●2009年6月1日発行/専慶流いけばな眞樹会主宰・西阪慶眞
ギガンジューム

ポイント 
 
ネギ科の観賞用植物であるギガンジュームは赤子の頭以上に大きいボリューム感で、重い事から調和させる配材は面素材かマッス素材に限られよう。ここでは可能な限り軽快な動きを見せようとギボウシの葉とグロリオサの流れを強調し、中央の面扱いの葉とヒマワリ、青ドラセナで引き締めています。


中級〜上級者向けの現代生花。ボリューム感ある力強い生花ですが、重苦しくならないよう葉の扱いに注意し、生花の流れを引き出します。


●花材/ ギガンジューム、ギボウシ、ひまわり、グロリオサ、青ドラセナ 
●花器/ 足付き現代花器       
●花材/ ギガンジューム、トケイソウ
●花器/ 扁平円形創作花器

ポイント 
 
自宅で咲かせたトケイソウ。茎の動きと花の表情を捉え、ギガンジュームとの対比をねらいます。トケイソウの葉は十分整理し、花と茎に焦点を合わせます。

 

●水揚げ 水切り。

トケイソウ

 興福寺 奈良・興福寺


「若者の心を捉えた阿修羅像」

 新型の豚インフルエンザの感染が国内で拡大するなか、感染者は学生だけでなく、小売り店店員や銀行員にまで広がっている。国際線での大規模な水際作戦も功を奏せず、一気に関西で表面化した格好だが、渡航していない人に感染者が出た事から、すでに「人感染」が進んでいる事を裏付けられており、日常生活にまで影響が出るほどになってしまった。外出時にはマスクの着用を厚生省は薦めているが、購入したくても店頭にはすでに一枚もなく「入荷の予定ありません」の張り紙が。幸い、今回の菌は毒性が比較的弱く、発症した人達は順調に回復されているそうで喜ばしいことだが、これが強い毒性であったらと考えると、水際作戦の大切さを改めて思い知る。とは云うもうのの、大阪、兵庫では三千七百もの学校が休校しているが、アメリカではすでに季節性インフルエンザ並の扱いに切り替え、通常の授業をしているらしく、日本人の心配性、過剰反応性格を問題視する向きがあるのも事実。
 人の集まる会合や催しが中止や自粛されるなか、東京上野の国立博物館で開催されている阿修羅展が注目されている。一ヶ月半で50万人の来館数はミロのビーナス展に並ぶほどの勢いで、中でも若い女性の割合が際立ち、東洋の仏像美術へ熱い視線が向けられている。表面的に「格好いい」だけではなく、歴史的背景の他、眼の奥から語られる魔力に魅了されているようで、或いは、天平時代以後の文化を見つめてきた興福寺の寺宝の数々に先祖の声を聴こうとしているのかもしれません。

折しもその時代の世界は今と同じく、天然痘ウイルスが蔓延した時代で、顔や身体に、そして、体内に発疹を来たし、多くの人たちの生命を脅かし、重い障害や後遺症で苦しめていた時代。
 奈良・興福寺の宗派は「法相宗」、別名を「唯識宗」と言うそうだ。五感が意識する表層の心、経験や過程で見て来た思いや心は瞬時に忘れるが、奥底では記憶が残り、深層の無意識心が備わっている。そのことから、徳を積めば無意識に浄化する種子が芽生え、その種子がまた後世に相続すると説くのだそうだが、私には仏教の深い知識はない。しかし、若い人の中には仏像の魅力にひかれ、仏教の教えにさかのぼって興味を抱くのだそうだ。とくに、脇役でありながらきめ細やかな細工の阿修羅像を作出した当時の、すべてをおろそかにしない精神に価値観を見いだしているとも云われ、多大な文化、美意識、食文化を育んだ天平時代の背景知識も専門書などで豊富だと云う。
 ならば、この際、知識だけでなく肌で感じる実体験を願いたい。いけばなの世界はまさに実体験での血であり、一花一葉に教えられる世界。一輪の表情がかくも豊かであったのか、を実感してもらいたい。理屈ではない、私たちの素晴しい深層意識の美意識に対面するに違いない。
 

             華道専慶流 西阪慶眞


慶眞のいけばな教室案内

専慶流眞樹会本部/近鉄三山木駅西 TEL 0774-63-1785
大阪西区民センター/西長堀駅前 TEL090-2101-6144
専慶会館/京阪桃山駅東 TEL 075-612-2076
■所沢教室/新所沢駅西 TEL 090-2173-5700

通信特別レッスン制度もあります。お問い合わせ下さい。

花模様  専慶流
Copyright(C)1998 Keishin Nishisaka All Rights Reserved.
禁無断転載