花模様ロゴ ●2022年7月1日発行/専慶流いけばな真樹会主宰・西阪慶眞
造形趣向 西阪慶眞作

ポイント 

 近年のいけばなは単に美しく生けるのではなく、主張をはっきりした個性ある生け方にシフトしている。今回紹介の作は全て力強い造形趣向な作で、地植えで育てた素材。
@はカラー鎖を明るく使用、
Aは雑草の集合に動きをつけ、その中からヒマワリが飛び出す姿を捉えた。

今後の新しい時代には想像豊かな自由な表現が感動を呼ぶいけばなへと成長させたいが、生け手の根底には常に、夢、創作、挑戦など造形への熱、アイディアを一層深め続けていきたい。

水揚げ 水揚げは良好、水切りで十分です。

 ●花材/三又、ブドウ、ヒマワリ、鎖
 ●花器/創作花器


●花材/雑草ツタ、ヒマワリ
●花器/創作花器

ポイント 
 ここに紹介する素材は全て自宅栽培のもの。緑の葉ものは蔓状の雑草?l。背丈ある創作花器に動物よけネットを仕込み、そこへ柔らかい雑草を絡ませ、最後に数種のひまわりをのぞかせ、意外性を狙って生けたもの。

水揚げ 水切りの励行


創作意欲を全面に。西阪慶眞作



  奈良春日神社前

スリッパ、ランドセル…に学ぶ

 スリッパの底にモップをつけて歩きながら掃除?、手を汚さずモップやスポンジを洗い絞る、箒と塵取りをセットして簡単収納、ポストイット等の文具…より楽で快適な生活を目指す近代文明の発達に伴う、洗濯機等様々な機器の目覚ましい進化は云うまでもないが、このように私達の極身近な生活の中には、誰かが不便に思ったことや、楽するための閃き?から何とか変えたい!と云う、一個人の強い発想から産み出された物も数多くあり、私達は知らぬ間にその利便性の恩恵を受けている。
 邪魔くさい〜、面倒くさい〜、嫌だから、時にはずるをする?、手抜きしたり見て見ぬ振りを…。そう思った瞬間の動機は、その場その場で人それぞれだが、そんな思いを抱いてきた事実は、老若男女大袈裟ではなく全ての人が経験済みは間違いない。そして、どんなに時代が変わり、生活環境が改善されても、日々の生活のなかでのこの種の思いは、新たな形で生じて来る。何故なら、どんなに改善されても、人間の欲求は留まる所を知らず、その場その場で更なる欲求が生じ、その全てを解消することは出来ないからだ。だが、時々の一個人のこの不都合な思いへの追及こそが、新たな発明を産みだし、誰かの快適で豊かな暮らしへと繋がるのは間違いない。
 先日、ランドセルのキャリー化を小学生が提案し開発された、「小学生による小学生のための製品」として「さんぽセル」が発売され、想像以上の反響となり、賛否両論の意見が激しく飛び交っている。各々の価値観、世代の違い等様々な立場での言い分に、どんな結末になるのかは解らない。ただ、この小学生が発想を、発想に終わらせず、強い意思を持ち大人の

手を仮り、商品として形を作り上げたことには称賛の拍手を贈りたい。
 日常の様々な不平不満、不都合に対して、もっと簡単に出来ないか、もっと楽に出来ないか、何故やらなきゃいけない…と思いながら、その為にどうすれば良いのか、どうしたら前向きに取り組めるのか…まで考える人は少ないのでは。また、例え考えても、どうせ無理とそれを実行に移すこと無く終わってしまう事が大半かと。形にすればきっと同調する多くの人の思いに答えられるのに…
 ランドセルの話題に「必要は発明の母」と、いうエジソンの言葉だったか?がふと頭をよぎった。近代文明は、人のより良い生活環境造りを目指し発展、今尚未来へ向け進化し続けている。では、私達の日々サボらずに頑張る、大変な思いをせず楽出来るためには何をどうすれば良い?何があれば良い?そんな日々の不満を発想の原点にし、自分なりの改善策を考えてみてはどうだろう。発明に老若男女の制限はない、更に発明の為に必要な物は、強い思い、欲求だけ。ある意味自分の我が儘を満たす為に、今目の前にある現実をどうすれば心地よく、楽に、快適に自分の思いのまま過ごせるか…と、諦めずに向かう姿勢なのかもしれ無い。自分にとっての不都合の解消は、間違いなくそのまま多くの人にとっての問題解消にも繋がる。とんでもない発想も、形になれば多くの人の有益となることは間違いないだろう。大切なのは発想の原点、自分は何を望んだのかを、最後まで忘れず向き合うことではないだろうか。

             華道専慶流 西阪慶眞


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