いけばな専慶流/花模様 ●2021年12月1日発行/専慶流いけばな真樹会主宰・西阪慶眞

 

 花材/松、サンキライ、椿、シンビジュームの葉
花型/生花(逆勝手)

専慶流いけばな

素材を選ぶ

ポイント 
 いけばなに使用する木物は山採りが通常で、松も同様だった。しかし、松食い虫の大量発生などで極度に減少。今では栽培ものにとってかわった。
しかし、栽培者の高齢化で近年、手に入りにくくなった。作品の松は知り合いの山で採ってきたもので、茎の曲りなど、姿のいいものを探すのには
結構歩いた。写真からも解るように松葉はとても優しく、雌松の優雅さが伝わってくる。紅い色ものとしてサンキライを人流しに。地、控、後ろ控には椿を。見越にシンビジュームの葉をやや長めに添え、迎春を意識した豊かな情景と祝を込めたもの。

メ モ 写真のような洒落た松ではなく、枝若松は真っ直ぐで単純だが、何処ででも買えるので横枝を上手に使ってみるのもよい。




 

●花材/

南天の実、フウセントウワタ

●花型/

壷型創作花器

ポイント

異質素材→身の回りから

造形志向の作品は個性的で意外性が愉しい。

オブジエや異質素材による造形は
形、色、質感やガラス、鉄、樹脂……
材質は問わない。日常的なもので
も意外性あるものがよく、他のも
のとの出会いが面白ければさらに
いい。日頃から新しい発見に向け
た感性を研き、今日の新しいけば
な造形に結びつけたい。

水揚げ 水切り

オブジエ 専慶流


サザンカ サザンカ

心とココロのキャッチボール

皆予期せぬささやかな気遣いに、ホッと心の緊張感が緩む一
瞬に出合い、思わず笑みがこぼれる。こんな瞬間は特別なも
のでは無く、日常の慌ただしさの中でついつい私達が忘れが
ちになっているだけ、身の回りには沢山有るのかもしれな
い。
 先日車で移動中、災害で崩れた道路脇の歩道の改修工事現
場を通過する折り、歩行者への安全対策に立てられたフェン
スに、一定間隔でハンギングバスケットと云うには少し貧弱
なものだが花が飾られていた。花は、これも100均で手に入り
そうな造花だ。信号待ちしなければ目にも止まらなかったか
も?決して美しいと言えるものではなく、目にした状況が違
えば、もしかするとこんなものを飾るくらいなら…と批判的
に捉えたかもしれない。しかし、この日は、お粗末にさえみえ
るこの花を目にした瞬間、そこに人への思い遣り、優しさ、気
配り…そんなものが感じられ、反射的に大袈裟かもしれない
が「まだまだ世の中捨てたもんじゃない」と云う思いに、何故
か嬉しくもなった。
 思えばもう随分前に東京の繁華街での工事現場を通り過
ぎる迄のフェンスに画かれた絵を追って行くとひとつの物
語になる…と言った話題が有ったことも思い出した。
 工事内容が自分の生活に関わるものだと知っていても、つ
いつい工事は厄介なものと捉え、時に不平不満も…。ただ、元
来無機質な工事現場も、今は随分様変わりをした。単色に塗
りつぶされていたフェンスに様々な絵が描かれ、区分を知ら
せるコーンが、カエルやウサギ等々の動物等の置物に、時に
はヘルメットを被った描かれた人がお辞儀をしたり…と。元
を辿れば工事をする人が悪いわけではない。極端な事を言え

ば安全対策をしていれば気遣いは無用とも言えないだろう
か。しかしこの変化は、マイナスのイメージしか湧かない無
機質な空間と人の関係に、少しでも心通じ合えれば、それが
ささやかでも相乗効果に繋がる…の発想からだろう。この工
事現場のフェンスに飾られた花を発想したのはどんな人だ
ろう。また、その前を通る人達の中でどのくらいの人がこの
花に気付き、私のように感じた人はどのくらいいるのだろう
…と思い巡らすひと時を得た。
 コロナ禍の始まりからおよそ2年、世界を見渡せばまだま
だ出口は見えず、我が国の感染者数の激減を目にしても安心
感からは程遠く、先行き不安を拭えない。それでも、私達の
日々は留まってはいられない。このフェンスに飾られた花で
はないが、私達の日常には、気づかないでいる沢山の思い遣
りや、優しさや、気遣い等々が溢れているのかもしれない。

ゴミを拾う、席を譲る、困っている人に勇気を出して声を掛ける…どんなにささやかな事でも、互いが互いを思う何気ない行動が、ほんの一瞬のささやかな喜び、感動、感謝を生み出す。そんな心のキャッチボールを大切にすることが、ひとりひとりの心を元気にする糧となるように思える。

            

            華道専慶流 西阪慶眞

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