専慶流 ●2016年4月1日発行/専慶流いけばな真樹会主宰・西阪慶眞

●斑入りのナルコユリは鉢でも地植えでも手間かからず育てる事が出来る強健な植物。病害虫もほとんどなく、油粕を少し与えておくだけで毎年楽しめます。直射光でなく、半日陰が良さそうです。写真は自栽のもので、花が咲き出して数日後に採取したもの。

ポイント 
花がある頃はまだ茎葉ともに未成熟で弱いため、撓めは避け、自然の姿そのままで扱います。反りのある勢いある枝を天に選び、人、地は受けるものを。人の裏添と控の計五枚で構成。胴と人添辺りにエビネランを。

黄色のエビネランも強く、庭の片隅に植えておくと重宝します。

●花材/ ナルコユリ、エビネラン
●花器/ 足付き黄釉創作花器


●花材/ ミツバツツジ
●花器/ 赤黒創作花器

ポイント 
●十数年ほど前から急に減少しているミツバツツジ。近郊の里山では地域を挙げて保存活動に取り組んでいますが、下草刈りや動物からの保護など想像以上の労力が必要で、愛情なくして里山の景は維持出来ません。
貴重な素材だと云う認識で向かえばハサミを入れるのも緊張するものです。わずかな枝も無駄にしない細心の注意を払いながら、一方で、自由な動きを求める野趣味な感覚が求められることから「見せない技巧」が不可欠となります。
花の集合体に動きを求めた構成を。

水揚げ 水切り後、根を割る。

いけばな専慶流/アルミ



 我が家の椎茸

継承のカタチ?

 時代が変われば人も変わる…。現代社会は急激な変化に、人の
思いや心が共に変わるのではなく、追い着いて行けず異質な変化
をしている様に思えてならない。時代に合わせて変化すると云う
よりも、自身が受けとめ、理解し、納得のゆく変化なら良いが、
流されて変わらざるを得ない、それが自らの力不足ならまだしも、
良し悪しを自己判断する前に、さもそれが当たり前、異を唱えれば、変人と呼ばれかねない現実…、果たしてその判断基準は何処に
あるのだろうか。
 最近再度話題になった二宮金次郎の像、私の記憶に残っている
のは、校庭に立ち、薪を背負い、手に持つ本を読んでいる姿。当
然の如く、細部の違いの有無はともかく金次郎の像が全て同じ姿
をしているものと思い込んでいた。薪を横におろし座って本を読
む姿、薪も無く一人座っている姿、あげくの果てには宇宙へと飛
び出すジェット噴射着き?の金次郎像等々に変化していると云う。
更にそんな像の出現理由に至っては、どうしても???…はてな
マークで一杯になる。過去に遡って検証すると事実とするには無
理がある?、本は座って読んだ方が良い?、歩きながら本を読む
のは危険?等々。そんな理由で本当に良いのだろうか、何故像が
あえて校庭に建てられたのか、その像にどんな意味があったのか
を考えれば、姿を変える意味が何処にあるのかと思えてならない。
勝手な思いだろうか、子供心にもあの像を見て思った事、教えら
れていた事、あの像が伝えたかったのは、現実として可能かどう
かではなく、どんな状況下でも学ぼうとした若者の懸命な姿がそ
こにあったということ。全てに満たされなくても、努力で人は思
いを形に出来ると云う方向性を示そうとしたのではないか。それ
を文明の発達した日常の中で、現実、非現実の区別を明らかにし、

全てを現代の目線に合う型にはめ込まなくてはならないのだろう
か。歴史の中の偉人達には蛍雪の明かりで学んだ、薪を背負って
働きながらも学ぼうとした等々、様々な苦労伝説が残っている。
それらを全て明らかにし否定する事が本当に必要だろうか。確か
に正しい事を伝えなければならないが、像を見て尊敬の念を抱き、
現状に負けないで自分もがんばろう!と励みにしたであろうし、
その努力で自分の道を切り開いた人も現実に多数存在する。例え
ば今の子が真似すると危ないからと目くじらをたて無難?に都合
よく収め、形を変えれば、本来伝えるべき物はさらに湾曲される。
同じ様な事だがい未だに私には納得行かない事がある。蒸し返す
事になるのだが、この金次郎像の意図する所と、私には同じに思
える。国民の休日が大きく変更されてから随分時間が流れ、既に
慣れてしまった人は、今頃なにを?と思うだろうか。成人の日、
敬老の日等々にはそれぞれその日に大きな意味があった。それを
自分達の生活パターンに当てはめ連休に。理由は旅行等家族が共
に過ごす時間を大切にするため…そのためには学校を休む事も問
題無し!と言う考え方は今なお納得できない。語り継ぐ事の大切
さを、余りにもないがしろにし過ぎと云わざるをえない。
 先の東北大地震の大津波被害は大方が天災ではなく人災だと云
われる。過去に大被害が起きたその度に先人達は教訓を伝えよう
と石碑にしたり伝言を残して来た。なのに人間は同じ過ちをする。
原発事故の後処理もまったく進んでいない、解決の道すら見えな
い中で、原発稼動に賛成する人々の精神たるやまさに常軌を逸し
ていると云わざるをえない。

          

                華道専慶流 西阪慶眞


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