2006年11月1日発行/専慶流いけばな真樹会主宰・西阪慶眞
●花材/ユーホルビア、リューカデンドロン、ヒマワリ ●花器/円形創作花器

ポイント 
 赤、グリーン系統が一般的な リューカデンドロンだが、小枝の分かれた写真の品種がこの時期出回る。先端の花は銀色をしていて印象的。ユーホルビアの朱色にも良く調和し、新鮮な出会いを見せつける。
動きを強調させるように左にユーホルビア、足下、右にリューカデンドロンを。

水揚げ ユーホルビアは切り口から乳液が出る。水切りした後、この乳液を手で拭っておく。

花材/南京はぜ、鶏頭、ゲットの葉

ポイント 
 街路樹などに利用されるナンキンハゼ。11月に入ると皮がはぜ、白い実が出てくる。
通常は裸木になった茎と白い実に焦点をあてた扱いをするが、紅葉も素晴らしい。葉が落ちやすいので勿論花屋に出回る事はないが、色の冴えがよく、可愛い。
葉は下に向いているので適度な整理で、一枚一枚の表情を捉え、細い茎とのバランスをはかる。


 千両栽培圃場-阪田さん

農村に生きる生っ粋魂

 ラジオ放送の開始が1925年、テレビは1953年。そして音楽中心のFM放送が1970年に始まった。その後、社会の情報化が進行し、1985年あたりからパソコンがアマチュア間でとりざたされ始める。文書作成や印刷機能面で重宝したワープロが個人に浸透し始めたのはその数年前だが、データベースや住所録、表計算機能も付加される機種の増加に伴い、パソコンとの区別化がつかなくなっていた。そこへ、アップルコンピュータの直感的操作の機種登場で、一般の人にも急激に親しみがわき、パソコンへの移行に火がついた。そして、1995年頃からインターネット網が庶民に開放されたこともあって、双方向情報化社会の幕開けとなった。それから約10年、今ではパソコン普及率は7割、一家に複数台も珍しくなく、光通信網への加入も増加し、いよいよ、ブロードバンド時代へと移行してる。
 私もこの波に乗り遅れまいとアップルコンピュータに必死にかじりついて来た。電源の入れ方さえ知らない者が未知の器機を理解するには教室に通うのが最良だったに違いないが、当時は授業料も高く、近くに教室が無かった事もあり、独学の道を。指導書は専門用語の羅列で、一ページを読むまでに睡魔に襲われ、何度も挫折の危機に直面していた。しかし、当時の購入金額は桁外れであったため、易々と放棄出来なかった事を思い出す。
 一般化して約10年。ようやく器機の安定も飛躍的に向上、扱いはとても安易、簡便になった事で、女性の使用率は男性をはるかに超えていると云う。
 先日、和歌山県の白浜温泉から山間部へ40分ほど入った真妻地区の千両栽培農家を訪ねた。杉、檜の生い茂る株元に苗を植え、周囲にはイノシシなどが入らないよう網で囲った純朴な現場。かすかな木漏れ日を受けて、緑豊かな葉の頂上には小さな実を沢山つけていた。
これはまだ実験段階で、良品栽培には至っていないと云う。だが、滋賀県などで見られる自然に近い栽培方法で、野性味あふれる姿がとても魅力をひいた。しかし、葉の大きさは不揃いで、緑の艶もやや劣るため、市場価値は低いと栽培者は嘆く。いけばな的視野から見れば自然な表情がおもしろく、申し分のない商品だと思うのだが、規格化が好まれる市場には通用しないようだ。
 一方、開拓した平地には随所に設けられた特別構造の日除け小屋が目につく。専用圃場である。良質栽培には午後の強い太陽を遮る東の地が良く、また、昼夜の寒暖差の大きい環境ほど、実の色づきがいいと云う。さらに、風通しの良否が品質に直結する。だから簡易な繊維で出来た市販の紗(覆い)を使わず、屋根、周囲はすべて四つ割にした竹、又は10センチ幅程度に加工した板が使われる。50〜70センチに成長した茎には一本一本丁寧に誘引紐が引っ張ってあるが、11月中旬には圃場は紐林に化すと云う、大変な作業である。今年の出来具合を聞いてみた。夏の猛暑で頂上枝の欠けが多発し、側枝ものが目立ち、良くないと。
 栽培の苦しみは千両に限ったことではない。だからこそ、いけ手にとって、一輪の花、一枚の葉にいたるまで神経を行きわたらせた扱い、愛情混入は当然の事であり、心血を注ぎたいもの。彼は今、ネット販売に力を入れている。私には規格化への反発、自然の豊かさ、可愛い貌を直接消費者に問いかけているように思えた。 
 脱サラしての栽培生計は決して楽ではない。だが、恵まれない過疎化が進む農村地域に彼のような自然を愛す人が存在する事に、日本の誇り、根性を垣間見たような気がした。機械化されず、すべて血の通った手作業するその姿に、全身からの笑みを読み取った爽やかな視察だった。

            華道専慶流 西阪慶眞

                                       


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