花模様ロゴ ●2016年8月1日発行/専慶流いけばな真樹会主宰・西阪慶眞
いけばな専慶流/バニカム

●花材/朝鮮槙、サンダーソニア
●花器/カップ型指定花器

●小花〈サンダーソニア〉を生かせた生花。

 イヌガヤ科植物、朝鮮槙

ポイント 
関西、とくに京都ではお盆時期の定番素材として、
生花、盛花、投入、自由花と幅ひろい様式でいけ、
親しまれています。
今回紹介するのは従来のいけ方と何ら異ならない
のですが、ちょっとした配材の工夫でとても新鮮
になることをご覧いただきます。
いけ方
・最も重要なのは枝の取り方、配分。
枝は、一年で長く伸びた素直な枝、横枝の短かく、
細かい枝が沢山付いた枝に分かれます。
茎は撓めが効くので比較的思い通りの曲線を描く
ことが出来ます。
1、上部はスラッと伸びやかに、
2、胴、控は小枝混ざりの密な雰囲気に、
3、4、人、地は軽やかな流れを。
枝先はいずれも上に向いている事。
最後に各部を見渡し、修正を加えた後、サンダー
ソニアを前後に配します。左右に広げないで、槇
に馴染ませる事がポイント。足元は寄せて一株に。



●花材/ヒマワリ、唐辛子、縞ハラン
●花器/創作花器


ポイント 
 夏野菜を代表するトウガラシですが、案外早くにその終盤をむかえます。早く収穫したい目的から早めに植えるからでしょう。通常、園芸種は8〜10 月。作例のトウガラシはフレームで栽培されていたもので、焼却前にもらってきたもの。枯れ素材となっている事から横に構成し、中央から斜め方向にひまわり各種を。足元にはキョ
ウチクトウの細い葉を集合させ、花器模様と呼応させ、花器と枯れ素材、ナマ花を一体化させています。

水揚げ ひまわりは水切り要

トウガラシ

 専慶流/トウガラシ 

助け合おう日本らしさ

 4月14日に発生した熊本地震。ひと月を越えて今なお余震は治
まらずいつまで続くのか、砂や地下水が吹き出す液状化現象が少
なくとも東京ドーム40個分にわたって発生したことや、近年の
建築基準法で建てられているにもかかわらず倒壊している家屋、地面が1メートル以上も動いたなど、次から次へと新事実が判明。被災地で暮らす人々の、一日に何度も揺れを体感する不安とその恐怖を思うと掛ける言葉さえ見つからない。と同時に火山大国日本に住む私達全てにその災害が等しくありえると云う事を再認識させた。
 関西に住む私は、テレビ画面上に頻繁に現れる緊急地震速報を
通し、続く地震の発生を認識するのだが、経過が長くなるに連れ
速報に驚きではなく、またノ、まだノの思いに一日も早い終息を
願い祈る気持ちと、自然の猛威に対し人の力の及ばない現実を今
更ながらに突きつけられ、情けなさを思い知る。それでも誰もが
被災地の現実を前に、自分に今出来る事は何?と考える。
 微力でありながらも何とか力になりたいと思うのは、思いり、
優しさと云う人としての本能だろう。一人の力は微力でも人が集
まれば大きな力となる事は様々な場面で実証済み。しかし、その
根本である地震を予知する事も、また、超近代化の叡智をもって
しても止める事は不可能。ならば、繰り返される災害から学んだ
事は何か。我が身に降り掛かった時、せめて出来る事は?、可能
な限り人に迷惑を掛けない避難への準備と地域に密着した相互協
力、相手を思いやる上での最大限での支援ノくらいなのか?。
「転ばぬ先の杖」「備えあればノ」、以前私は災害に限らず、私
達は結果として負荷を受ける前に、可能な限り回避の為の努力を

すべきだと語った事がある。経験し学び、そこに史実に基づく事
例もあるなら、真剣に向かい合えば何とかなる!はず、真摯に努
力すべし!と。しかし、近年日本の至る所で発生する自然災害は
その内容も種々多様であり対応の手だて無く、自然の猛威の前に
余りにも無力!、悲しいがそう思えてならない。結局私達は、現
状では人為的な二次災害を回避する努力以外何も出来ないのかも
しれないノ。残念だがそう思う程自然の猛威は私達の予測を遥か
に越える現状を突きつけ、到底太刀打ち出来ない程計り知れない
大きなエネルギーで向かってくる。突然ではなく少しでも予知出
来たなら…例え僅かでも回避へ繋がる可能性を見つけられたな
ら、誰もが躊躇う事無く努力するのは間違いない。阪神、東北、
中部、北海道、火山の噴火に伴う土石流、ゲリラ豪雨による水害
等々を振り返るとき、では、私達は実際にどのようにすれば良かったのか…の思いに誰もがなるだろう。しかし、この地震を振り返ってみても、予期せぬ突然の災害発生に、はたしてどれほどの対処が出来、回避が出来ただろう。避難するのが精一杯。私達は、やはり自然の猛威の前に、弱い生き物だと認識せざるをえない。襲い来る猛威の表情は時と場合によって本当に様々。その時受ける被害も想像を遥かに超えて唖然と。
 災害発生の度に、いつ自分も被災者の側にたっても可笑しくな
いと言う思いが人々の胸に痛みの共有と言う形となり、互いに人
を思いやる優しさが支え合う力となって多くの人に広がっている
様に感じられる。

 被災地の皆様に心よりお見舞い申し上げます。

             華道専慶流 西阪慶眞


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