7月8日、ニュース速報テロップに「安倍元首相銃撃に…」
届いた文字の意味は当然理解出来るのだが、ここは日本銃
社会とはかけ離れた国…のはず。「何?誰が撃たれた?嘘、
あり得ないだろ!」と、その内容を即座に受け止められず、
見間違い?と、何度も流れるテロップを見直した。銃撃とい
う行為が現実に起こったことへの衝撃に加え、更にその対
象が安倍元首相個人に向けられ、それが阻止されず実行さ
れた…
自分の中では、日々何が起こっても不思議ではない現代
社会であると思っていながらも、この様な事件が現実に起
こってしまった事への衝撃は思った以上に大きい。ふと、思
う。私のこれ迄生きた時間の中にさえ、遠近問わず幾つもの
戦争が現実としてあり、また、グランドゼロに象徴されるテ
ロ事件等々無差別に多くの命が奪われるなど、耳を塞ぎた
くなるような現実を確かに認識してきた。そして、未だ続い
ているロシアのウクライナ侵攻、様々な国家間や自国内の
紛争、核兵器問題、環境破壊、自然の猛威、コロナ…目や耳に
届くニュースも間違いなく現実であり、心に重く、心痛むも
のが多い。そう思うと、自分は何と言う時代に生まれ生きて
いるんだろう…と思わずにはいられない。では、時代が違え
ば、時代を遡れば、自分の親や祖父や先祖…が生きた過去の
時代はどうだったのだろう。そして、今この現実の中で生き
ている子供や孫…がこの先に向き合って行く時代はどんな
ものだろう。と、ついつい思い巡らせてしまう。
日々届くニュースに心踊る、心高揚するものが本当に少
なく、人の尊い命が脅かされる様々な事象のニュースばか
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りが目に届く近頃、今、その一つ一つが私達一人一人への警
鐘であると捉え、遠くのこと、他人事とは思わず真剣に、も
しも我が身に起きたとしたら…と考えることが、例えひと
りの小さな思いでも、それが人への思いに繋がり、時に人を
救い、人から救われる事に繋がって行くのではないだろう
か。どんな現実の中にあっても、人が救われるのは人によっ
てのみ…なのではと思う。
心癒す花、花空間、本来は前向きな、明るい話題をこの場
に残して行きたい…との思いと、時には、思想や人によって
は異なる良し悪しに関わらず、衝撃を受け、決して忘れては
ならない事実としてここに記録することで、次々に起こる
悲壮な、悲惨な現実から目を逸らさず、せめて身近な人々が
少しでも穏やかに、安心して毎日を過ごせるよう、起こって
しまった事実を反面教師?とし「私はまだまだ幸せなんだ、
恵まれているかもしれない!」そう思える心を持つことが、
様々な負荷をほんの少し遠ざけてくれるかもしれない。そ
れを祈り、願いながら、この出来事を敢えてここに。
明日は誰にも解らない。予測はできても予測通り行かな
いことの方が多いかも知れない。そんな日々の中でも私達
は決して一人ではなく、間違いなく人と関わりながら時を
刻んでいる。そう思えば、自分に与えられた時間を、身近な
人々と共に楽しく有意義に過ごせていることはありがたい
事だと、改めて喜ばないといけない。
華道専慶流 西阪慶眞
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