花材/レンギョウ、木いちご、カイウ、カーネーション ポイント 黄色の小花が美しいレンギョウと、新芽の鮮やかな木いちごを出合わせた「混ぜいけ」の投入。レンギョウは下垂した姿を捉え、つなぎの枝を加えて上昇する木いちごに連携をつけます。丈のある壷が調和します。
花材/レンギョウ、木いちご、カイウ、カーネーション
ポイント 黄色の小花が美しいレンギョウと、新芽の鮮やかな木いちごを出合わせた「混ぜいけ」の投入。レンギョウは下垂した姿を捉え、つなぎの枝を加えて上昇する木いちごに連携をつけます。丈のある壷が調和します。
黄色の
花材/黄金でまり、ばら 花形/本勝手草の花形
ポイント 曲になった面白い茎の動きをいかせた「自然重視の生花」。人為的でない自然の妙を引き出した作例だが、肩のはらない優しい心が作品を盛り上げる。
てらいのないいけばなが心を動かす
とうに60歳を過ぎた、決して若くはない彼女に出会ったのは、ある花展会場。偶然通りかかった会場に、彼女が、飛び込んできたのです。そして長い間、ひとつの作品を見つめていました。やがて、私の前で、忙しく何度もシャッターを押していた彼女が、ためらいがちに話しかけてきたのです。 「この歳になって、今ここで初めて《いけばな》を始めることを心に決めました」と。しかし、全く花に縁が無かったのではありません。彼女が花を愛でる状況、心のあり方が私たちとは少し違っていたのです。彼女は、時間が許せば、まだ誰も足を踏み入れていない山奥へ、道無き道を進み、蜘蛛の巣を払い、迫る小枝を払い、不確かな足元を、一歩一歩確かめながら、人知れず咲く一輪の花、つつましく生きる植物達の美しさを求めて、そんな花との感動の出会いを求めて山に出かけるのです。そこに見つけた花は、折ることは許されず、忘れない為にその姿を心に焼きつけるまで、時を忘れ、眺め、写真におさめ、心に刻んだ美しさを胸に、その出会いに感謝してその場を離れるのだと…。 彼女は、自然の中に生きた、有りのままの美しさを、命の素晴しさを愛で続けてきたのです。そんな彼女が 今《いけばな》に向かおうとするのには、理由があるのです。彼女の母親もまたいけばなを愛していたのですが、近寄るには余りにも立派過ぎた母から、いつか心は遠ざかってしまっていたと。そして、今母を振り返る時、母は憧れでもあったことに気付き、今まで近付けなかった母に近づきたい、母をもっと知りたい、母の様に生きて見たい。そう母が愛でた花を自らも…。今まで自分が花を愛でていた空間とは違った、母の空間で…。でもそこには、戸惑い、様々な思いが、ぬぐい去れないままでいたと言うのです。そして 偶然飛び込んだ、花展会場のその花(私の弟子の作品)に出会って、この花なら…違った空間で花を愛でることができるかも知れないと言う思いになれたと… 彼女の《いけばな》に対する思いの変化。それはてらいのない心のこもったさりげない一作のいけばなが彼女の心を動かしたのでした。 素直に喜びたい。60歳を超えて今、新しい自分を求めて一歩を踏み出す彼女の勇気に、そして、あらたないけばなに向い合う彼女の新しい空間が、更なる人生への挑戦に向かって、拡がることを願わずにはいられません。 いけばな展に秘められた小さくも感動のドラマ。もう一度、自分が向かい合っている、自分と一輪の花との空間が造り出す意味を…、重いメッセージを…。 華道専慶流 西阪慶眞
とうに60歳を過ぎた、決して若くはない彼女に出会ったのは、ある花展会場。偶然通りかかった会場に、彼女が、飛び込んできたのです。そして長い間、ひとつの作品を見つめていました。やがて、私の前で、忙しく何度もシャッターを押していた彼女が、ためらいがちに話しかけてきたのです。 「この歳になって、今ここで初めて《いけばな》を始めることを心に決めました」と。しかし、全く花に縁が無かったのではありません。彼女が花を愛でる状況、心のあり方が私たちとは少し違っていたのです。彼女は、時間が許せば、まだ誰も足を踏み入れていない山奥へ、道無き道を進み、蜘蛛の巣を払い、迫る小枝を払い、不確かな足元を、一歩一歩確かめながら、人知れず咲く一輪の花、つつましく生きる植物達の美しさを求めて、そんな花との感動の出会いを求めて山に出かけるのです。そこに見つけた花は、折ることは許されず、忘れない為にその姿を心に焼きつけるまで、時を忘れ、眺め、写真におさめ、心に刻んだ美しさを胸に、その出会いに感謝してその場を離れるのだと…。 彼女は、自然の中に生きた、有りのままの美しさを、命の素晴しさを愛で続けてきたのです。そんな彼女が 今《いけばな》に向かおうとするのには、理由があるのです。彼女の母親もまたいけばなを愛していたのですが、近寄るには余りにも立派過ぎた母から、いつか心は遠ざかってしまっていたと。そして、今母を振り返る時、母は憧れでもあったことに気付き、今まで近付けなかった母に近づきたい、母をもっと知りたい、母の様に生きて見たい。そう母が愛でた花を自らも…。今まで自分が花を愛でていた空間とは違った、母の空間で…。でもそこには、戸惑い、様々な思いが、ぬぐい去れないままでいたと言うのです。そして 偶然飛び込んだ、花展会場のその花(私の弟子の作品)に出会って、この花なら…違った空間で花を愛でることができるかも知れないと言う思いになれたと… 彼女の《いけばな》に対する思いの変化。それはてらいのない心のこもったさりげない一作のいけばなが彼女の心を動かしたのでした。 素直に喜びたい。60歳を超えて今、新しい自分を求めて一歩を踏み出す彼女の勇気に、そして、あらたないけばなに向い合う彼女の新しい空間が、更なる人生への挑戦に向かって、拡がることを願わずにはいられません。 いけばな展に秘められた小さくも感動のドラマ。もう一度、自分が向かい合っている、自分と一輪の花との空間が造り出す意味を…、重いメッセージを…。
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