っている人々にとっては先に限りを感じるどころか広がりでしかない。しかし、全てとは言わないが、年齢を積み重ねる中で私達は多くの事を学び、様々な経験を積み重ねるうちに、善くも悪くも大人だから…という社会の中で暗黙の了解とでも言えば良いのだろうか、

常識ある大人として、年長者として…という枠の中に強制的にとも自発的にとも言えない中で、ひとくくりの規制枠に知らぬ間に入って行く。実年齢では計れない大人年齢とでも言えば良いのだろうか。「もう、こんな年だから」「もうこんな時間…」「もう今更…」等々に見る「もう!」の感覚には、諦めではなく、どこか諦め切れない思いを、私自身無理強いし自分に言い聞かせている部分がある様に思う。いくつに成っても夢や希望は、形を変えて誰の心にもあるはず。ただ、大人だからと云う理由で失敗を恐れ、仕方なく回避への思考が働き、残念な事に一歩を踏み出す機会を失ってしまう…そうではないだろうか。
 しかし、どうだろう、師走、締めくくりと同時に新たに始まる時へ、新たな自分への挑戦を始めるスタートラインだと捉えれば、物は考えよう、一年の終わりを憂えるのではなく、新たな挑戦への始まりの時と成る。過ぎて行く時間の流れに変わりはなく、どんな時間を過ごすのかは、私達の意志に委ねられている。人は生きている限り常に「まだまだ」先に向かって時を積み重ねて行ける、時には転ばぬ先の杖を思わず、転んでもただでは起きない位の意志と前向きさで、新たな自分探しの時を歩き始めるのも良いのでは。気持ちの持ちようで、思わぬ出会いや、発見で新たな自分に出会う…お行儀良くなんて体裁を気にしないで、時には思いのままにわくわくした気分で「まだまだ」という時を積み重ねて行くのも良いのでは。
皆さんとご一緒に新たな年を迎えられる事に感謝です。

          

                華道専慶流 西阪慶眞


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