2007年4月1日発行/専慶流いけばな真樹会主宰・西阪慶眞
いけばな専慶流・黄金でまり

●花材/黄金でまり、セローム、フリージヤ

●花器/竹器

●黄金でまり 黄金色の新葉を出すことと、コデマリに似た白い円形花序の花を付ける事から、金葉てまり、フランスコデマリと呼ばれている。茎は節々でわずかに湾曲する。

ポイント 
 「黄金でまり」は4月の定番素材。材は撓めやすく、生花の勉強素材にはうってつけで、とくに、筒いけ実習には欠かせない。従来は一種生けが基本であったが、色花を添える事で現代空間にも生気を与える。茎の歪んだ面白い枝振りもあるが、大半は真直ぐで、筋生けの良さを引き出します。茎はいずれも節々で湾曲しているため足元を沿わせるのがやや難しい。曲が強い時は削って真っ直ぐにする。

水揚げ 水切り。

●花材/グリーンベル、ガーベラ、天文草、アラジンチューリップ、コワニー

●花器/銀彩創作花器(大津寄花堂作)

ポイント 
 奥行き浅く、円形の窓が特徴の創作花器。ここでは直上的な構成で、グリーンベルの花を捉え、春のあどけなさを表現しています。

いけばな専慶流・グリーンベル

いけばな専慶流・カタクリ カタクリ群生・滋賀県マキノ山中にて

基本は師となる

 四季のある我が国、春告げ草とも言われる梅の花が咲き、桃、櫻へと彩りあるこの季節、卒業、入学、入社等様々な意味で一つの大きな節目を迎える。過去となってしまった自分の歴史を消去し、リセット出来ない人生だが、自身を見直し、これから先に積み重ねて行く人生に向かっての軌道修正を可能にする大きな意味を持つ季節でもある。
 春夏秋冬、本来あったはずの四季の姿も、長い年月の間に徐々に変化し続けている。ゲレンデに雪の無い冬、東京の初雪観測記録が危ぶまれ、櫻の開花予報後に真冬並みの寒波到来…と言った今春。これまでは、自然の大きな力の前に人はそれを敬い、そのあるがままの恵みに感謝し、当然の如く自然と共存し、特別視しなかった。しかし近年起こる、自然猛威の危機現象は、まぎれも無く我々自らが起こした身勝手な行動へのツケなのである。
 ある男子高校では、毎年卒業式に、皆勤賞を貰った生徒の母親に対して、エプロンが贈られている。何故母親に?理由を問えば、気難しい思春期の男子の三年間皆勤は本人の努力だけでは不可能、衣食住は基本、心身共の健康管理…陰で支えてくれた母親が在ってこそなし得た事であり、この賞は本人だけではなく、頑張って支えて来た親に贈る感謝状なのだと。しかし、それを贈られた親は一様に、確かに喜怒哀楽…様々な思いをして来たが、子の犠牲や、立派な親としての評価を得る為でもない。特別ではなく親として当然、成すべき事をしたまでの事だと。この声こそ本来の親の自然な姿であろう。
 今は、スポーツに限らず様々な大会の結果だけではなくその一部始終を、映像を通して身近に見る事が出来る。そこに多くの涙や感動があるのは、長い時間をかけ、努力を積み重ねてきた彼等の姿に心打たれるからであろう。
 優勝という結果は、一人にしか与えられない。多くの選手は、挫折を味わう度にまた一から、原点から自分を見つめ直し、新たな挑戦へと向かうのだと言う。原点に戻る、それはまず基本に戻る事、基本の上にしか、結果への道はないのだと。観る者が結果にとらわれる事無く、心から拍手を贈れるのは、彼等の「嫌」と言う程繰り返されたしっかりとした基本トレーニング、精神力の錬磨の上に更なる進化を目指した姿が、そこにしっかり感じ取れるからであろう。
 基本の大切さは、競技の世界に限った事ではない。子育ての基本、教育の基本、私達が日々社会の中で生きて行く為に人として最低限成すべき事…全ての物事には、本来の姿、基本というモノが必ず存在する。基本、規範無くして一朝一夕に人も物事も向上しない。今や常識という言葉は死語と言われるが、積み重ねられた時間の果てに位置づけられた常識の中にこそ、人の基本があるのではないかと思える。最低限の挨拶や、人への思いやり、優しさは、日々の生活の中で基本として養われていく。
 俳優船越英二氏は先日他界したが、息子英一郎氏への教育は厳しかったとか。俳優になることや、女優松居一代氏を妻にする事も最後まで認めなかったと聞く。父としての影の愛を息子に投げ続けた形だったのだろう。親から子へ…師から弟子へ。子供は諸先輩の背中を観て育つものだと今さらながら日本流システムに同感する。
 いけばな界でも同じ。基本を忠実に身につけた先にしか、素材を生かした、生き生きとした花は生けられない。素材と向かい合い、素材の良さを生かせる心の修練こそ「いけばな」となる。

            華道専慶流 西阪慶眞


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