花模様/専慶流 ●2016年6月1日発行/専慶流いけばな眞樹会主宰・西阪慶眞

専慶流/フトイ、ガマ


●茎の曲をいけます

ポイント 
ネギ科植物のアリアムは、観賞用に作られた種類も多く、なかでも、アリアムリーキ、丹頂リーキ、ギガンチュームは代表格。
茎の曲がった素材は、曲げて栽培したもので、アリアムリーキ、丹頂リーキ。これらは円形花序の花塊と共に、有機的連携を面白く構成します。


作例は生長過程で茎を人為的に曲げて作ったアリアムリーキ。その曲線部分を立体的に絡め、器から飛び出すイメージで上部へ。その間に前後をつけて真紅のバラを配置させ造形的な力強さを求めています。



●花材/ アリアムリーキ、バラ
●花型/ 現代花


●花材/ ネギ、アジサイ
●花型/ 並列形

ポイント 
作品はタマネギで、5〜6月頃になると胴部分が太くなるのが特徴。その特異なカタチを明快に捉えた作品です。一般にはほとんど出回らない素材なので、自栽が必要。

 膨れた部分は植物の下に位置するため、真っ直ぐに使うとかなり寸法が高くなる。今回は膨れた部分を見せたいので、先の長いものは折って使用。かえってそれが動きに繋がっています。

水揚げ 水切りの励行。

いけばな専慶流/アガパンサス

 いけばな専慶流/ヘメロカリス 食用ネギの花

脅威への備え

 4月14日に発生した熊本地震。ひと月を越えて今なお余震は治まらずいつまで続くのか、砂や地下水が吹き出す液状化現象が少なくとも東京ドーム40個分にわたって発生したことや、近年の建築基準法で建てられているのに倒壊している家屋、土地が1メートル以上も動いたなど、次から次へと新事実が判明。被災地で暮らす人々の、一日に何度も揺れを体感する不安とその恐怖を思うと掛ける言葉さえ見つからない。と同時に火山大国日本に住む私達全てにその災害が等しくありえると云う事にも再認識させることに 。今は被災地から遠隔地に住む私達は、テレビ画面上に頻繁に現れる緊急地震速報を通し、続く地震の発生を認識するのだが、経過が長く成るに連れ速報に驚きではなく、また…、まだ…の思いに一日も早い終息を願い祈る気持ちと、自然の猛威に対し人の力の及ばない現実を今更ながらに突きつけられ、情けなさを思い知る。それでも誰もが被災地の現実を前に、自分に今出来る事は何?と考える。そう微力でありながらも何とか力になりたいと思うのは、思いやり、優しさと云う人としての本能だろう。一人の力は微力でも人が集まれば大きな力となる事は様々な場面で実証済み。しかし、日々揺れを感じながら、その根本である地震を予知する事も、また、超近代化の叡智をもってしても止める事は現時点では成す術無く不可能。ならば、繰り返される災害から学んだ事は何か。我が身に降り掛かった時せめて出来る事は?、可能な限り人に迷惑を掛けない避難への準備と地域に密着した相互協力、相手を思いやる上での最大限での支援…くらいなのか?。
 「転ばぬ先の杖」「備えあれば…」、以前私は災害に限らず、私達は結果として負荷を受ける前に、可能な限り回避の為の努力をすべきだと語った事がある。経験し学び、そこに史実に基づく事例もあるなら、真剣に向かい合えば何とかなる!はず、真摯に努力すべし!と。

 しかし、近年日本の至る所で発生する自然災害はその内容も種々多様であり対応の手だて無く、自然の猛威の前に私達人間は余りにも無力!悲しいがそう思えて成らない。結局私達は、現状では人為的な二次災害を回避する努力以外何も出来ないのかもしれない…。残念だがそう思う程自然の猛威は私達の予測を遥かに越える現状を突きつけ、到底太刀打ち出来ない程計り知れない大きなエネルギーで向かってくる。突然ではなく少しでも予知出来たなら…例え僅かでも回避へ繋がる可能性を見つけられたなら、誰もが躊躇う事無く努力するのは間違いない。阪神、東北、中部、北海道、火山の噴火に伴う土石流、ゲリラ豪雨による水害等々を振り返るとき、では、私達は実際にどのようにすれば良かったのか…の思いに誰もがなるだろう。しかし、この地震を振り返ってみても、予期せぬ突然の災害発生にはたしてどれほどの対処が出来、回避出来ただろう。避難するのが精一杯。私達は、やはり自然の猛威の前に、弱い生き物なのです。襲い来る猛威の表情は時と場合によって本当に様々、その時受ける被害も想像を遥かに超えて様々なのです。災害発生の度に、いつ自分も被災者の側にたっても可笑しくないと言う思いが人々の胸に痛みの共有と言う形となり、互いに人を思いやる優しさが支え合う力となって多くの人に広がっている様に感じられる。悲しみ、苦痛を代償に人の優しさ、思いやりは、どんな災害も他人事では無いと云う共通の思いが、多くのボランティアや支援の広がりに繋がっているように思う。被災地の皆様に心よりお見舞い申し上げます。

                華道専慶流 西阪慶眞


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