いけばな専慶流1998年10月1日発行/専慶流いけばな真樹会主宰・西阪慶眞


いけばな専慶流

花材/コスモス一種

ポイント 生花には茎の太い園芸種は重苦しいので野生種に近い、繊細な種類を選びます。葉は姿の良いものだけを部分的に残します。撓めは効きません。


いけばな専慶流

花材/ワックスフラワー、フォックスフェイス、菊

ポイント 
高杯指定花器に盛花はいけません。例外として枝を強く傾斜させた流体型がありますが、口辺から下の空間を生かせた現代花にも使うことがあります。足もとを引き締めることがコツ。
配材は個性の強い大型素材がいいでしょう。

蝋細工のような小花を多数付けるワックスフラワー。オーストラリア原産の樹高2〜3メートルの常緑低木。切り花としては白と赤系統が出回る。花が小さいのでマッス的に扱うと見栄えする。作例の素材は花付がまばらのため、枝に流れをつけて優雅な動きを求めています。左側に長く、右前方を短くすることでアンバランスの美が生まれます。


専慶流いけばな 万博記念公園のコスモスの丘にて撮影

ご縁にありがとう

 上記タイトルを見るだけで「古くさい」と捉える人は少なくありません。しかしあえて私達は頑固に「出会い」にこだわり続けているのです。それは何故でしょう。
 西洋の父性文化、東洋の母性文化と大別されるように、外観だけを格好良く見せるデザイン手法ではなく、むしろその内に秘める心、内から放つ美を追い求めてきたのでした。
 精いっぱい生き抜いてきた一輪の花に善し悪しなど区別はつけられません。とは云ってもややもすると外観の格好良さに目をうばわれたり、生けばえする枝振りに流され、知らず知らずの内に良否をつけてしまいがち。
 人と人、人と花、人と環境、時折々の出会いはすべて縁です。
 自分の手元に来た素材にまず感謝をしましよう。するといけ手と素材が本音でぶつかりあえるのです。昨年コスモスを生けたとしても、今ここにある一本のコスモスは、この一本だけが持つ姿形です。すべてのわだかまりや固定概念を捨てた私と一本の真剣な語らいが始まります。同じ方向からだけではなく、すべての角度を注意深く眺めます。表裏もあれば、側面もあります。裏側だからと云って軽視しません。それはすべての角度に、秘められた美が隠れているからです。
 そおなんです、縁あってせっかく手元に来た素材。ぞんざいに扱うわけにはいきません。時間をかけて、会話をし、どの表情、姿が他の素材との出会いにぴったり呼吸するのかを探るのです。そのためにはまず素材に惚れこむこと。惚れた相手には気分も解放され、それまで想像もしなかった美を見いだすことも出てくるからです。
 縁を大切に、わだかまりのない素直な心を極める「道」、それが華道、いけばなです。花を通じ様々なことを学んでいることを再度確認したいものです。

                              華道専慶流 西阪慶眞


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