花模様ロゴ ●2015年10月1日発行/専慶流いけばな真樹会主宰・西阪慶眞
いけばな専慶流/ニシキギ

 「ヤブサンザシ」は本州中部から九州にかけての低い山や里山に自生する1.5メートルまでの低木。掌状葉は秋に紅葉することから、葉と紅い実を同時に使う事も。
小さな植物群の間を縫って生育する事から真っ直ぐではなく、屈折している事が多く、下部の幹はざらついています。

ポイント 
 細い茎のヤブサンザシを生花様式にいけています。一本の枝から数本出た枝をうまく胴あたりに配置、伸びやかな茎に連なる紅い実を可愛く捉えています。撓める時に実を落としたり潰さないよう細心の注意を払いながら枝を作っていきます。


●花材/
ヤブサンザシ、旭ハラン、嵯峨菊、キキョウ
●花器/
慶眞デザイン花器
●花材/
ヤブサンザシ、ゴッドセフィアーナ、二輪菊、リンドウ
●花器/
黄釉薬創作花器

ポイント 
 茎が太く、長い素材が届きました。どの位置で分解するかが問題ですが、この場合奔放な勢いを捉えようと考え、上下中央あたりで切り、下部の枝を「主」に、残り上部の枝を「主の2」「留」、残りを前副に配分。花形は横体形ですが、左右対称を意識しながらいけ進めていきます。

ノイバラ

 専慶流/ふじばかま コスモス

難しい優先順位…

 「また被災地がひとつ増える」…。このアナウンサーの一言に、押さえきれない憤りが…。紛れもない事実、確かに誰もが目にしている現実だが、またひとつ…はあまりにも軽視しすぎなコメントでは。 9月中旬関東、東北で起きた豪雨による災害で、突然日常が壊された被災者の皆さんには紙上からではありますが、心からのお見舞いを申し上げます。
 東日本大震災の経験から「かつて経験した事のない…」に象徴される特別警報、震災から4年半を過ぎ異常気象の「異常」と同様、既に感覚的には「特別」では無い様に思える。自然の猛威の前に無力…?いつまでこの言葉で片付けるのか。災害の度に、四季ある自然豊かな島国だから避けて通れない…に、言葉にならない怒りと、悲しみと、悔しさと…何故?、単純にどうして?の思いになる。
 人災…、ある意味まさしく人災なのでは? 人の知能は多くの可能性を秘め、科学技術の発達を初め様々な分野が驚くほどの速さで進歩しているのに、目指す方向は利益の追求、自己満足、富と名声…が目につく、言い過ぎだろうか。上部の華やかな現代社会は、人々が安全に、幸せに暮らせるという一番大事な基礎がおろそかに、忘れられている、様に思えて成らない。その皺寄せが、被災と言う形で私達へ今なお警鐘を…、なのに繰り返される。変えなければ、変える…の言葉はあくまでも言葉、現実にひとつの災害を経験した事から何を学び、2度と経験しない様にと、どれだけの対策が講じられてきたのか。誰しも容易ではない事は百も承知。国の運営…、自然災害ばかりに関わってはいられない。もちろんそうだが、本来国を生かし、育て、導いて行くのは私達一人一人であり、原点は人そのもの。そんなベースとなる人がどれだけ穏やかにノビノビ生きて行けるのかが、一番に考えるべき事。まずはシンプルに、生きて行く為にはどうあるべきか!何を優先すべきか!それぞれの地域や、部署が真剣に趣味レートすべき事。私利私欲を排除し、可能な限り人が共に安全に暮らせる環境作りを目指すのが第一でなくてはならない。間違いなく、訪ねればきっと誰もがそれが当然の事と答えるだろう。
 しかし、体制には様々な問題がある。事が起こらなければ、事前対処をしない。例えば民家に蜂の巣が出来、近隣の人に災いが及ぶ危険性があり取り除いて欲しい!に回答は、市民の誰かが被害を受けましたか?と。

また、住宅街、小さな子供達が路上で日常的に遊んでおり、事故回避の為に当然あるべき場所にミラー設置を願い出ても、現実に起こっていない事実の前にはこれも同じ、悲惨な状況が現実になって初めて動く。自然災害を含め何を良しとすべきかを認識しているにも関わらず、肝心な所で、転ばぬ先の杖は手つかず。知っていながらそれを実行出来ない訳は何処に…。今の治水工事のペースでは1000年掛かるデータもあるそうだ。
 今回被害を受けた地域の中に、既に江戸時代から反乱を繰り返しているところがあり、その一部に、過去の氾濫をきっかけに地域で高所に移転、その後被害に遭ってないと。これこそが経験から学んだ結果。大きなリスクを伴ったのは言うまでもないが、命の危機を逃れ、安全な生活の為にそれを越える決断を自分達で下したのだ。全ての責任が国や諸機関だけにあるのではないのもまた確か。今回の災害では国民性も取り上げられていた。「まさか我が身に降り掛かるとは…」と言う思いに非難が遅れたと云う事実が。繰り返されている災害を目の当たりにしながらなお自分の事として捉えられていない。自分を守るのは自分、自分が日々どんなリスクの中で生活をしているのかを認識し、人に頼らず可能な限り自ら回避の手だてをしておくべきだろう。時にはそれが未然に災害を防いだり、最小の被災で済む事に。時には、二時被害を防ぐ事にも間違いなく繋がるはず。危険察知も、普段から意識をしている事が自分の身を守る最大の防御であり、人に迷惑を掛けず互いに助け合う事に繋がる。私達現代人は、依存体質、指示待ち、果ては責任転嫁の悪循環に成りがち。もっと一人一人が危機感を持ち、自ら進んで危機回避の努力をすべき時代に生きている事を、この大きな災害を代償にもう一度しっかり認識し直すべきでだろう。
 大事の前に小事は切り捨てる、時に見過ごす事も。しかし、物事には必ず原因と結果があり、それぞれの立場を主張するだけでは決して解決に向かえない。その場凌ぎ、目先だけで終わらせれば、後悔する日は必ずいつか訪れると肝に銘じておくべきだろう。「急がば回れ」目に見える近代化よりも、まずは古い物を再検討、時間と労力とお金を掛けても、安全、安心の社会への近道なのでは。

             華道専慶流 西阪慶眞


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