五月…清んだ青空広がる季節を迎えても、今尚出口
の見えないコロナ禍に、閉塞感ただよう日々は変わら
ない。しかし、元来人は誰もが幸せを願い、穏やかな
日々を望んでいるのは云うまでもない。過日白血病か
ら見事に復帰し夢の五輪出場の権利を手にした池江
璃花子選手。10度目の挑戦で日本男子初のメジャー優
勝、マスターズトーナメント制覇と言う快挙を成し遂
げた松山英樹選手に限らず、世界中様々な分野で活躍
する日本人に対して、まるで我が事の様に惜しみない
拍手を送る。そんな幸せの共有が、知らぬ間に相乗効
果?「さぁ、私も頑張ろう!」のエネルギーとなっているように思える。
その反面、先日の松山選手の快挙に沸く報道と同時
に一瞬の報道で過ぎていった「ヤングケアラー」と云
う言葉が耳に残った。これまでどのくらいこの関連
ニュースが報道されてきたのか、気に止まることな
く、恥ずかしいことだがその内容も知らずにいたの
だ。簡単に言えば、本来大人がすべき家事や家族の世
話、介護等に、日常的に追われる十八才未満の子供た
ちのことをさす言葉なのだ。大まかな内容だが、今回
政府が行った一部の実態調査を全国の生徒数に置き
換えると、驚いたことに公立中学二年生の17人に1人全日制公立高校二年生の24人に1人が…と言うこ
の数、「助けを求めても誰も気づいてくれない」「誰かに相談する余裕もなく今日一日をどう過ごすかで
いっぱい」「勉強する時間、寝る時間が欲しい」「全部を代わってとか逃げ出したいわけではなく、少し余裕が |
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ほしい」「大人が否定せず、話だけ聞いてほしい」…と
言う内容。ケアに当たる時間は一日平均4時間、中に
は7時間以上と言う子もいたとか。中には子供がケア
することを親が当然と捉えていたり…この結果を私
達はどう受け止めれば良いのだろう。
コロナ禍も含め、様々な事実に対しての国や自治体
等の対応、私達一人一人の対応…決して他人事ではな
いと理解しながら、老若男女の価値観の違い?考え方
の違い?個々に向き合う姿勢が異なる現実に、それを
仕方がない!と諦めて良いのだろうか、見過ごして良
いのだろうか?。我が身に降りかからない災いは、隣
で苦しむ人がいる事にも気付かない、気付いても他人
事で済ませてしまう…そんな感覚が、今のコロナ禍拡
大の手助けもしてしまってはいないだろうか。
他者への思いだけでなく、自分自身への自問自答も
含め、もしも自分が逆の立場だったら…と、何故自分
の事のようにもっと人を思い遣る事が出来ないのだ
ろう。そう日々起こる全ての出来事が、決して他人事
ではないと云うことを改めてしっかり認識して共に
生きている者としての尊重と責任を忘れてはいけな
いのでは。何ができる…以前に、まず日々周囲の人へ
の感謝を忘れず、今自分に出来ること、すべきことを
常に意識した日々を目指せば、ほんの少しでも違った
現実に繋がらないだろうか。解決策を見出だせない現
状のなかで出来ること、せめて現実を知ることで相手
の身になって考え、決して容易ではない最低限の現状
維持を、共に目指す事ではないだろうか。
華道専慶流 西阪慶眞
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