変わらず日本経済は冷え込むものの、太陽はギラギラ輝き、汗が必要以上に光ります。そんな盛夏に似合うのが祇園祭り。むんむんする京都盆地のまん中を美術品を纏った山鉾巡行をクライマックスに、三十一日の「夏越祭」まで、一ヶ月間、京の街を祭り一色に盛り上げます。
日本の住まいは、夏を中心に考えると暮らしやすいといわれています。路地に朝顔やほうずきの鉢植えを置き、軒下には釣忍(つりしのぶ)を飾る。裏庭には風鈴を吊して、風の音を楽しむ工夫をしたのです。お風呂あがりは、糊の効いた浴衣をきて、のんびり昼寝を楽しみます。夕方、外で遊んでいた子供たちを行水に入れて、夕涼み。祇園祭の夜店は夏ならではの楽しみ。遠くへ行かなくても、路地に縁台を出して棋や線香花火で楽しい時間が過ぎます。たまには怪談話で子供達をおどろかすいたずらや、肝だめしも夏らしい遊びといえます。そろそろ、寝る時間です。部屋には蚊取線香がつけられています。あんどんの、ほのかな明かりが、ぼんやり部屋を照らします。布団には、涼しげな寝ゴザが敷かれて、部屋一杯に、緑色に染められた蚊帳(かや)が釣られました。静かな夜。かすかな風が軒先の風鈴を鳴らし、裏庭に飼っている鈴虫も鳴きだしました。こうして京の蒸し暑い夏の−日がおわるのです。
ひと昔前までは早寝早起きの社会だったようです。日の出と共に起きるので夏はよけいに早く起きます。清々しい朝、咲きかけの朝顔や蓮の花を眺めながら仕事についたのでしょう。
爽やかさをいける
一日花の多い盛夏だが、今回は日持ちの良いカラフルな作例を紹介します。ニューサイランの白い斑の模様はいかにも涼し気。直線に対比させて一部を輪にして変化を求め、その前後にデンファーレ、インカーナを添えます。カーネーションは拡げすぎないよう、点在させてください。
華道専慶流 西阪慶眞