2006年10月1日発行/専慶流いけばな真樹会主宰・西阪慶眞
花材/シンフォリカルポス、稲穂

ポイント 
 5〜8ミリ前後のつぶらな実を持つシンフォリカルポス。互生した細い茎の頂点に数個付ける様は何とも可愛い。

 北アメリカ原産の落葉樹で、スイカズラ科植物。実の色は白又はピンクがあります。植生上、枝の分岐が多く、品質低下が見られるようで、栽培には整枝が不可欠と云う。

 濃い緑色をした葉を付けていますが、可愛い実を強調するために葉は取り払います。実ものらしく、たわんだ形で構成するといいでしょう。

 小さい実であることから、配材は少し大きな淡い色の花が似合います。ここでは造形的な捉え方をして稲穂と取り合わせています。

花材/柿、ドラセナ、菊

 たわわに実る秋、柿を見ると木登りした幼少時代を思い出す。都会に住む子供は柿の木さえも知らないと聞くが、材は折れやすく、柿の木には登らないようにと教えられたもの。いけばなで使用する場合も当然撓めは効かない。生花には幹を見せることから、古木の木肌と茎の曲がりを捉えます。

 実ものは想像以上に重量があり、完全な固定法を探っておく必要があります。作例のような太い茎を剣山に留めることは出来ません。叉木留めや、重さのある「カモ」の使用など、器の形も含めて十分検討しておきます。

 配材にはシオン、ホトトギスなど、季節の素材を組み合わせますが、作例のような和洋折衷の組み合わせも新鮮さを覚えます。


 滋賀県今津町に咲く赤そば

自他共生

 受け止めきれない程の大きな豊かさの中に身を置く現代、私達の心はその速度に着いて行けず、文明の豊かさに溺れてしまってはいないだろうか。与えられる豊かさは平等に発信されているが、だからこそ、取捨選択にはこれまでにない厳しさが求められている。
 小さな子供が、売り場に並んでいる物が欲しくて親にねだり、思い通りにならず泣き叫ぶ姿を誰もが一度は見ているだろう。気に入った物を欲しいという欲求は誰もが持つ感情。それを手に入れる為の手段は様々にあるが、何かを手に入れるという欲求を満たそうとする時、そこにその子の性格や、日々の暮らしの中での「躾け」の結果が一番現れるところかもしれない。穏やかに諭す事で納得する子もあれば、駄目!と言う一喝でしぶしぶ諦める子もいる。時には泣き叫びながらねだる子に無視をする親、人前をはばからず怒鳴り、時には手を挙げてしまう親もいる。まぁ、子育ての難しさは子を持つ親なら誰もが知っているのだが、どうしてこんな子に…と言う結果への根本原因は、一番身近にいる親なのだと、自ら親の立場である私にもそう思える。当然親の思いだけで子供は育つのではなく、周囲にいる友達や、近隣住人、学校等の社会的空間…そんな様々な空間での多くの人との関わりの中で人間性は形成されていく。出会いの受け止め方、吸収の仕方で、成長は変わって行く。どんなに良い環境を与え、与えられても、その環境に順応出来なければ意味が無く、時には逆効果を招きかねず、だからこそ、そこに親のアドバイス、教育、親子の会話が大切になるのです。 
 今、日常的に起こっている様々な悲惨な犯罪を見聞きするにつけ、人としての心の常識に無秩序が際立つ。物が溢れる世の中で起こる強奪事件、何よりも強いとされていた親子の絆、母性の欠如等が起因する事件等々、人の心は今、大人も子供も、物質的豊かさの中で自分自身が見えなくなっているのではないだろうか。「分をわきまえる」という言葉がある。人にはそれぞれに持って産まれた資質、育った環境があり、さらに自ら学び身につけた様々な知識や技術がある。決して人とは同じでは無い「自分」自覚の確認はとても重要であろう。当たり前の自分自覚、しかし、トキとして人は自分を見失う。自分の居場所、自由平等をはき違え、命の重さ、人への優しさ、思いやり、感謝する心をどこかに置き忘れ、結果、自分をコントロールすることさえ出来ない未熟な心のまま社会の一員に加わり、自らを正当化してしまう…。人ごとではない。社会常識を備えたかに見える公務員でさえ、飲酒運転常習犯が含まれているのだから。
 平家物語の時代から我が国民は「祇園精舎の鐘…諸行無常…」と自己反省を繰り返してきたが、反省は強要されるものではなく、自覚であり、実践であろう。「自他共生」の精神も太古からの願いであり、私達のDNAに組み込まれているはずだが、残念ながら生かされているとは思えない。私達の教室では「素材を操る」のではなく、素材に秘める美を引き出す手伝いをする。つまり、素材の良さはどこにあるのか、ゆっくり会話する事から始まります。いけ手の強情は慎み、素材を尊重する、そんな試練をくり返しているのです。
 人は弱く、流されやすく、はたまた、傲慢になりますが、日々の時間、精神を高め、向上させるための努力を積み重ねたいものです。

            華道専慶流 西阪慶眞



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