1999年12月1日発行/専慶流いけばな真樹会主宰・西阪慶眞



専慶流


花材/梅、葉牡丹、竹、バラ、千両

ポイント 古木を使って力強い春の門出を祝った作品。梅は苔が付きやすい植物で、深みが一層増します。太い幹はしっかり固定した添木に針金でしばり安定させます。配材で幹を隠さないよう、添える花は低めに配します。




花材/アニゴザンサス、柊、フォックスフェイス、紅蔓、
ポインセチア

ポイント 最近少なくなった紅蔓。茎の色が紅く変化にとんだ曲線が面白い。いろいろな形に絡めて使うが、広げすぎない立体構成を心掛けます。


 思いやりで本物を

 二千年を間近にした、残り少ない1999年。                  
 騒がれるコンピューター二千年問題は、私達の新しい年の幕開けにどんな現実を突き付けるのだろう。もしかすると、遅刻をしてやっと訪れた世紀末に?。「なる様になる」と何も気にせず過す人もいれば、万が一に備え食料品等を早々と買い集める人もいる。日本を支える?公共機関をはじめ銀行、一般企業は、当日にならないと解らない、予測の出来ない事態に向って対策に苦慮している。             
 備えあれば…。私達ひとり一人には、何処までの備えが可能なのだろうか。どれだけの、どんな備えが今必要なのだろう。この問題は目に見えない時限爆弾を抱えているようなものと捉えるのは考え過ぎだろうか。コンピュータ社会のアメリカでは数年前からこの事態に真剣に対処してきたが日本は随分冷静。事があってはじめて慌てるのでは阪神淡路大地震の二の舞い?。
 それぞれの生活環境の中で対策をたて、備えるしか無い。それが無駄に終るとしても、不測の事態に何らかの備えは必要なのでは。
 見方を変えれば二千年問題は「人々の心のあり方」を問い直しているのかもしれません。とりわけ「配慮」「思いやり」があまりにも欠如した結果であろう。前代未聞の原子力漏れ事故、バブル経済のツケ、コンピュータ依存など、どの部分をとっても顕著で、それはおごりの具現化である。地球は人だけのものでない。「動植物などが共生する豊かな生活」それが地球なのです。
 20世紀末が人間のエゴが支配した時代だとすれば、もうそろそろ眼が覚めないとそれこそ人間が滅びる日も近いのは間違いない。先日、裏庭で白菜を収穫したが甘味がない。勿論家庭菜園の無農薬、有機肥料栽培。それなのに何故甘味がない?。温かい日が続き霜が降りないからだ。そお、美味しさは自然の贈り物なのです。真夏の白菜や真冬のトマト、西瓜など、無理矢理栽培しても美味しいはずがない。それが旬というもの。
 環境への配慮、人への思い遣りは人間としての当然の倫理。これを無くして本物は決して生まれない事を「現代の繁栄」は教えているのです。
 希薄になっていく現代社会の人間関係、二千年を迎えるその瞬間に向って、真の意味で互いに手を取合い、思いやりの絆を深めなければなりません。
 「玄関にいけばなを飾る」この配慮だけでどれだけ周囲の人々の心を和ませることでしょう。今後も参考にしていただける作品を紹介してまいります。率直なご意見をどしどしお聞かせ願い、いけばな普及に傾倒したいと思っています。

                            華道専慶流 西阪慶眞


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