「黒木の大藤」国の天然記念物に指定を受けた樹齢600
年を越える大藤、今年も圧倒される程見事な花時を迎えた
花房。先日その花房が無惨に切り落とされて行く光景が余
りにも残酷で、言葉にならない怒りや悲しさが込み上げて
きた。繰り返される四季を幾度も積み重ね、多くの人の手
によって大切に育てられてきた大藤、人の心に感動と癒し
を与え続けてきて、今正に満開の時を…。何故?。その訳は、
コロナ感染のため自粛要請にも関わらず、我慢の出来な
かった人達が県外からも連日花を見に殺到。「開花した美
しい花を見たい!」単純な思いで集まった人々。だた、現
実問題としてその場への殺到!は、人への互いの思い遣り
があれば、常識ある判断で回避できたのでは。回避できて
いれば満開の藤も、その美しさを自然のままに終わって行
く事ができたはず…。本当に花が好きで花を愛でたいと思
う人は、ほんの少し我慢をすれば…と自粛していたのにな
ぜこんなことに…と。藤に限らず、桜に始まり花が彩る季
節だからこそ、自然豊かな我が国だからこそ様々な場面で
様々な花が同じ状況に。「今一度、人のために、自分のた
めに、全てのものがあるべき姿を留めるためにはどうある
べきか」を誰を攻めるではなく、真剣に考えるべきだろう。
昨年末に始まったコロナウイルス騒ぎが間もなく半年に
も及ぶこの時期に、漸く緊急事態宣言の解除が話題に。た
だ、私達の安易な判断、思い込み、油断、が新たな緊急事
態になりかねないことを肝に命じて行動をしなくては。こ
れ迄以上に、私ひとりくらい…の安易さが多くの人の命に
関わってくる現実を誰もが徹底認識し行動すべき時。
今「たかが花」?、そう思う人もいるだろう。しかし、
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あなた自身の元気の源が何かに、何処かにあるように、花
に癒され、花に元気をもらって…それが明日に向かう力や
勇気に繋がって行く人が居ることを忘れてほしくない。見
たいという思いは同じだが、本当に愛でる人はその花との
絆で、今を我慢が出来るのだが、ちょっとしたお花見感覚
の人の殺到が悲劇に。花に限らず、人の感性、価値観…は
人それぞれである事を思い理解し、誰もがそれを盾に人を
攻撃するのではなく、互いに認め合い、協調の道を探し歩
むべきだろう。本当に今自分にとって一番大切なものは、
それを守って行くためには…と真剣に考えれば、自ずと行
動は決まってくる。決してそれは人を非難するものではな
く、人の思いや心にも理解が及ぶのでは。
大変な日々の中でも、今世界中の老若男女が様々な形で
互いを助け合う行動に、共に乗り越えようとする努力、人
と人との思い遣りや優しさの連鎖が、連日の嫌な報道の合
間を縫って入ってくる。その一つ一つに「世の中捨てたも
のじゃない、人は人と共に生きて共に前に進もうと励まし
支え合っている」事が感じられ、嬉しく、自らもその一員
でありたいと云う思いに。では、改めて、自分は何をすべ
きか!何が出来るか!と自問自答させられる。人は人と共
に生き、生かされていることをこんな時だからこそ、改め
て深く思い、人との繋がりに心から感謝したい。我が儘で
はなく、常に誰かを思い、感謝の気持ちを持っていれば、
それが終息への近道なのではないだろうか。目に届くもの
の他に見えない脅威。今回のコロナウイルスは多くの重要
な事柄を私達に教えてくれているのでは。その意味でも、
真剣に暮らしを見直さなければいけないだろう。
専慶流 西阪慶眞
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