2005年10月1日発行/専慶流いけばな真樹会主宰・西阪慶眞

花材/コスモス一種

 踏まれても踏まれても立ち上がる強靱な性質とは裏腹にとても可憐な表情を投げかけるコスモス。青空を背景にかすかな風にもゆったりとなびく様は秋の代表的光景です。作例の材料は畑からもらって来たもので、自然の曲がりや花向きに気を配りながら野性的な趣きを大切にいけたもの。

 コスモスの葉は沢山付いていると繁雑になるので必ず整理しましょう。まず大きく、汚いものを取ります。そしてバランスを見ながらさらに不要な葉を取っていき、最終的にはほんの少し残す程度になります。

 花の方向は同一方向にすると表情が出ません。かと云って自由奔放では清楚さが損なわれますので、逆らう向きに扱う場所、高さは十分に吟味し、豊かな表情をねらいます。

 花屋さんに出回る素材は茎が太く、真っ直ぐなものが大半ですが、畑や、自家栽培ものは雨風にうたれて曲がっている事が多いものです。この曲がりを効果的に生かす事が今回のポイントとなります。

花材/ドラゴン柳、青ドラセナ、コスモス

 雲龍柳の一種であるドラゴン柳は秋から冬にかけて赤褐色の色を濃くし、色彩効果が出てきます。茎は案外曲げやすく、蔓ものを生けるような感覚で絡めて扱うといいでしょう。ただ、細い茎は線の効果も出ませんのでなるべく太い幹の部分を使うよう心がけます。


苦難の美学

 誰しも虹色の日々を過ごしているわけではなく、人生には様々な葛藤と苦悩が付きまとい、あまりにも災難が度重なったり辛い事が続くと自分自身に嫌気がさす事も度々である。
 教室に通う生徒さんの中にはいくらやっても上手にならないからと、いけばなは「私には向いていない」とサジを投げる人がいる。長い年月を費やし、いけばなの心を理解しないまま通り過ぎて行くのは余りにももったいなく、指導者としても残念至極。その度に指導法に誤りは無かったか、生徒との意志疎通の努力が欠けていなかったかと自問自答し、別れの辛さを嫌と云うほど思い知らされてきた私だが、一方、生徒さんはもっともっと辛い心境に置かれていたに違いない。何か引き留める手立ては無いものか…。生徒も指導者側も割り切れないまま両者の間に秋風が立つ。辛という字も一つ足せば幸になると誰かが言っていた。
 さて私たちの間には何が足り無かったのか。熟す前に実を落とす果実と同じ。花を咲かせて実を付け、成熟した実が落ちれば新たな発芽も期待出来るが、青い段階で幹から離れ土に落ちてしまっては腐るだけ。
 裏庭に今年はミカンが沢山結実した。しかし、夏に入る頃に一つ落ち、また一つ…。結局枝に残っているのは数えられるぐらい。そう云えば、なり物は隔年の言い伝えがあるが正しいのだろうか。我家に限れば、ミカンは昨年も数個しか成らなかったが、キウイは例年沢山できる。この違いは何だろう? これには幾つかの条件が左右していると考えられる。第一は土壌、第二は気候、第三は肥料。土質は保水性に富みながら水捌けが良いと云う相反する特性が要求され、当然水保ちの悪い土壌での水やりは不可欠。気候にも大きく左右されるが、今年は日照条件は良好で気温も高く、実ものには好条件だった。また、関西では台風の影響も無く、いたって平穏年と云えるのだが、問題は実の生育期に雨が少なかった事である。そして最後に必要なのは肥料だが、有り余った栄養はかえって木を軟弱にし、病害虫の餌食となる。施肥は幹から少し離れた位置に質の高い養分を補給する事で根の張りを旺盛にさせ、樹勢を堅持させるのです。
 これらは自然観察から得た私流の解析だが、花大好き人間を育成するのもどこか共通しているように思える。中でも最も重要なものは「愛」。星を掴むまでの道のりは、小さな一歩一歩の積み重ねであり「愛ある厳しさ」が何よりの肥料と考えるのです。
 人生を楽しむべき時は今現在であり、明日や来年、ましてや来世においてではなく、その時々の環境を謳歌し楽しめる精一杯の努力は欠かせません。一輪の花、一枚の葉…どれをとって見ても面白い、楽しい、美しい形をしている。その豊かな表情を読み取り、汲み取る事が出来る感性、素直な心を培ってくれる栄養分、それがいけばなの一面であり、一枝をいけるその中に、人生の葛藤や苦悩を乗り越える学びを素直に受けとめたいものです。
 落胆しない、やり続ける、断念しない、倒れるたびに起き上がる根性…綺麗な花に触れ、鑑賞することで元気をもらい続けたいものです。

                          専慶流いけばな真樹会主宰 西阪慶眞


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