専慶流 ●2017年2月1日発行/専慶流いけばな真樹会主宰・西阪慶眞
●花材/ サンシュユ(山茱萸)、ツバキ
●花型/ 盛花(傾体型)

 

 

ポイント 
 春の花木を代表する花木二種の盛花。何れも裏庭で切ったもの。花付きと
幹の太さ、表情を見計らって採取します。サンシュユは部屋で加温して開
花を促してから使用します。
太い幹は力強さの上で是非欲しいところですが、重さもあるため、剣山は
大きめを。
主は左斜め前に倒し、中央部を少し空けるようにして風趣を見出します。
椿はこの時期、花を観賞しますが、花以上に葉の美しさが大切で、重なりの
煩雑な葉は整理し、枝は長短をつけて浮き沈みに妙を。

いけ方=幹の強さを損なわないよう
 

 


  側面図

 

 
 魂の叫びとでも云える内からの強さを表現した現代花。全体的にはマッス
手法を多用した構成。器のフォルムの延長上に組み上げたキウイ。そこへ
絡み合うように雪柳、そして緑のスマイラックスを。対照的でありながら
非対照であるところが動的効果を。

 

 

 

●花材/ キウイ、ユキヤナギ、グラジオラス、スマイラックス
●花器/ 変形花器


 
 いけばな専慶流/能面 伊勢志摩の朝焼

自信をもって一歩前へ

 先日、街おこしに「縁側カフェ」を実施している地域が話
題になっていた。小さな過疎村の農家全員参加で各自の縁側
を解放し、茶菓子を出し接待していると言うもの。今では年
間6000人もの人が集まって来るのだとか。見知らぬ人との取
り留めの無い会話が、心を解きほぐし心地好さに…。それが
多くのリピーターに繋がっているのではと。
 また、全く違う地域の公民館では「えんがわ」と言う名で
サロンが開かれていると聞いた。前述のカフェと少し違って
いるのは、介護する人、される人、障害者も健常者も年齢制
限も無く、接待する者とされる者と云う立ち位置が無いと云
う事。毎回当日来た人達自らが、お茶の準備、茶菓子の買出
し、テーブル設営から片付け迄の全てを負担の掛らない役割
分担とし、気楽にお茶を飲みながらおしゃべりを。開設当初
から間もなく4年、ひとりふたりと参加者は既に5〜6倍に
増え、今なお増え続けていると云う現実は、ある意味現代の
社会現象といえないだろうか。日々の生活空間の中で、行き
たい時に行ける場所、誰に気を使う事も無く居られる場所、
何をしていても良い場所、家や職場と言った様々な柵のある
場所ではなく、安心して分け隔てなく誰もが行ける場所、時
には息詰まる日々からの細やかな逃避空間…、そしてなくて
はならない最も大切な事が、そこに自分以外の人の存在が必
ずあると云う事。様々な人の集まりでありながら、参加人数
に関係なく、時にはその場に居ながら言葉を発する事が無い
日があっても良い、その場に出掛けて行く事、何らかの形で
人と接する事に意味があるという。元来人は一人では生きて
は行けない。どんなに頑固にひとりで大丈夫!と言い張った
所で、人と関わらずして生きては行けないのです。
ただ、なれない空間

なれない人達、引っ込み思案だったり、時には築き上げて来
たプライドが人に弱さを見せたくないと言う自己防御の思い
から、人と繋がる事への拒否反応だったり…なかなか素直?
になれない人も居るだろう。しかし、ここに来ればひとりぼっ
ちではなく、確かに人の存在があり、居る事が無条件に許さ
れる空間とでも言えば良いのだろうか。特別ではなくどこに
でもありそうな、誰もが持っていそうな空間なのだが、意外
に自分の事となると難しいのではと主宰者は言う。
 気楽なおしゃべりの空間が、人が人らしく過ごすための栄
養剤となれば良い。高齢者社会が抱えた年々増加する独居老
人問題、現代社会の様々な要因で否応無く障害を持つ事になっ
てしまった人、介護と云う形でそれに向き合う人、肉体的要
因だけではなくストレス社会に心痛める人、健康であっても、
定年を迎え生活が大きく変化、企業戦士から仕事と云う基盤
を無くした後の時間の過ごし方が解らず戸惑う人「嘘の様だ
が仕事抜きでの人との繋がりが稀薄だったため「普通の接し
方が解らない」。子供じゃあるまいしそんな事で困惑するなん
て…は、現実に大きな問題なっているのです。定年を迎えても、
独り身になっても、障害を持っても前向きに趣味等自ら進ん
で人の中には入って行ける人は良いが、人付き合いに不器用
な人は、ともすると、大人の引きこもりと言う現実が確かに
あるのです。
 人は本来誰かと繋がっていたいのだが、様々な問題、要因
から孤立化へ向かう流れが大きく、ここにあげた二つの空間の
様な場所作りは、近隣の健全なあり方を目指すためには必要不
可欠なことだろう。と同時に、大人も子供と同じ、年齢に関係
なくどんな時も一歩前に進む勇気が大切なのかも知れません。

               華道専慶流 西阪慶眞


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