2006年9月1日発行/専慶流いけばな真樹会主宰・西阪慶眞
花材/バニカム、クルクマ、ゴッドセフィアーナ、
ヒペリカムオータム、デンファーレ

ポイント 
 畦道や土手にごく普通に生えていそうなバニカム。涼やかで野趣に富み、日持ちもいい。但し、稲の葉に似た長い葉は持ちにくいので穂のみを2〜3本寄せて使います。生花にいけるときは上下に入れないで人より高い天の部に配し伸びやかに。控にはゴッドセフィアーナとデンファーレ、ヒペリカムオータムで引き締めます。

いけ方
 バニカムの柔らかい穂をメインに、優しい雰囲気の現代風生花にしています。重苦しくならないよう、それぞれに、細やかな空間を見い出しましょう。
天添、胴あたりになるようクルクマを少し高い目に配し、バニカムに力を持たせます。バニカムはあらかじめ手元で数本組み合わせてセロテープで束にして挿し、人はクルクマを入れてから生けます。控に絞まったヒペリカムを使い、伸びのあるものを胴から人添など控にかけて「つなぎ」として入れます。
ゴッドセフィアーナの葉は後ろを少し高く、次いで人添、控にそれぞれ配し、他の素材とうまく混ぜ合わせ、デンファーレで地を作ります。(デンファーレは控にも入れています)

花材/フォルモーサ、サンデリアーナ、
デンファーレ

 葉の形が面白いフォルモーサ。少し整理して自由な動きをリズミカルに捉えます。いけ方は単調であっても、器の形で素材は蘇るように活き活きとなります。花器は高さがあり、口の小さいものがいいでしょう。なお、配材は広げず、中央に寄せる事がポイントです。


 妥協のないモノ作り

ある企画展へ写真を出品してほしいとの依頼を受けた。
 写真は、学生の頃からの趣味で50年近くにもなる。カラーは間もなく登場したものの当時はモノクロが主流の時代。しかし、カメラを手にしていた人は限られた趣味人であり、押し入れを改造し自分で現像する人も少なくなかった。私もその中の一人、セーフティーライトのかすかな光りの下、現像液を張ったバットの中でうっすらと像が現れる数秒間の緊張に魅せられたものである。現像、定着、水洗、乾燥…説明書に従って慎重に進める。薬品の混ぜ方、稀釈分量、温度管理の遵守は云うまでもないが、現像時の液の揺らし方ひとつで結果は大きく異なる。また、暗い中での像は明かりを付けた時とはかなり違うもので、すべての行程にマニュアル以外の経験が作品の仕上がりを大きく左右する。更に、フイルム、印画紙によっても印象は異なり、如何に希望する結果を得るかの試行錯誤の連続。
 ある意味、私のカメラ趣味はこの暗室作業での試行錯誤挑戦にあったように思える。他の人の目から見れば「無駄な事をして…」と映ったに違いないが、本人にとってはそのわずかな違いが気になって仕方がない。黒色のしまり、階調の豊かさ、全体のトーンなど作風に合わせた焼き付けを追い求めるのである。
 35ミリフイルムは1メートルを有に越える長さでありアマの人は専用のロール器に巻いて現像した。しかし、この方法では液の循環が悪くどうしても「ムラ」が生じるため、床を掘ってフイルムを真直ぐ浸けられる容器を埋め込み、釣り下げ形式での現像タンクを制作した。また、使いやすいように独自の焼きつけ機を作ったり、セーフティーライトや室内の換気など市販品では物足りない部分にも妥協せずにこだわった。
 現在はこれに変わってパソコンを経由し、プリンターで画像を出す。カメラは勿論デジカメに代わっている。シャッターを切るとフイルムではなく、メモリーにデータとして保存され現像は不要、そのままプリンターに接続すれば写真は完成する。しかしこれでは面白くない。色の濃度、彩度、色調に手を加え、時には合成もする。モニターを見ながら画像を整えるのだが、必ずしもプリントしたものとは一致しない。そのためモニターのカラー調整は不可欠であり、それでもなお、プリントしたものと異なるため、それぞれの癖を掴んだ上で、各画像の調整をくり返す。
 一昔前、バカチョンと云う俗称カメラが流行った。ファインダーを覗いてシャッターさえ押せば写ると云う安易なカメラだが、このような器機は作者不在で論外と言えよう。パソコンも含め、我々モノ作りの者には自在性が求められる。
 話を戻す。今回の写真出品は全紙サイズのため外注せざるをえないが、データ焼きつけの利点はこちらの指示通りの色、濃度が約束される点である。全紙サイズの縦横比に合わせて画像をトリミングし、細部の調整をしてデータを富士フイルムに送る。以前のように焼きつけてくれる技術者の主観で濃いめに焼かれたり、淡い色になったりと云った不具合は一切なく、今回の6点、すべてこちらの思い通りに仕上がった。暗室不要時代で、焼きつけ方法も違っているが、モノを創る挑戦心、緊張感はプロ、アマ問わず、今も昔も変わらない。

               華道専慶流 西阪慶眞


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