専慶流 ●2016年3月1日発行/専慶流いけばな真樹会主宰・西阪慶眞

●常緑低木のアオキは日本原産で、関東以西から沖縄あたりまでの森林に自生すると云うが、日陰にも育つ事から日本庭園や中庭など広く植えられている。果実は赤くなり、12月頃から4月頃まで付いている。作例素材は田舎の前栽から切って来たものだが、これほど蜜に付けることは珍しい。茎の青い箇所は撓めが効くため、天流しいけにして、茎の動きを派手に扱いました。

ポイント 
 沢山の実が付いているため素材はかなり重い。そのため、安定の良い花器に又木を使っていけています。赤い実を強調するため、葉は極限にまで整理する事が重要です。

●花材/ アオキ、洋菊、ハラン
●花器/ 手作り現代花器(西阪慶眞作)

●花材/ キブシ、アスパラガス、他
●花器/ アルミ造形

ポイント 
●建築資材の骨材として使用されるアルミ材は、強度を出すための工夫として、断面構造に計算された幾何学模様がほどこされている。この構造を利用して中央部支柱に水平の単体を上部へと組み合わせている。写真では解りにくいが、前後立体的配置をもたせていて、そこへキブシをマッスに配し、アスパラを上段から下垂。アクセントにフリージヤを添え、冷めたい個体に新風を感じさせる作品に。上段、中段に小さな缶を埋め込ませている。

水揚げ 水切り。

いけばな専慶流/アルミ



 菜の花

世代差?

 ある自治体が子育てに関する少し変わった冊子を発行。その県
には何処から情報を耳にしたのか他府県からの問い合わせが増え
ているとか。内容は育児に関する物なのだが、一般の育児書と違っ
ているのは配布の対象者がこれから出産・育児に向かう妊婦にでは
なく、孫に向かい合う祖父母向けと云うのだ。当然の事ながら子
育ての経験者、なのに今更何故?と祖父母世代の人は疑問に思う
だろう。しかし、現実にこの冊子が嫁姑間の子育てに関する確執
回避に多いに役立っているというのだ。自身の経験を元に新米パ
パ、ママへのアドバイスは当然相手を思っての事であり、自分達
もそうして助けられ、教えられ子育てをしてきた経験に裏打ちさ
れた確かな自信が有っての事ノしかしこの自負こそが冊子が必要
とされる所以。例えば、泣く赤ちゃんを抱けば泣き止む、だから
泣けば抱くと云う動作は、抱き癖になるから避ける様にノと向き
合って来た世代と、今は泣けばいつでも抱いてあげる様にノさて
あなたはどちらを正解として向き合って来たでしょう。この違い
は単なる一つの例に過ぎず、種々様々な部分で昔と今では随分異
なる。その変化を知らぬまま孫に向かい合おうとすれば、当然世
代間の違いに互いに譲れず、望まぬ関係へ…
 「聞く耳を持つ」と云うのは、賛同、同調すると云う意味では
なく、向かい合う人の思いや意見等々をまずどのようなものか受
けとめると云う事。当然生きて来た長さはそこに積み重ねてきた
多くの経験があり、学び得て来た豊富な知識がある。しかし個性
も含め、生きて来た年数だけで甲乙は決められない。互いに同じ
時代の中、同じ空間で共に生活をしていても、個人個人が受けと
めている現実はそれぞれに多種多様に変化。

多数だから正解、少数だから切り捨て…人の世、人の繋がりはそ
んなに単純な物ではない。更には持ってしまったプライドが判断
の巾を狭めてしまう事も現実には多々有る。そう、自分の思いを
言葉にする時、そこに責任が発生すると云う事をどれだけの人が
自覚しているだろうか。確かに「言論の自由」と保証されてはい
るが、特に知識人や、社会的な地位にある人の言葉は、内容はと
もかく、あの人が云うのだから間違いは無い…と安易に思い込む
人がいるのは事実。そこに経験や、学び得て来た知識の元に考え
出された思いが伴っていなければ、結果次第でいとも簡単に無責
任な責任転嫁へと繋がってしまいかねない。
 現実として、世代間の違いに物の捉え方、考え方に差異が生じ
る事は避けられないことだろう。時代を超えて、そこにある良し
悪しを互いの判断で見つけ出す共通努力が第一歩になければいけ
ないだろう。とくに今の情報社会、思い込みで不本意な結末へと
導かれる例が後をたたない。目や耳にしたく無い情報がわずらわ
しい事もある。しかし、これも見方を変えれば、自分にとって常
にどう有るべきかを問い正す機会を得ていると思えなくもない。
意志決定、何が何でも決めた通りに行かなくてはならない!ので
は無く、常に聞く耳を持ち、より自分が目指す確かな方向へと軌
道修正する事が、ズレのない本来自分の求めている結果へと導い
てくれるのでは。

          

                華道専慶流 西阪慶眞


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花模様  専慶流