花模様ロゴ ●2019年11月1日発行/専慶流いけばな真樹会主宰・西阪慶眞

専慶流・バラ

●花材/

バラ、すすき

●花器

創作花器

 

 ●心の響きをかたちに


 ●お見舞い申し上げます
 昨日と今日で異なる花姿に一喜一憂、さま
ざまな出会いに悦び、心に響く刺激を「生
きるリズム」とした日々。しかし、10 月にお
きた19 号超大型台風上陸による傷跡は甚
大で「命を守る行動」アナウンスが現実化。
呆然とした。広範囲にわたる被災地の皆様
の痛みに心からお見舞いを申し上げます。

←紅葉に代え、集合させたバラにボリュー
ム感。そこへ逆光に輝くススキを対比させ
る事で、深まる秋の新しい一面を象徴的に
捉えている。 
 




●花材/

モミジ、ソテツ、バラ

●花型/

横体型応用






ポイント 
 11月になると関西の平地にも秋色が。中でも逆光に映えたイロハモミジの黄〜深紅のグラデーションは群を抜く。古木と組み合わせた自然調盛花などは名園の景に似た重厚さを込めるが、今回は深紅のバラ、ソテツの洋を取り入れ、非日常下で光るドラマチックな紅葉を楽しんでみた。

水揚げ バラ、水切り

モミジ、ソテツ

 

心の響きをかたちに

 「いつも在るのが当たり前だと思っていたものが、突然無くなっ
てしまった…」問われて発した言葉、そこには本来言葉にできない
程、想像を絶する現実を前にした悲痛な思いが。文字だけを見れ
ば、言葉だけを聞けば、「本当にショックだよね、大変だよね」…位
の言葉でしか返せない。その内容が、昨日まで普通に生活していた
家が跡形もなく無くなってしまったと云う現実を前にした言葉で
は、返す言葉もなく、受け止める側も受け止めようがない。私達は
予測を超える現実?を突き付けられた時の自分をどこまで想像で
きるだろう。決して想像など出来ない。他者の経験を我が身の事実
として受け止めることは、その経験が非日常的な事であればある
ほど不可能になる。
 現代社会の中で起こる様々な事故や目を覆いたくなる事件は数
多く、否が応にも目や耳に入ってくる。その中で日常生活を送る私
達は、いつしか全てのことが他人事ではない覚悟、自分に何が起こ
り、何に巻き込まれ、どんな人生を送る事になるのか解らない…程
度は理解している。しかし、突きつけられる現実の厳しさは、言葉
にできず、我が身に置き換えて…の想像には決して及ばない。
 「かつて経験したことの無い…」の言葉を、私達はどのように受
け止め、向き合えば良いのだろう。備えあれば憂いなし…、どれ程
の、どのような備えが有れば避けて通れるのか。こうして綴りなが
ら、過去に何度も同じ思いに成りながら、繰り返し突きつけられる
悲惨な現実。始めの言葉は、10 月の台風19 号で被害を受けられた
人がマイクを向けられて発した言葉だが、台風が過ぎ日が経つに
連れ、その被害の想像の及ばない広範囲にわたる酷さが徐々に明
らかになってゆく。

 日常を取り戻すのは…、多くの被災者を思う
と、言葉が見つからない。私達には何が出来るのだろう。異常気象
の言葉のもとに警戒心を持っても、「かつて経験したことの無い
…」 の表現が何度も続けばそれは特別ではなく、何が起きても不
思議ではないのが現状と受け止め、予測できる可能な範囲で向き
合うしか無い。だからこそ、現実にはどのような備えが必要で、ど
うすれば避けられるのか。自分たちの住環境も含め、ハザードマッ
プにも真剣に目を通したい。

 今年9月、国連気候行動サミットで16才の少女が各国首脳等に
環境保全、気候変動、温暖化防止…の取り組み方に対し批判のス
ピーチをしたことが話題になった。この少女の思いは、自分達の未
来への思いにある。私達がすべき事は、温暖化によって引き起こさ
れる異常気象に、自分達の日常を奪われないための努力。それは、
一朝一夕に取り戻せるものではない。日々の積み重ねの先に、我が
子の将来、子孫の未来がある立場に立ち、今、自分に出来ること
は?から始めるべきなのでは。そう、これ迄の繰り返しになるが、
事ある毎に、どんなに些細なことでも、一人でも多くの人が真摯に
受け止め、行動を取ってくれれば、そしてそれが、長い時を積み重
ねて行けば、必ず変わって行くはず。これまで幾度も受けてきた悲
惨な被害を、この先は避けられることに必ず繋がって行くのだと
願い信じて、この瞬間から自分の為に、一人一人が行動すべきだ
と、改めて声をあげたい。
 地震、台風…度重なる災害に遭われた皆様を思うと、言葉が見つ
かりません。心よりお見舞い申し上げます。

             華道専慶流 西阪慶眞



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